採用がHRテック導入57%で先行──大手調査が示す「温度差」と中小の打ち手
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採用がHRテック導入57%で先行──大手調査が示す「温度差」と中小の打ち手

Branding, 2026.05.29 By 中村 尚人

「うちの会社、HRテックって導入したほうがいいのかな?」──そう聞かれて、即答できる方は意外と多くないかもしれません。

日本経済新聞社が5月25日に公開した『人的資本経営調査2026』では、大手企業の人事領域でHRテックがどこまで使われているかを、採用・育成・選抜・配置・評価の5領域で初めて測ったそうです。最も高かったのは採用分野の57%、次が育成の46%。残り3領域はそれ以下にとどまりました。

「採用だけが先に動いている」というこの温度差は、何を意味しているのでしょう。今日はこの数字を入口に、わたしたちCoachersも一緒に、中途採用の現場が次にどこへ目を向けるかを考えてみたいと思います。

HRテック導入、採用領域は”過半数超え”

KEY METRIC
57%
採用分野で活用
5領域でトップ、唯一の半数超え
大手企業560社への調査で、HRテック(AI含む)を「採用」で活用していると答えた割合。育成・選抜・配置・評価の4領域より頭ひとつ抜けて、人事のデジタル化のなかで最も実装が進んでいる場所が「採用」だと示されました。

調査は560人の大手企業人事担当が答えたもので、回答者規模からするとそれなりに業界の現在地を映していると言えそうです。「採用」だけが半数を超えた背景には、応募管理・スカウト・書類選考といったオペレーションが、もともと”型化しやすい仕事”だったことがありそうです。

逆に言うと、ここに乗り遅れている会社と、すでに走り出している会社の差が、これから可視化されていくフェーズに入ったとも言えるかもしれません。

5領域の”温度差”を見てみる

IMPACT MAP
採用57%
 
育成46%
 
評価46%未満
 
選抜46%未満
 
配置46%未満
 
※採用57%・育成46%は調査で明示、評価・選抜・配置の3領域は「それ以下が続く」とのみ公表されており、図中の濃さは順位イメージとして表記しています。

「採用」と「育成」が一段抜けていて、「評価・選抜・配置」がそれ以下に並ぶ。この並びを見て、なるほどな、と感じる方もいるかもしれません。採用と育成は”入口と立ち上げ”の話、評価・選抜・配置は”組織のなかの判断”の話。後者は、テクノロジーで補助はできても、最後は人の意思決定が必要になりやすい領域です。

逆に言えば、採用は「会いに行く・応募してもらう・選考する・連絡する」というステップが比較的明確で、ツール化との相性がそもそも良い領域だった、ということでもありそうです。

なぜ”採用だけ”が先に動いたのか

FAQ
Q
なぜ採用領域だけがこれほど先に進んだのでしょうか?
A
採用業務は、応募受付・書類選考・面接調整・スカウト送信など同じ作業の反復が多いため、自動化や生成AIの効果が見えやすい領域です。「効果が測りやすい→投資判断しやすい」のサイクルが回りやすかったと言えそうです。
 
Q
大手の話で、中小企業には関係ない気もするのですが?
A
確かに調査対象は大手中心です。ただ、応募者から見れば大手も中小も同じ「採用市場」のなかで比較されているのが現実です。返信スピード・スカウト文面・面接体験などで差がつきやすくなる、という意味で、中小企業ほど”工夫の余地”が大きいテーマかもしれません。
 
Q
いきなり高額なツールを入れるしかないのでしょうか?
A
そういうイメージが強いのですが、まずは「いまの採用業務のどこに時間がかかっているか」を一度書き出すところからで十分かもしれません。スカウト文の下書き、求人原稿の見直し、応募対応の定型化など、生成AIで補える小さな範囲から始めている会社も増えてきています。

「HRテック導入」と聞くと急に大ごとに感じてしまいますが、調査の中身を読み解くと、要はこの数年で“採用領域のオペレーションが、いちばん早く整い始めている”という話に近いように感じます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

「採用が57%でトップ」と聞いて、わたしたちが少し気になっているのは、これは”企業側だけの話”ではないという点です。応募管理・スカウト・書類選考でAIを使うのは、正直もう「まあそうだよね」という感覚に近づいてきました。ただ、同時並行で進んでいるのは──求職者側もすでにAIを使い始めている、という現実のほうです。

スカウト文の下書きはAI、職務経歴書もAI、ChatGPTに「この求人で通る志望動機を書いて」と相談する応募者は珍しくなくなってきました。つまり57%という数字の裏側で、選考の現場は静かに「AI対AIのやり取り」に変わりつつあるように見えます。AIが書いた求人にAIが書いた応募書類が届き、AIの要約をもとに面接者が候補者を見る──その流れの中で、何が”決め手”になるのか。ここが、これからのHRブランディングの新しい問いになっていく気がしています。

AI同士のやり取りはどうしても均質化しやすいぶん、最終的に効くのは「会社の素」が見える部分──オフィスの空気、社員の表情、現場で実際に使われている言葉──のような気がしています。求人広告の一文や採用サイトの構成は、AIで効率化できる範囲を切り分けつつ、残りの「素を伝える設計」をどう描くかにウェイトが移っていく。わたしたちCoachersも自分たちの現場で、そう感じています。

ACTIONS
採用業務の”時間の使い方”を1週間だけ書き出してみる
スカウト送信・原稿修正・応募対応・面接調整など、どの作業に時間が乗っているかをメモするだけ。HRテックの検討は、その後でも遅くないかもしれません。
 
求人原稿とスカウト文の”芯”を1本だけ書き直してみる
どんなツールを入れても、土台のメッセージが同じだと差がつきにくいです。「この会社で働くと何が起きるか」を一文で言えるか、を起点にしてみるのがおすすめです。
 
生成AIに任せる範囲と任せない範囲を線引きする
下書きはAI、最終調整は人、のように役割を切り分けてみると、運用が崩れにくくなります。判断の部分にだけ時間を残しておけると、品質も守れます。
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5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。
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REFERENCES

 

中村 尚人

中村 尚人 取締役/ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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