中途採用比率は50.3%で新卒超え──主要企業5,277社が示す平均と中小の構え方
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中途採用比率は50.3%で新卒超え──主要企業5,277社が示す平均と中小の構え方

Branding, 2026.05.01 By 中村 尚人

2026年度の採用計画で、主要企業の中途採用比率が50.3%と、調査開始以来はじめて過半になりました。日本経済新聞社の「採用計画調査」(主要企業5277社対象)が示した数字です。

「新卒中心、中途は補完」という長く続いた前提が、いま静かに反転しはじめています。けれどニュースとして大きく報じられた一方で、現場の採用担当者にとっては「数字は知ってるけど、自分たちはどう構えればいいんだっけ?」という宙ぶらりんな感覚も正直あるかもしれません。

この記事では、5割超えの中身を分解しながら、6人の小さなチームであるわたしたちCoachersも一緒に考えてみたい「中小企業はこの転換点でどう動くか」を整理してみます。

中途採用比率とは──平均はどのくらいで、なぜ公表が求められるのか

本題に入る前に、言葉の整理をしておきます。中途採用比率とは、その年度に採用した正規雇用労働者のうち、中途採用者が占める割合のことです。新卒採用者数と中途採用者数を足したものを分母に、中途採用者数を分子に置いて算出します。

この言葉を検索される方が多いのには、理由がふたつあります。ひとつは、自社の比率が世の中と比べてどのあたりかを知りたいという実務上の関心。もうひとつは、一定規模以上の企業には公表が義務づけられているためです。

RULE / 中途採用比率の公表義務
対象 常時雇用する労働者が301人以上の企業
公表する内容 直近3事業年度の各年度の中途採用比率
頻度・方法 おおむね年1回・公表日を明らかにして
インターネット等で求職者が閲覧できる形に
開始時期 2021年4月1日から

出典:厚生労働省「中途採用比率の公表について」(労働施策総合推進法にもとづく制度)

では、平均はどのくらいなのでしょうか。ここは注意が必要で、「中途採用比率の平均」としてひとつの公式な数字があるわけではありません。調査ごとに対象企業も定義も違うため、出てくる数字は幅を持ちます。この記事で扱う50.3%も、主要企業5,277社を対象にした調査から出た数字であり、日本の全企業の平均ではない点は押さえておきたいところです。

ただ、方向としてはどの調査もおおむね一致しています。中途が新卒を上回る水準まで来ていて、その傾向はここ数年で強まってきた。300人未満で公表義務のない会社にとっても、この数字は他人事ではありません。義務がある企業が比率を出しはじめたことで、候補者が「この会社は中途をどう扱っているか」を数字で確かめられる時代になったということだからです。

「中途50.3%」が意味すること

KEY METRIC
50.3%
中途採用比率
主要企業の採用計画、はじめて中途が過半に
日経の2026年度採用計画調査で、主要企業の中途採用比率が50.3%。前年度に続き5割を超え、今年度は調査開始以来はじめての過半となりました。新卒一括採用を前提にしてきた日本企業の採用設計が、構造の真ん中から組み変わりはじめています。

この50.3%という数字は「新卒採用が縮んだ」だけの話ではなさそうです。即戦力を求める動きが広がり、特に通信・電機・自動車といった事業転換のスピードが速い業界で中途比率が伸びている、と日経は分析しています。AIやデジタル領域など、新卒で育てる時間を待っていられない領域の存在が、採用設計を中途寄りに引っ張っているということなのかもしれません。

ただ、ここで忘れたくないのは、これが「採用全体のパイが増えた」という話ではないことです。求職者市場は依然として活発に動いているわけではないなかで、企業側だけが中途の比重を上げに来ている──つまり、限られた候補者を、より多くの企業が中途枠で取り合いに行く構図に近づいています。

どこで中途比率が伸びているのか

IMPACT MAP
通信・情報サービス
電機・精密
自動車・輸送機中〜高
商社・サービス
建設・素材緩やか

伸びの大きい業界の共通点は「事業の主戦場が、いま動いている」業界だということです。AI人材、ソフトウェアエンジニア、SaaSのプロダクトマネジャー、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)領域の技術者──こうした「数年前は社内に存在しなかった役割」を埋めるのに、新卒で育てる時間軸では間に合わない、という事情が大きいように感じます。

一方、中小企業からすると、「うちの業界は中途比率が緩やかだから関係ない」とも言いきれません。なぜなら、大手が中途市場のパイを取りに来ていること自体が、自社の中途採用の難易度を底上げしているからです。同じ求人媒体に並んだとき、隣の枠で大手企業が条件を引き上げてくる、という現象は、すでにあちこちで起きています。

