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9割が重視する「気質」は面接だけで見極められるのか?
「中途採用の選考で、何を一番重視していますか?」
この問いに対して、多くの企業が「主体性」「傾聴力」「問題解決力」といった気質的な特性を挙げます。実際、マイナビ 中途採用状況調査2026のデータでは、気質的特性はほぼすべての項目で9割を超える重視率になっています。ところが、「それをいつ、どうやって見極めていますか?」と聞かれると、意外と即答できない方が多いのではないでしょうか。今回はこのデータを読み解きながら、「重視しているのに、見極めの設計ができていない」という選考のギャップについて一緒に考えてみたいと思います。
データ1:企業が選考で重視する要素
まず全体像を見てみましょう。選考で重視している要素は、大きく「気質的特性」と「能力的特性」に分かれます。
気質的特性 ── 軒並み90%超え
主体性
94.4%
傾聴力
94.1%
発信力
91.9%
問題解決力
91.9%
働きかけ力
91.9%
課題発見力
90.8%
主体性・傾聴力・発信力・問題解決力・働きかけ力・課題発見力──気質的特性はほぼ全項目が90%を超えています。「どんなスキルを持っているか」よりも「どんな人柄・姿勢で仕事に向き合うか」を重視する企業が圧倒的に多いことがわかります。
能力的特性 ── こちらも高水準、でも差がある
経験・業績の高さ
91.5%
スペシャリスト
89.9%
統率力
88.0%
マネジメント力
88.0%
能力的特性も高いスコアですが、気質に比べるとややバラつきがあります。特に「ゼネラリストである」(87.7%)や「高学歴である」(85.5%)は相対的に低め。スキルや経歴より「人としてのあり方」が重視される傾向が鮮明です。
データ2:では、それを「いつ」見極めているのか?
ここからが本題です。「重視している」のはわかりました。では、その要素をどのタイミングで判断しているのか? これが見えてくると、選考設計のギャップが浮かび上がってきます。
気質的特性 ──「人事との面接」頼みの構造
「主体性」をどのタイミングで判断していますか?(2025年)
36.8%
34.2%
32.5%
28.2%
19.1%
「主体性」の判断は人事との面接(36.8%)がトップ。傾聴力も人事面接が38.9%で最多です。つまり、9割以上の企業が「最も大事」と答えている気質的特性を、面接という限られた時間で、面接官の主観で判断している構造になっています。
注目:「人事との面接」の重要度が前年から低下
41.1% → 36.8%▼4.3pt
42.9% → 38.9%▼4.0pt
40.1% → 37.9%▼2.2pt
40.1% → 36.6%▼3.5pt
2024年→2025年で全項目が低下。面接だけでは見極めきれない、と感じ始めている企業が増えている可能性があります。
能力的特性 ──「書類」が主戦場
「これまでの経歴における成績・業績」をどのタイミングで判断していますか?(2025年)
43.7%
33.3%
32.6%
23.9%
こちらは対照的で、履歴書・職務経歴書(43.7%)が最多。「スペシャリストである」(43.8%)、「経歴における役職や社内地位」(45.2%)も書類がトップです。能力・実績は書類で見る、気質は面接で見る──この使い分け自体は合理的です。
ここにギャップがある
データを整理すると、選考には構造的な「見極めの偏り」があることが見えてきます。
選考の「見極め構造」を整理すると…
気質的特性
主体性・傾聴力・発信力など
重視度:94%超え
主な判断:人事面接(36〜39%)
→ 限られた面接時間で
面接官の主観に依存
能力的特性
経歴・実績・専門性など
重視度:85〜91%
主な判断:書類(43〜45%)
→ 職務経歴書で
比較的客観的に確認可能
一番重視しているもの(気質)を、一番属人的な方法(面接)で判断している
──この構造に、選考の「もったいない」が潜んでいます。
Coachersの考察
Coachers 採用コンサルティング
HRブランディングの視点から
▶ このギャップが意味すること
このデータが示しているのは、多くの企業が「何を重視するか」は明確なのに、「どう見極めるか」の設計が追いついていないということだと感じています。
