「採用より、定着」84.8%が到来を予想するビッグステイ時代の可能性
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「採用より、定着」84.8%が到来を予想するビッグステイ時代の可能性

Branding, 2026.04.18 By 中村 尚人

「今、いちばん重視している人材課題は?」と聞かれたら、ご担当者さまは何と答えますか。

マイナビが2026年4月14日に発表した最新レポート(人事担当者1,500名回答)によると、「人材の定着」と答えた企業が50.9%。一方で「新規人材の確保」は25.8%でした。定着が、採用の約2倍という結果です。

背景にあるのは、日本版「ビッグステイ」── 同じ会社に居続けるほうが得、という新しい構造への期待です。ただ、これはあくまで企業側の見立てでもあって、従業員側がそう感じているかはまだ別の話。その「ズレ」を含めて一緒に読み解いてみたいと思います。

数字で見る、企業の関心の変化

KEY DATA
人材の「定着」を最重視
50.9%
新規人材の「確保」を最重視
25.8%
ビッグステイ到来予想
84.8%

「採用難が続くなかで、やっと入ってきてくれた人をどう定着させるか」── ご担当者さまの頭のなかにも、同じような問いがあるのではないでしょうか。確保と定着、どちらも大事ですが、この25ポイント以上の差は、採用戦略そのものの重心が動きつつあることを示しているように感じています。

もうひとつ注目したいのが、回答企業の84.8%がビッグステイの到来を予想していて、そのうち52.0%が「3年以内」と見ていること。賃上げを実施している企業ほど、その到来感は強くなっていました(88.3%)。一方で同じ調査では、2026年に中途採用へ積極的な企業が91.1%にのぼるというデータもあります。「辞められたくない、でも採りたい」── 数字を並べると、企業側の願いと現実が少しねじれている様子も見えてきます。

世代別に見える、賃上げの「水準差」

IMPACT MAP
30代の賃上げ実施率81.7%
20代で4%以上の高水準賃上げ27.1%
40〜50代で4%以上の高水準賃上げ20.8%
教育投資を実施する企業83.5%

賃上げそのものは全世代でほぼ8割と広がっている一方で、「どの世代に、どれくらい厚く」の差が生まれはじめています。20代は大きく、40〜50代はそこまでは伸びない── ここに、若手の引き留めを意識した戦略が透けて見える気がしています。

さらに、教育投資に動く企業も83.5%に増え、一社あたりの平均額は208.6万円(前年比 +43.6万円)に。「入ってもらったら、育てて、残ってもらう」── この流れがデータに表れているように感じます。ただ、賃上げと教育投資だけで人が残るほど定着は単純ではないですよね。「自分はここで何を積み上げているのか」が実感できる物語まで届いて、はじめて”留まる理由”になっていくのかもしれません。

採用担当の仕事、その重心はどこに?

COMPARISON
これまで
まずは、人数を集める
母集団形成と応募数がKPI。「入口の強さ」を磨くことが、採用担当の腕の見せどころでした。求人広告と媒体選びが主戦場。
これから
入った後まで、見据える
採用と定着を同じ軸で設計する。「なぜこの会社なのか」「入ってからどう育つのか」までを、採用の段階から言語化していく流れに。

採用担当の役割が、「入口を開ける人」から「入口から定着までを見通す人」へと、少しずつ広がってきている── そんな実感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。わたしたちCoachersも「求人広告のその先まで一緒に考える」姿勢を大事にしています。

ビッグステイって、そもそも何?

FAQ
Q
「ビッグステイ」って、どういう意味ですか?
A
同じ会社に居続けるほうが、転職するよりも賃金が上がりやすい状況のことです。今回の調査では、回答企業の84.8%が日本にもビッグステイが到来すると予想し、52.0%は「3年以内」とみていました。
Q
「84.8%が到来予想」って、本当にそうなるんでしょうか?
A
この数字は「人事担当者1,500名が、そうなってほしい/そうなると思う」と答えた結果で、従業員側の意識調査ではありません。採用難と賃上げ負担が続くなかで、”市場が落ち着いてほしい”という期待が少し混ざっていると読むのが自然かもしれません。実態とのズレは、自社の離職率や面談の声で答え合わせしていきたいところですよね。
Q
それって、中途採用にはマイナスということですか?
A
一概にそうとは言えないかもしれません。同じ調査では91.1%の企業が2026年も中途採用に積極で、市場そのものが止まる気配はまだ見えません。むしろ、候補者が慎重になる分、「動く価値がある」と感じてもらえる企業情報の存在感が、これまで以上に大きくなりそうです。採用ブランディングの出番、とも言えますよね。
Q
「定着重視」の流れで、採用担当の役割はどう変わりますか?
A
「誰をいつまでに採るか」に加えて、「採ったあと、どう活躍してもらうか」までをストーリーとして設計する役割が増えていくのかもしれません。求人広告や採用サイトの書き方にも、少し踏み込んだ情報が求められそうです。

ビッグステイは、採用担当にとって脅威というより、「自社の定着力と採用メッセージを、一度点検してみる機会」として受け取れる気がします。外から来てくれる人にも、中にいてくれる人にも、同じ物語で語れているかどうか。ここが問われてきそうです。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回のデータは、あくまで人事担当者1,500名の「見立て」を集めたものです。「定着重視50.9%」「ビッグステイ到来予想84.8%」は事実として重いのですが、同時に“離職を止めたい企業側の願い”が少し混ざった予測でもあるように感じています。一方で、賃上げ実施率8割超、教育投資の平均208.6万円という数字は、”願い”ではなく実際にお金が動いた証。期待と実弾が同時進行しているのが、いまの雇用市場の実像に近いのかもしれません。

気をつけたいのは、賃上げと研修だけで人が留まるほど、定着はシンプルではないということ。従業員が本当に残る理由は、ほとんどの場合「この仕事で何を積み上げているか」が自分の言葉で語れるかどうかだと感じています。そこを採用段階から一緒に言語化していくのが、HRブランディングの役割だと考えています。

「ビッグステイが来る前提」で採用をスリム化するのは、少し早いかもしれません。むしろ、自社の離職理由・定着要因を自分たちのデータで押さえ直すことが、この調査結果との健全な向き合い方だと思っています。企業側の希望的観測に飲み込まれず、地に足のついた判断材料を一緒に揃えていけたら嬉しいです。

今日からできる、4つの小さな準備

ACTIONS
STEP 01
求人票の後半を点検する
入社後の育成・キャリア・評価がどう書かれているか、数行だけでも見直してみませんか。採用の入口で「続ける理由」を示す一歩です。
STEP 02
自社の離職・定着データと答え合わせ
“市場が留まる方向”という予測を、自社の直近1年の離職理由や在籍年数と突き合わせてみませんか。企業側の見立てと現場のズレが見えると、打ち手が具体的になりそうです。
STEP 03
採用サイトの「入社後」ページを見直す
制度一覧だけでなく、ストーリーや写真で「ここで続く人」の姿が見えているか。一枚の写真から変えるだけでも印象が変わります。
STEP 04
教育投資の「見せ方」を整える
金額や研修の数そのものより、「何が身につくか」まで翻訳して伝えると、候補者にも残っている社員にも、同じ物語で届きやすくなります。
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採用活動チェックシート
5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。
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