採用を俯瞰することの難しさ
BLOG

ブログ

採用を俯瞰することの難しさ

Branding, 2026.02.04 By 中村 尚人

「採用を強化したいんです」——これまでたくさんの企業さまから、そうご相談をいただいてきました。話を聞いてみると、求人は何本も出している。媒体も複数使っている。面接もたくさんしている。担当者は毎日忙しい。それなのに、「なぜか決まらない」「なぜか辞退される」「なぜか疲弊している」。そんな状態に陥っていることが、とても多いのです。こんなに真面目にやっているのに、なぜ成果が出ないのか。私たちもこの問いに何度も向き合ってきました。そしてたどり着いた1つの考え方を、今日は少しだけ共有してみたいと思います。

中村 尚人

中村 尚人 取締役/ディレクター

日立製作所でSI営業を経験後、Coachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

「採用を強化したいんです」——これまでたくさんの企業さまから、そうご相談をいただいてきました。

話を聞いてみると、求人は何本も出している。媒体も複数使っている。面接もたくさんしている。担当者は毎日忙しい。それなのに、「なぜか決まらない」「なぜか辞退される」「なぜか疲弊している」。そんな状態に陥っていることが、とても多いのです。

こんなに真面目にやっているのに、なぜ成果が出ないのか。私たちもこの問いに何度も向き合ってきました。そしてたどり着いた1つの考え方を、今日は少しだけ共有してみたいと思います。

採用は「工程の掛け算」——わかっている、でも向き合えない

採用活動はおおむね5つの工程で成り立っていて、それぞれが掛け算のように影響し合っている。これは、採用に携わったことのある方なら、感覚的に理解されていることだと思います。


採用成果 = 5つの工程の掛け算

ただ、問題はここからです。わかっていても、全体を俯瞰して向き合う時間がなかなか取れない。

それも当然だと思います。日々の面接対応、エージェントとのやり取り、現場からの「いつ決まるの?」という声、求人原稿の修正、媒体の管理画面のチェック。採用担当者の毎日は、目の前のタスクで埋まっています。「全体を一度整理し直そう」と思っても、それ自体がカロリーのかかる作業です。緊急ではないけれど重要なこと——つまり最も後回しにされやすいことなのです。

結果として、「今ある施策をもう少し頑張る」「もう1つ媒体を追加してみる」という部分的な対処が続いていく。それは怠慢ではなく、忙しさの中での合理的な判断でもあります。ただ、そのループが続くと、だんだん全体の構造が見えにくくなっていきます。

「部分最適」が続く構造的な理由

採用の工程はすべて連動しています。求人を変えれば応募層が変わり、応募層が変われば面接の質も変わる。全部がつながっているからこそ、1つだけ改善しても別のどこかで歪みが出ることがあります。

本来は全体を見渡してから手を打つべきだと、多くの担当者の方がわかっている。でも、全体を見渡すには一度手を止めなければいけない。目の前の採用が止まっている状況で「手を止める」ことほど怖いことはありません。だから、つい目の前の施策をもう一回転させる方向に動いてしまう。これは、採用担当者が置かれている構造的なジレンマだと私たちは感じています。

走りながら整理する、という選択肢

だから私たちは、ご相談をいただいたとき、いきなり施策の提案はしません。まず一緒にやるのは「整理」です。

なぜ今この職種を採るのか。採れなかったら事業にどんな影響があるのか。入社後、半年後にどうなっていてほしいのか。選考のどこで判断が止まっているのか。こうした前提を一つひとつ並べていくと、「実はやらなくていいこと」も見えてきます。

ある企業さまとの会話の中で、「この媒体、今の採用ターゲットにはあまり合っていないかもしれませんね」と一緒に気づいたことがありました。結果的に媒体を減らしたことで、担当者の方の工数が軽くなり、残った媒体に集中できるようになった。成果はむしろ上がりました。

もちろん、採用を止めて整理に専念する余裕がある企業はほとんどありません。だから私たちは、日々の採用活動を動かしながら、その横で一緒に全体を整理していくスタイルを取っています。走りながら地図を広げるようなイメージです。外からの視点が入ることで、日常の業務をこなしながらでも「今どこが詰まっているのか」が少しずつ見えるようになる。採用は、増やすより整理するほうがうまくいくことが多い。これは、私たちが現場で何度も感じてきた実感です。

採用は「気合い」ではなく「構造」の問題

「採用ノウハウを教えてください」と言われることもあります。もちろんノウハウも大切です。ただ、私たちの経験上、ノウハウの前に「今の状態を整理する」ことのほうが効くケースがほとんどでした。

多くの採用担当者の方は、何が課題かを薄々感じています。ただ、日々の業務の中で全体を俯瞰し、優先順位をつけ直す余裕が持てない。それは能力の問題ではなく、採用という仕事が抱える構造的な難しさです。

だからこそ、私たちは「一緒に並べ直す」ことを大事にしています。バラバラになった工程を整理して、やらなくていいことを減らして、判断をシンプルにする。施策を増やすのは、その後でも遅くありません。

もし今、「真面目にやっているのに、なんだかうまく回っていない」という感覚が少しでもあるなら。すべてを止める必要はありません。走りながらでも、全体を一度並べてみるだけで見え方は変わります。整えば、採用は自然と回り始めます。

CONTACT

採用に関するご相談・お問い合わせはこちら

採用ブランディング、クリエイティブ制作、求人運用、RPOなど、
採用に関するあらゆるご相談を承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。