これまでの採用設計と、これからの採用設計

COMPARISON
これまで
新卒中心 / 中途は欠員補充
採用人数の中心は新卒で組み、中途は退職者の補充や急ぎのポジションに使う。媒体は「とりあえず大手の総合求人サイト」、メッセージは募集要項中心。
これから
中途主軸 / 新卒は理念・将来投資
中途を「いつでも開けている入口」として常設化。職種別に媒体・スカウト・リファラルを使い分け、メッセージは「この役割で何ができるか」中心に。新卒は会社の文化を継承する将来投資として位置づける。

大切なのは「新卒か中途か」の二択にすることではなく、採用全体の重心を中途寄りにずらしたうえで、それぞれの役割を再定義することではないかと感じています。中途が増えれば増えるほど、入社後すぐに馴染める受け入れ設計や、価値観の言語化(=採用ブランディング)の重要度がむしろ上がる、というのが現場感覚に近いところだと思います。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

「中途採用比率50.3%」という数字は、大手企業の話としてだけ読むと中小企業には縁遠く感じてしまいます。けれど実際には、この数字はそのまま「中小企業が向き合う中途市場の温度」に跳ね返ってきます。同じ求職者を、同じ媒体の同じ画面で、より採用力のある企業と取り合う場面が、これまで以上に日常になっていく、という話だと受け止めています。

こうした環境では、条件勝負だけで戦うのは正直しんどい。だからこそ、HRブランディング──「うちはどんな人と、どんな仕事を、どんな空気で、なぜやっているのか」を具体的に伝える力が、求人広告・採用サイト・スカウト文の一行一行で効いてきます。逆にいうと、これが整っていないと、せっかくの予算もすり減って終わってしまうかもしれません。

わたしたちCoachersも6人の小さなチームなので、「採用にかける時間が無限にあるわけではない」気持ちはとても近いところで分かっているつもりです。一気に全部を変える必要はなくて、まずは「自社の言葉で語れる募集要項を1本」「中途の入り口になる採用サイトを1ページ」──そのあたりから一緒に整えていけたらと思っています。

今日からできるアクション

ACTIONS
STEP 01
中途比率を「見える化」する
直近2〜3年の入社者を「中途/新卒」で分け、自社の比率を出してみます。世の中(50.3%)とのズレに、いまの構えのクセが映ります。
STEP 02
勝ち筋ポジションを1つ決める
中途で本気で勝ちたい職種を1つだけ決めます。全方位ではなく、まず1ポジションだけ採用ブランディングを集中投下する形が現実的です。
STEP 03
募集要項を「役割の物語」に書き直す
業務内容の箇条書きの前に、「なぜ今この役割が必要か」「入社後3カ月で誰と何を進めるか」を一段落で書き足してみます。中途候補者の意思決定はここで動きやすいです。
STEP 04
入口を1チャネルだけ増やす
求人広告だけに頼らず、スカウト・リファラル・採用サイトのいずれか1つだけ「常時開いている入口」を増やします。一気に全部はいりません。
FAQ / よくある質問
Q. 中途採用比率とは何ですか?どう計算しますか?
その事業年度に採用した正規雇用労働者に占める中途採用者の割合です。中途採用者数を、正規雇用労働者の採用数(新卒+中途)で割って算出します。厚生労働省の様式では、小数点以下第一位を四捨五入して公表します。
Q. 中途採用比率の平均はどのくらいですか?
全企業を対象にした公式な平均値はなく、調査ごとに対象と定義が異なるため数字には幅があります。日本経済新聞社が主要企業5,277社を対象に行った採用計画調査では、中途採用比率が50.3%となり、新卒を上回りました。自社の比率を見るときは、どの調査の何と比べているのかをそろえることが大切です。
Q. 中途採用比率の公表は義務ですか?
常時雇用する労働者が301人以上の企業は、2021年4月1日から公表が義務づけられています。直近3事業年度それぞれの中途採用比率を、おおむね年1回、公表した日を明らかにして、インターネットなど求職者が容易に閲覧できる方法で公表します。300人以下の企業に義務はありませんが、任意に公表することはできます。
Q. 中小企業も中途採用比率を意識する必要がありますか?
義務の対象でなくても、意識しておく価値はあります。大手が比率を公表するようになったことで、候補者は「中途がどれだけ活躍している会社か」を数字で比べられるようになりました。人数が少ない会社ほど比率は振れやすいので、数字を出すなら、その背景まで一緒に語れる状態にしておくことをおすすめします。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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