初任給を引き上げた会社は75.6%、勢いは-7.6pt。中小企業の”次の打ち手”
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初任給を引き上げた会社は75.6%、勢いは-7.6pt。中小企業の”次の打ち手”

Branding, 2026.05.13 By 中村 尚人

「うちも新卒の初任給を上げないと、もう人が採れないですよね……」──そんな会話を、最近とくに耳にする気がしています。

労務行政研究所が2026年5月11日に発表した調査では、東証プライム上場205社のうち75.6%が「全学歴で初任給を引き上げ」。一見すると賃上げの大波は続いているように見えますが、前年の83.2%からは7.6ポイント下がっており、勢いは少し落ち着いた印象もあります。

今日は、この数字を中途採用担当者の視点で読み直しながら、「金額以外」で選ばれる会社になるための一歩を、わたしたちCoachersも一緒に考えてみたいと思います。

75.6%が初任給を引き上げ。ただし、上げ幅は緩やかに

KEY METRIC
75.6%
全学歴で引き上げ
プライム上場205社の初任給引き上げ動向
2026年度に「全学歴で初任給を引き上げた」と回答した企業は75.6%。依然として4社に3社が賃上げを実施しているものの、前年(83.2%)からは7.6ポイント下がりました。賃上げの「踊り場」が見え始めています。

調査対象は東証プライム上場の1,543社で、回答した205社の速報集計結果です。大卒だけで見ると85.6%の企業が引き上げを実施しており、上げ幅は平均16,754円。最多レンジは「10,000円〜12,000円」(20.7%)でした。

気になるのは、この調査が「プライム上場企業」を対象としている点です。中小企業や非上場企業まで含めれば、引き上げ実施率はさらに低くなる可能性があります。“上げた会社”と”上げきれない会社”の差が、確実に広がり始めているのかもしれません。

学歴別の金額と前年比──26万5,708円という新しい基準

TREND
大卒初任給(一律設定)
26.57万円
▲ +1.7万円
平均引き上げ額(大卒)
大学院修了
28.26万円
▲ 引き上げ多数
平均値
高卒(一律設定)
21.79万円
▲ 引き上げ継続
平均値
引き上げ実施率(前年比)
75.6%
▼ -7.6pt
前年83.2%から減

大卒の初任給26万5,708円という金額は、ここ数年で耳慣れたラインになってきました。ですが採用担当者として気になるのは、「これが今いる中堅社員の給与とどう響き合うか」という点ではないでしょうか。

入社2〜3年目の社員と新卒の差がほとんどなくなる、いわゆる「給与逆転」は、中途採用にもじわじわ影響してきます。「もう一段、年収を上げないと採れない」と感じるシーンが増えているかもしれません。一方で、賃上げ”だけ”で勝負し続けるのは、体力的にも限界があります。

採用担当者が抱える、初任給アップ時代の素朴な疑問

FAQ
Q
うちは初任給を上げきれない。それでも勝てますか?
A
“金額で勝つ”よりも、「働き方・成長環境・人」のリアルを見せきれているかが効くケースが多い気がしています。求人票だけでなく、採用サイトや動画・社員インタビューで日常を伝えると、応募者の判断軸が”年収”から”納得感”に少しずつ移っていきます。
Q
新卒に合わせて、中堅・中途の給与も見直すべき?
A
“全員一律で上げる”のは難しくても、等級ごとの賃金カーブを引き直しておく動きは進めておきたいところです。中堅が「新人と給与が変わらない」と感じた瞬間に、定着リスクが急に立ち上がってきます。
Q
求人広告では、給与以外の何を打ち出せばいいですか?
A
配属チームの人柄、入社後3ヶ月のオンボーディング、評価のされ方──いわゆる“入社後がイメージできる情報”を具体的に書いてあげると、年収差をある程度カバーできることがあります。「働く前から働いた気になれる」状態を、いかにつくれるか、です。

この調査結果は、新卒採用の話のようでいて、実は中途採用や既存社員の処遇まで地続きでつながっています。「初任給を上げる/上げない」だけで判断するのではなく、自社の賃金構造・採用メッセージ・社員体験を、もう一度全体で見直すきっかけになる調査だと感じています。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回の調査が示す75.6%という数字は、裏を返せば「4社に1社は全学歴では上げ切れていない」とも読めます。決して特殊な会社の話ではなく、多くの中小企業がそちら側にいるはずです。

そして賃上げ自体は素晴らしい打ち手ですが、それ単体だと「他社が同じ額に追随した瞬間、また下を見られる」構造になりやすい性質があります。だからこそ、わたしたちはHRブランディング──つまり、求人広告・採用サイト・動画・紹介資料を通じて、自社の働き方や人の魅力を一貫して伝え続けることに、もう一度光を当てていきたいと思っています。

「金額で並べない部分」を可視化する仕事は、地味ですが本当に効きます。初任給を上げるかどうかという議論と並行して、“うちの会社で働くって、こういうことです”を改めて言語化してみる。今日からできる最初の一歩は、案外そのあたりかもしれません。

ACTIONS
“初任給26万5,708円ライン”と自社を並べてみる
自社の大卒初任給と平均値の差を確認し、その差分を「金額」「働き方」「成長環境」のどこで埋めるかを言語化してみませんか。
入社2〜5年目との”給与カーブ”を見直す
新卒の初任給を上げるなら、中堅層との差がどう動くかをセットで点検。賃金カーブの逆転リスクを一度可視化してみるのがおすすめです。
求人広告に”入社後がイメージできる情報”を1つ足す
配属チームの人数構成、評価のされ方、最初の3ヶ月の動き方など、年収では伝えきれない情報を1つだけ追加してみる。最初の改善は小さくて大丈夫です。
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採用活動チェックシート
5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。
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