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9割が活用、でも「判断」は5%──経団連レポートに見るHR×AIの境界線
経団連が2026年4月に公表した「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」を読みました。会員企業75社のうち、9割超が何らかの形でAIを活用している――。ここまではニュースで目にした方も多いかもしれません。
けれど報告書を一枚めくると、別の数字が見えてきます。同じ「HR領域」のなかでも、評価や報酬の決定といった”判断”のAIに踏み込んでいる企業はぐっと少ない。OECDの国際比較では、日本で評価・報酬決定にアルゴリズムを使っている割合は5%にとどまっています。
9割が踏み出していて、5%しか踏み込んでいない――この境界線の上で、私たちはいま何を考えればよいのでしょうか。中堅・中小の採用担当の方と一緒に、レポートの中身を整理してみたいと思います。
9割超──HR×AIは”特別なこと”ではなくなった
大企業中心の調査ではあるものの、これだけの母集団で9割超という数字は、HR領域でも”AIを使っているかどうか”を問う段階は過ぎたことを示しています。これからの問いは、どの業務に、どこまで任せるか。それを社内でどう設計するか。中堅・中小だからといって、議論のテーマ自体は変わらない気がしています。
領域別に見ると、進んでいる場所と踏み込んでいない場所がある
トップに立つのが「採用」というのは少し意外かもしれません。応募者のスクリーニング(15社)、面接サポート(13社)、求人票作成(6社)など、「準備」や「下処理」のところからAIが入っているのが特徴です。労務管理は労務相談の一次対応をチャットボットで担うパターンが中心で、こちらも”質問に答える”レベルの活用が多い印象です。
一方で、「人材配置」「人事評価」と進むほど数字は下がり、「報酬」までいくと7%。“人を判断する”領域に近づくほどAIは慎重に扱われている──そんな緩やかなグラデーションが見えてきます。
なぜ「判断」のAIは広がりきらないのか?
数字を眺めていて感じたのは、「AIを入れるか入れないか」より、「どこからは人が判断するか」を言語化する作業がいまの肝なのかもしれない、ということです。9割と5%のあいだに線を引いているのは、技術ではなく、私たちが何を”人の仕事”だと思っているか、なのかもしれません。
採用領域でのAI活用が一番進んでいた、という結果は、わたしたちCoachersのような小さなチームから見ても腑に落ちる気がしています。求人票のたたき台、応募者のスクリーニング、面接の議事録──「下処理」の領域は、AIが入ることで担当者の時間と気力に余白が生まれるところでもあります。
一方で、応募者の方からすると「自分はAIに評価されるのか、人に見てもらえるのか」という気持ちは、想像以上に大きいようにも感じます。AIが入っている前提のうえで、HRブランディングとして「最終的な判断は人がしている」「AIは下処理に使っている」を、応募者に伝わるかたちで設計することが、これからの選ばれる会社の条件になっていきそうです。
「AIを入れるかどうか」ではなく「どこにAIを入れて、どこは人が向き合うか」を、自分たちの言葉で語れる会社。──そういう会社を、一緒につくっていきたいと感じています。
今日からできる、3つのアクション
- 経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日) https://www.keidanren.or.jp/policy/2026/016.pdf
- 週刊 経団連タイムス「報告書 HR部門におけるAI等の活用」(2026年4月16日 No.3726) https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2026/0416_03.html
- MVV Insights「9割が活用、評価AIは5%だけ ─ 経団連報告書が描くHR×AIの3本柱」 https://www.mvv.jp/guide/human-capital/keidanren-hr-ai-2026
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