中途入社者の定着を左右する “最初の90日” の過ごし方
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中途入社者の定着を左右する “最初の90日” の過ごし方

Branding, 2026.04.08 By 中村 尚人

中途採用の内定承諾が出たとき、ほっとした経験のある方は多いのではないでしょうか。求人広告を出し、書類を選考し、何度も面接を重ねて──ようやく「この人だ」と思える方に出会えたときの喜びは、採用に携わる方なら誰もが共感できるものだと思います。

でも、ふと立ち止まって考えてみると、「入社してもらうこと」がゴールになっていなかったか、気になることはありませんか。実は今、中途入社者の3人に1人が3年以内に離職しているというデータがあります。せっかく採用できた方が短期間で辞めてしまうのは、ご本人にとっても会社にとっても、とても残念なことですよね。

今回は、入社後の”最初の90日間”に着目したオンボーディングという視点から、中途入社者の定着について一緒に考えてみたいと思います。

日本の「定着力」、世界と比べてみると──

まずは、いくつかのデータから今の状況を見てみましょう。日本企業の従業員エンゲージメント(仕事への熱意や会社への愛着)は、世界的に見てかなり低い水準にあることが分かっています。

6%
日本の従業員エンゲージメント率
(世界平均23%/139カ国中137位)
約30%
中途入社者の3年以内離職率
(中小企業庁調べ)
33%
転職を検討中の労働者の割合
(Gallup 2024年調査)

エンゲージメントが高い事業部門は、低い部門に比べて離職率が51%低いというデータもあります(Gallupメタ分析)。つまり、「入社後にどれだけ会社に愛着を持ってもらえるか」が、定着に直結しているということかもしれません。

オンボーディングに力を入れると、何が変わる?

エン・ジャパンが416社を対象に実施した調査では、中途入社者のオンボーディングに「力を入れている」と回答した企業と、そうでない企業との間に、はっきりとした違いが見られました。

オンボーディングへの取り組みと成果の比較

定着率が高い(力を入れている企業)

36%

定着率が高い(力を入れていない企業)

20%

パフォーマンスが高い(力を入れている企業)

33%

パフォーマンスが高い(力を入れていない企業)

17%

出典:エン・ジャパン「中途入社者のオンボーディングと入社後活躍に関する調査」(416社)

また、中途入社者が早期に離職してしまう理由として、以下のような声がよく聞かれます。

仕事内容のギャップ

「期待していた仕事内容と実際が違った」──入社前の情報提供と入社後のすり合わせが不足していると起きやすい課題です。

人間関係の構築に苦戦

「上司や同僚との関係がうまくつくれなかった」──特に中途入社者は”既にできあがった輪”に入る難しさを感じやすいようです。

受け入れ体制の不足

「教育体制が整っていなかった」──即戦力という期待が先行し、フォローが後回しになってしまうケースは少なくないかもしれません。

これらに共通しているのは、入社後の”体験”が十分に設計されていないということ。逆に言えば、最初の90日間を丁寧にデザインすることで、こうした離職理由の多くをやわらげることができるのではないでしょうか。

“最初の90日”をデザインする──3つのフェーズ

オンボーディングの成果が出ている企業の多くは、入社後の90日間を3つのフェーズに分けて設計しています。それぞれのフェーズで「何を感じてもらいたいか」を意識しておくと、施策の優先順位が見えてきます。

Phase 1|入社〜2週間:安心をつくる

業務環境の整備、歓迎ランチ、メンターの紹介、社内ルールの共有。「ここに来てよかった」と思える最初の体験を。

Phase 2|2週間〜1ヶ月:つながりをつくる

他部署との顔合わせ、1on1の開始、小さな成功体験の機会提供。「自分の居場所がある」と感じてもらうフェーズです。

Phase 3|1ヶ月〜3ヶ月:手応えをつくる

目標設定と振り返り、成果へのフィードバック、キャリアの対話。「この会社で成長できそうだ」という実感につなげます。

C
Coachersの視点
HRブランディングの観点から

私たちは採用活動を「求人広告を出す→応募を集める→内定を出す」という一方通行のプロセスではなく、入社後の体験まで含めたブランド体験として捉えています。

求人広告や採用サイトで「こんな会社です」と伝えたメッセージが、入社後の実体験と一致しているかどうか──これが、中途入社者のエンゲージメントを大きく左右するのではないかと感じています。

例えば採用サイトや採用ピッチ資料が整備されている企業であれば、求職者は事前にイメトレをすることもできる。入社後に何か迷った際の指針にもなる。何度でも見返すことができます。

つまり、オンボーディングは単なる「受け入れ研修」ではなく、採用ブランディングの延長線上にあるもの。採用段階で約束した価値を、入社後にきちんと届けること。それが、定着率を高めるいちばんの近道かもしれません。

今日からできる4つのこと

1

入社初日の”体験”を書き出してみる

直近の中途入社者が初日にどんな体験をしたか振り返ってみましょう。「歓迎されている」と感じてもらえる初日だったかどうかが、最初のチェックポイントです。

2

1ヶ月後の面談を予定に入れる

入社1ヶ月は不安が高まりやすい時期。上司やメンターとの面談を予め組み込んでおくだけで、「気にかけてもらえている」という安心感につながります。

3

求人広告の内容と入社後をすり合わせる

求人広告や採用サイトに書いた内容と、入社後の実態にギャップがないか確認してみませんか。小さなズレの積み重ねが、入社者の不信感につながることがあります。

4

既存社員にも”受け入れ”を共有する

オンボーディングは人事だけの仕事ではありません。配属先のメンバーに「新しい方が来ます。こんな方です」と事前に伝えておくだけでも、受け入れの温度感はずいぶん変わります。

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出典・参考

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