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「勤務地を選べる」会社が増えている──3社の制度から考える中小の打ち手
「転勤、ありますか?」──応募者からこの一言が出たとき、どう答えるか。最近、面接の最終盤でこのやり取りが内定承諾を左右する場面が増えてきた気がしています。
2025年10月の改正育児・介護休業法施行を一つの節目に、「働き方を選べる」制度を打ち出す会社の発表が続いています。2026年4月にも複数社が運用を開始しました。
ただ、わたしたちCoachersも「制度を新設するには会社が小さすぎる」という現実は痛いほど分かります。それでも、何かできることはあるはず。同じ目線で一緒に整理してみたいと思います。
背景:法改正で「選べる働き方」がベースラインに
2025年10月に施行された改正育児・介護休業法は、3歳以上・小学校就学前の子を持つ社員に対し、企業が「柔軟な働き方を実現するための措置」を5項目から2つ以上選んで実施することを義務付けました。フレックス、テレワーク、保育施設、養育両立支援休暇、短時間勤務──このうち2つ以上です。
大手はすでに対応がほぼ標準装備に近い状況。一方で、求職者の側は「制度の有無」よりも「自分のケースで使えるか」を見ています。今回は、勤務地という分かりやすい軸で動いてきた3社の事例を眺めてから、中小企業が今日できることを考えてみます。
「勤務地を選べる」3社の打ち出しを比べてみる
3社を並べてみると、設計の進化が見えてきます。森永乳業のように「事情がある人向け」から始まった制度が、ダイハツでは「働き方の多様化」という前向きな文脈に広がり、ユアテックでは「希望でも事情でも、どちらでも選んでいい」と入口を二つにした。利用しやすさの設計が、年々ていねいになってきている印象を受けます。
中小企業の現実──「制度を作る」の前にできること
ここまで読んで、「うちには無理」と感じる採用担当者の方が多いと思います。実際、6人のCoachersでも同じ感覚です。3社のような制度を整えるには、人事専任者と何ヶ月もの設計期間が必要で、現実的ではない。
ただ、応募者が知りたいのは制度名そのものではない、というのも事実です。むしろ、思い込みのほうが採用機会を狭めているかもしれません。
3社の打ち出しに共通しているのは、「対象者と適用条件をはっきり書いている」点です。ぼかして書くと利用が広がらないし、求職者も逆に不安になります。中小企業がこの真似をするなら、「うちは何に応えられて、何には応えられないか」を一文ずつ書き出すところから始めるのが、結局いちばん近道なのかもしれません。
3社の事例を並べてみて感じるのは、制度の本質は「使う人がいる」ところまで設計されているか、という点です。森永乳業の事情ベース、ダイハツの多様化、ユアテックの2類型併走。アプローチは違いますが、いずれも「誰がどんなときに使えるか」がはっきりしています。
中小企業がHRブランディングとして打ち出すなら、制度名を真似るより、自社で実際に起きた個別対応のエピソードを集めるほうが効きます。「育児で時短にした人がいる」「介護で勤務地を相談した人がいる」──そうした事実を、応募者が読んで「自分も使えるかも」と思える粒度で書く。それだけで、採用ページの説得力は変わってくる気がしています。
わたしたちCoachersも小さなチームで、制度として完備されているわけではありません。ただ、ひとりひとりの事情に応じてどう動いてきたかを言葉にすることはできる。同じ立場の中小企業の皆さんと、その「言語化」の部分でご一緒できたらと感じています。
- 厚生労働省「育児・介護休業法等改正法 パンフレット(2025年10月施行)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
- HRプロ「ユアテック、『勤務地希望制度』など新たな人事制度を2026年4月に導入」 https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3669
- 厚生労働省(多様な正社員)「勤務地などを限定した『多様な正社員』の円滑な導入・運用に向けて」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/file/01-270227.pdf
- 顧問弁護士なら企業法務に強いデイライト法律事務所「地域限定社員とは?導入ポイントを事例付きで解説」(ダイハツ・森永乳業の事例参照) https://www.komon-lawyer.jp/column/roumu/column118/
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