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即戦力を求めすぎていませんか──不足が「量から質」へ移る今、要件のたな卸し
「求人を出しているのに、即戦力が来ない」──最近、そんな声をよく耳にする気がしています。応募がゼロなわけではない。でも、こちらが求めたスキルや経験にぴったり当てはまる人がなかなか現れない。そんなもどかしさです。
マイナビの最新調査では、募集当初に求めた要件を満たさない場合「採用しないことが多かった」企業が62.1%。前年より7.7ポイントも増えていました。要件を下げて頭数をそろえるより、満たす人を厳選する動きが強まっているようです。
でも、ここで一度立ち止まりたいのです。私たちが掲げている「即戦力」の要件、本当に全部が必要なものでしょうか。今日は、不足の中身が「量」から「質」へ移ってきた背景と、要件をたな卸しするやり方を、わたしたちCoachersも一緒に考えてみたいと思います。
不足の中身が「量」から「質」へ動いている
同じ調査で、正社員に「不足感がある」と答えた企業は40.1%。前年より落ち着いたとはいえ、まだ4割を超えています。注目したいのはその中身です。人数そのものが足りない「量的な不足」は減り、高スキル人材や即戦力といった「質的な不足」が増えていました。
退職した社員の影響をみても、痛手が大きいと答えられた割合が最も高かったのは勤続5年以上の中堅社員(68.8%)でした。中堅層が抜けた穴は、人数を採るだけでは埋まりにくい。だからこそ「質」への渇望が強まるのは自然なことだと感じます。不足の正体が変わってきている、という見立てです。
要件を満たさないと「採用見送り」が6割超
質を重視する流れは、選考の判断にもはっきり表れています。募集当初に求めたスキルや経験を満たさなかった場合、「採用しないことが多かった」と答えた企業は62.1%。前年から7.7ポイント増えていました。しかもこの傾向は、従業員数が少ない企業ほど高かったそうです。
厳選すること自体は、悪いことではないと思います。ミスマッチを防ぎたい気持ちは、わたしたちもよく分かります。ただ、要件を高く積み上げたまま「満たす人を待ち続ける」と、母集団がやせ細り、採用は止まってしまう。「質を落とさない」ことと「要件を盛りすぎない」ことは、両立できるはずだと感じています。鍵になるのが、要件のたな卸しです。
「即戦力の罠」から抜ける、要件のたな卸し
求人票の要件欄は、いつのまにか足し算で膨らみがちです。「あったら嬉しい」が「必須」に紛れ込んでいないか。一度ほどいて、組み直してみませんか。次の4ステップで進めると、整理しやすい気がしています。
たな卸しのゴールは、要件を「ゆるめる」ことではありません。本当に外せない一点に集中し、それ以外を魅力と育成で補うこと。質を守りながら、出会える人の幅を広げる。そんなバランスを取り戻す作業だと考えています。
不足が「量」から「質」へ移るというのは、採用が「数を集めるゲーム」から「選ばれるゲーム」へ変わってきた、ということなのかもしれません。質の高い人ほど選択肢を持っていて、こちらが選ぶ前に、向こうから選ばれているからです。
そう考えると、要件を厳しくするほど採用が苦しくなる局面では、HRブランディング──「この会社で働く意味」を伝える力が効いてくる気がしています。たとえば求人広告の要件欄を「翻訳」するだけでも、これまで素通りされていた人に届くことがあります。条件で絞り込む前に、魅力で引き寄せられているか。そんな視点で見直してみる価値はありそうです。
わたしたちCoachersも、つい「即戦力」と書いてしまう一社です。だからこそ、その言葉の裏にある「本当に必要なこと」を、一緒にほどいていけたらと思っています。
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