「主体性が大事」──ほとんどの採用担当者が同意します。でも、30分の面接で主体性をどう見るか、面接官ごとに基準が揃っているでしょうか? 「なんとなく良さそう」「受け答えがしっかりしていた」──こうした感覚的な判断になっていることも、実際には少なくないと思います。
さらに気になるのは、「人事との面接」の判断ウェイトが前年から軒並み下がっているという事実です。主体性は41.1%→36.8%、傾聴力は42.9%→38.9%。これは裏を返せば、「面接だけでは見極めきれていない」と多くの企業が感じ始めているサインかもしれません。
一方で、能力的特性は書類で比較的客観的に判断できます。職務経歴書に書かれた実績や経験年数は、事実ベースで確認できるからです。ただし、「書類で能力は見えても、気質は見えにくい」という限界も同時に示しています。
▶ 見極めの精度を上げるには
私たちが採用支援の現場で感じているのは、「選考で見極める」の前に、「選考に来る人の質を上げる」設計がもっと大切だということです。
どういうことか。たとえば「主体性のある人がほしい」なら、求人票や採用サイトの時点で「うちはこういう主体性を求めている」と具体的に伝えること。「裁量を持って自分で判断する場面が多い」「上司の指示を待つより自分で動く文化」──こうしたメッセージが明確であれば、そもそも応募してくる方の「気質フィルター」が自然にかかります。
逆に、求人票に「主体性のある方歓迎」とだけ書いても、求職者には何も伝わりません。具体的なエピソードや職場の雰囲気が見えて初めて、「自分に合いそうかどうか」を求職者自身が判断できるようになります。
面接の精度を上げることも大切ですが、その手前にある求人広告・採用サイト・紹介資料といったタッチポイントで「自社が求める気質」を具体的に伝えられているか。ここを見直すだけで、選考全体の効率と精度が変わってくると、私たちは考えています。
※ 考察はCoachersの見解です。データ出典元の見解ではありません。
今日からできるアクション
❶ 「求める気質」を言語化する
「主体性」「傾聴力」が具体的に自社でどんな場面で必要なのか、エピソードレベルで書き出してみましょう。それが求人票・面接の共通言語になります。
❷ 求人票・採用サイトに「人柄が見える情報」を入れる
社員インタビュー、チームの雰囲気、意思決定の仕方──気質に関わる情報を求職者が事前に触れられるようにすることで、応募段階のマッチング精度が上がります。
❸ 面接の「何を見るか」を揃える
面接官ごとに「主体性をこの質問で確認する」「傾聴力はこの場面で見る」と基準を決めておくと、属人的な判断が減り、選考の一貫性が高まります。
❹ 選考フロー全体を「一本の線」で見直す
書類→面接→内定の各段階で「何を・どうやって見るか」が設計されているか。どこかに漏れがあると、重視しているはずの要素が見極められないまま選考が進んでしまいます。
選考の「設計」、一緒に見直しませんか?
今回のデータを見て、「うちの選考、ちゃんと設計できているかな?」と少しでも気になった方がいらっしゃったら嬉しいです。
実際のところ、「何を重視するか」は多くの企業で共通しています。気質が大事、主体性が大事──ここに異論はほぼありません。差がつくのは、それを「どう伝え、どう見極めるか」の設計部分です。
でも、採用担当の方はとにかく忙しい。目の前の面接スケジュール調整や、エージェントとのやりとり、現場からのリクエスト対応に追われて、「選考全体を俯瞰する」時間がなかなか取れない。これ、すごくよくわかります。
そんなときに、少し立ち止まるきっかけになればと思い、採用活動の全体像をチェックできるツールを用意しています。設計・集客・サイト・選考・定着の5つの軸で、今の採用活動を見える化できます。
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25問のチェックリストで、設計・集客・サイト・選考・定着の5軸をレーダーチャートで確認。
今回のテーマ「選考の設計」も、チェック項目に含まれています。
「重視しているのに、見極められていない」
──そのギャップ、一緒に整理しませんか?
求人広告・採用サイト・面接設計まで、
選考フロー全体を一緒に見直すお手伝いをしています。
まずは30分、お気軽にご相談ください。
データ出典:マイナビ 中途採用状況調査2026/株式会社マイナビ
※ 考察部分はCoachersの見解であり、調査発行元の見解ではありません。
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