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30代の “組織資源” は20代より低い──1万人調査が映す中間層の孤立と採用への影響
「最近、30代の社員と何を話したか思い出せない」――そんな感覚、ありませんか。一番のミドル層なのに、20代ほど手をかけられず、管理職ほど裁量も渡されていない。会社の中で、いちばん”見えにくい層”になっている気がします。
アジャイルHRが発表した第4回1万人エンゲージメント調査では、30代の「会社レベルの資源」スコアが20代より0.44pt低いという結果が出ています。20代より上の世代のほうが、組織からの支えを感じられていない――これは少し意外な数字かもしれません。
採用と定着は地続きです。30代がじわじわ抜けていく会社は、結局そのぶんを中途採用で埋め続けることになります。今日は、わたしたちCoachersも一緒に考えてみたい「中間層の孤立」と、採用ブランディングの結びつきについて整理してみたいと思います。
世代別に見ると、30代が一番”組織からの支え”を感じづらい
「会社レベルの資源」とは、研修機会・情報共有・経営との接点・サポート体制など、組織から得られる支援を従業員がどう感じているかを示すスコアです。アジャイルHRと東京大学の共同研究によるエンゲージメントサーベイで、2026年の1万人調査では20代以下=2.76、30代=2.32と、約0.44ptの差が出ました。
20代は新人としての教育投資、40代以上は役職や決裁ラインへの参画と、どちらも会社との”接点”を感じる機会があります。一方で30代は、新人ではないが管理職でもない――いわば会社の真ん中にいるのに、会社との接続が一番細くなる時期。多くの企業で起きがちな構造です。
30代の「成長機会」は、2024年をピークに下がり続けている
コロナ明けで研修・キャリア面談が一巡し始めたタイミング。
人的資本開示の流れで、リスキリング・越境学習などの施策が広がった年。
人手不足の長期化で、目の前の業務優先・育成は後回しになった企業も。
2年連続のダウン。”伸びしろがある実感”を持てない30代が増えている可能性。
同じ調査では、30代の「成長機会」スコアの推移も公開されています。2024年の2.67をピークに、2025年=2.59、2026年=2.51と2年連続で下がっています。会社の中で”これから何ができるようになるか”の手触りが、少しずつ薄くなっているように見えます。
30代は、転職市場でも一番需要が高い層です。「いまの会社で次の一歩が見えない」と感じたとき、そのまま転職活動に切り替えるのが一番自然な世代でもあります。結果として、採用担当のもとには30代の中途求人ばかりが積み上がる――そんな状況、心当たりがある方もいるかもしれません。
“いま30代社員の頭の中で起きていること”を想像してみる
Mさんのような人は、目に見える形で不満を口にすることが少ない層です。実績もあり、年次も上がっているので、上司から見れば「ちゃんとやってくれている人」。だからこそ、組織からの能動的な働きかけが減っていく。気づいたときには転職エージェントとの面談が入っている――そういう構造です。
採用の現場から見ると、ここでもう一つ大事な視点があります。転職市場に出てきた30代は、まさに同じことを次の会社にも警戒しているということ。「入社しても、また同じように”見えない層”になるのではないか」――この不安に応えられるかどうかが、応募・面談・内定承諾のすべての場面で問われます。
わたしたちCoachersも、お客様の採用支援をしていて「30代がうまく採れない・続かない」というご相談を本当によくいただきます。多くの場合、原因は給与でも知名度でもなく、“入社後の景色が想像できない”ことにあるように感じています。
採用サイトの情報設計という視点で見ると、若手向けの研修や役員のインタビューはよく載っていても、「30代の社員がいま何をしていて、どこに向かっているか」が抜けている会社は少なくありません。そこを丁寧に言語化することは、定着している30代社員にとっても、自分の位置を確認できるHRブランディングの素材になり得ます。
採用と定着は、別々の活動ではなく、「30代に会社が何を返せるか」を社内外に同時に発信する一つの活動として捉えなおせるかもしれません。一緒に整理してみたいテーマです。
- 株式会社アジャイルHR「2026年版第4回全国1万人従業員エンゲージメント調査結果速報――『30代の孤立』と『インフラ産業の活力急落』に警鐘」(2026年5月13日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000040235.html
- 日本人材ニュースONLINE「アジャイルHR、2026年版第4回全国1万人従業員エンゲージメント調査結果速報」 https://jinzainews.net/pressrelease/20260513-3/
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