42.5% vs 3.7%──「動かない求職者市場」で採用が成立する企業の共通点
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42.5% vs 3.7%──「動かない求職者市場」で採用が成立する企業の共通点

Branding, 2026.04.30 By 中村 尚人

「うちは採用に動いているのに、求職者がまったく市場に出てこない」──そんな”温度差”を、現場で感じたことはないでしょうか。

マイナビの最新調査では、2026年2月の企業の中途採用活動実施率は42.5%。一方で、20代〜50代の正社員のうち、2月に転職活動を行ったか3か月以内に活動予定の人は3.7%でした。およそ11倍のギャップです。

母集団は思うほど増えない。それでも採用は進めなければならない──。わたしたちCoachersも6人の小さなチームで同じ景色を見ています。今回はこのギャップにどう向き合うか、一緒に整理してみたいと思います。

数字でみる「11倍のギャップ」──企業の採用 vs 求職者の動き

マイナビキャリアリサーチLabが2026年3月31日に公表した「2026年2月度 中途採用・転職活動の定点調査」では、企業側と求職者側で対照的な動きが浮かびました。企業の中途採用活動は前年同月比 +3.8pt と活発化する一方、求職者の転職活動は3.7%と低位で安定しています。

COMPARISON
企業側
中途採用活動実施率 42.5%
前月比+3.4pt、前年同月比+3.8pt。中途採用業務担当者のうち、前月実施または3か月以内に予定している人の割合です。例年4月は静かと言われますが、2月時点ですでに4割超が動き始めています。
求職者側
転職活動実施率 3.7%
前月比-0.1pt、前年同月比+0.4pt。20代〜50代の正社員のうち、2月に転職活動中、または3か月以内に活動予定の人の割合です(中途入社後3か月以内の人は除く)。

この「11倍ギャップ」が意味するのは、母集団形成の難易度がじわじわ上がっているということです。企業同士は同じ少数の求職者を取り合っており、各社の採用チャネルは混雑しています。一方で求職者から見れば、メッセージが一気に増えて「どの会社も似て見える」状況になりやすい時期とも言えます。

業種別・年代別でみる、温度感の違い

「市場全体」で見ると動いていないように見えますが、業種や年代を切り分けると景色が変わります。同じ調査の業種別・年代別データを見てみると、温度差がはっきりわかります。

TREND
IT・通信・インターネット業界の採用活動率
53.4%
▲ 全体+10.9pt
最も高い業種
メーカー業界の採用活動率
49.3%
▲ 全体+6.8pt
2番目に高い業種
30代正社員の転職活動実施率
5.8%
▲ 全体+2.1pt
最も活発な年代
20代正社員の転職活動実施率
3.5%
▼ 全体-0.2pt
2番目に活発な年代

数字をならべるとつい「30代をスカウトしましょう」と短絡的になりがちですが、30代5.8%は”100人の30代正社員に声をかけても、いま転職活動中・予定なのは5〜6人”という現実でもあります。なお40代・50代の数値は本文では非開示で図表のみの公開ですが、全体平均が3.7%であることを踏まえると、ミドル以上は20代より低位にとどまるとみられます。動いていない大多数にどう種をまくか、が中堅層の母集団づくりの本丸かもしれません。

求職者の関心 × 企業の発信──4象限で整理する

求職者が動いていないからといって、何もしないわけにはいきません。とはいえ「とにかく媒体出稿」「とにかくスカウト」では消耗するばかり。求職者側の「関心の温度」と、自社からの「発信の強さ」を縦横に取り、いまどこに位置しているかを整理してみます。

MATRIX
求職者の関心:低 × 発信:弱
様子見ゾーン
市場が動かないから当社も動かない、という状態。応募ゼロが続きやすく、来期の採用計画がそのまま遅延する可能性。
求職者の関心:高 × 発信:強
採用が成立するゾーン
求職者の動きが小さくても、自社のメッセージが定まっていれば「動いた瞬間」に選ばれる。中堅・即戦力を獲得しているのは大半がここ。
求職者の関心:高 × 発信:弱
機会損失ゾーン
候補者は気になっているのに、求人票や採用サイトに情報が薄く、検索段階で離脱されている状態。「興味はあったのに調べきれなかった」と言われがち。
求職者の関心:低 × 発信:強
仕込みゾーン
いますぐの応募にはつながらないが、認知や好感を蓄積している状態。「動き出した瞬間」に思い出してもらえるかは、ここの積み上げ次第。

いま自社がどの象限にいるか、感覚値でいいので置いてみるとよさそうです。「動かない市場」では、いきなり右上に飛び込むのは難しいもの。多くの中小企業にとっては、「左下→右下(仕込み)→右上(成立)」という順序で動かしていくのが現実的かもしれません。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

企業の採用活動が活発な一方で、求職者は3.7%しか動いていない。この11倍ギャップは、しばらくは縮まらないかもしれません。母集団に頼った採用設計だけでは、想定どおりに人が集まらない感覚は、わたしたちCoachers自身も6人の組織で日々感じています。

こういう市場で効くのが、HRブランディングの考え方だと感じています。求人広告・採用サイト・紹介資料・面談トーク・SNSが、ばらばらに「いいことを言う」のではなく、同じ価値観・同じ言葉づかいで一貫していること。動いていない求職者が、ふと自社を思い出した瞬間に「あ、ここはこういう会社だった」と像がつながることが、3.7%の中での歩留まりを左右する気がしています。

2026年4月の今、もし採用が思うように進んでいないなら、母集団を増やす前に「自社の見え方が一貫しているか」を見直すタイミングかもしれません。マトリクスでいう「仕込みゾーン」を整えておくことが、半年後・1年後の採用力につながると、わたしたちは考えています。

今日からできる4つのアクション

ACTIONS
STEP 01
自社の象限をざっくり置く
直近3か月の応募数・面談数・面談から内定の通過率を見て、「関心×発信」のマトリクスのどこにいそうか、チームで仮置きしてみる。
STEP 02
業種・年代の温度感を確認
自社が採りたい業種・職種の活動率、ターゲット年代(30代/20代)の動きを把握し、「いま市場で取りに行ける現実値」を擦り合わせる。
STEP 03
媒体・採用サイトの一貫性を点検
求人原稿・採用サイト・紹介資料・面談トークで「同じ言葉、同じ強み」を語れているか、3〜5件並べて読み直す。ズレがあればまずその統一から。
STEP 04
「動いていない人」への種まきを設計
採用サイトの社員ストーリー、SNS発信、リファラル経由の接点など、応募がなくても「思い出してもらえる仕掛け」を月1本ペースで仕込む計画を立ててみる。
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