採用ミスマッチ57.7%、AI生成書類54.2%──面接依存から見直す「見極め」
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採用ミスマッチ57.7%、AI生成書類54.2%──面接依存から見直す「見極め」

Branding, 2026.05.20 By 中村 尚人

「入ってもらったけど、思っていた人と違った」──採用担当をしていると、一度はこの気持ちを経験している方が多いのではないでしょうか。完全に防ぐのは難しいテーマですが、最近の調査を見ていると、その背景にあたらしい要因が静かに加わってきていることが分かります。

エン・ジャパン(back check)が人事担当者1,000名に行った調査では、採用ミスマッチを経験した企業は57.7%。そして応募書類や面接回答で「AIで生成されたとみられる文章」に遭遇した人事は54.2%に達しました。

面接の短い時間と、応募者本人の言葉だけでは、もう人柄や仕事ぶりを十分には掴みきれない──そんな“見極めの限界”が、データで可視化されつつある気がしています。今日はわたしたちCoachersも一緒に、この前提の変化を整理してみたいと思います。

採用後のミスマッチ、6割近くの企業が経験している

同調査では、2025年に「採用ミスマッチがあった」と回答した企業は57.7%。およそ10社のうち6社で、「期待していた人物像」と「入社後の実態」のあいだに、何らかのギャップが生まれていたことになります。

KEY METRIC
57.7%
企業の比率
2025年に採用ミスマッチを経験した企業
「期待していた働き方・スキル・スタンス」と、入社後の実態に何らかのギャップが生まれていた企業の割合。「見極められなかった」と感じている現場が、すでに過半数を超えています。

注目したいのは、「ミスマッチが起きた理由」として人事担当者が挙げているポイントです。「応募者本人の説明や面接回答だけでは、職場での行動特性や周囲との関わり方まで把握しきれない」という構造的な難しさが、上位に並んでいます。能力の問題というよりも、見極めるための情報そのものが足りていない、というニュアンスです。

面接の言葉だけで判断する時代から、複眼で見る時代へ

背景には、生成AIの浸透も無視できなくなっています。同調査では人事の54.2%が「AIで生成されたとみられる応募書類や回答」に遭遇したと回答(頻繁に16.7%、時々37.5%)。6割超の人事担当者が「AI生成の書類で選考判断が難しくなった」と感じている、というデータも出ています。

これまで採用判断のメイン素材だった「履歴書・職務経歴書」「面接でのトークの一貫性」だけだと、もう人物像を立体で捉えづらくなりつつある、ということだと感じています。「面接重視」から「複数の情報で立体的に見る」へ、という移行期に来ている印象です。

COMPARISON
BEFORE
面接の言葉中心の見極め
応募書類と数十分の面接トークが、判断材料のほとんど。応募者本人の語りに、評価が引きずられやすい。AI生成書類が増えると、ここの“足場”がさらに揺らぐ。
AFTER
複眼で見る採用判断
面接に加えて、リファレンス・ワークサンプル・面談記録など複数の情報源を組み合わせる。応募者の自己申告と、第三者からの裏付けを並べることで、人物像が立体的に見えやすくなる。

同じ調査では、十分な見極めができていない理由として、「人事の業務負荷が大きい(34.4%)」「確認できる範囲に限界がある(28.5%)」「客観的に確認する方法がない(26.4%)」が並びます。やる気の問題ではなく、「時間と仕組みのリソースが足りていない」というのが、現場の本音に近そうです。

「見極め」を少しずつ取り戻すための、現場の論点

仕組みを大きく入れ替えるのは難しくても、いまの選考フローを「複眼で見る」方向に少しだけ寄せていくことはできそうです。下のチェックは、面接依存から一歩抜け出すための論点を整理したものです。

CHECKLIST
応募書類の「読み込み視点」を、AI生成混在を前提に整え直しているか。
 
面接の「言葉」だけでなく、応募者の行動エピソードを掘り下げる質問設計になっているか。
 
リファレンス・ワークサンプル・体験入社など、第三者視点が入る選考ステップを1つ以上組み込めているか。
 
「現場で一緒に働く人」が面接の一部に関わり、感じた違和感を共有する場があるか。
 
採用サイト・求人原稿で、自社の働き方や評価軸を“等身大”で開示し、応募側にも自己選別の材料を渡せているか。

どれも一気に変える必要はなく、「いま選考フローのどこに、応募者本人の語り以外の情報が入っているか」を確認するところから始められます。1ヶ所でも増やせると、判断材料の足場はかなり安定してきます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

採用ミスマッチを「応募者の問題」として処理するのは簡単なのですが、調査が示しているのはむしろ「選考側が、十分な見極め情報を集めにくくなっている」という構造変化のほうだと感じています。AI生成書類が遭遇率54.2%になっている時点で、面接の短い時間と本人の語りだけに乗っかった選考設計は、少しずつ前提が崩れつつあると思います。

わたしたちはこれを、HRブランディングの文脈に置き換えて読み直しています。応募者に「自分のことを正しく伝える」ことをすべて委ねるのではなく、企業側から「うちはこういう仕事の進め方で、こういう人が活躍している」という像を、求人広告や採用サイトで先に出しておく。そうすると、応募してきた時点で“相性”がある程度フィルタリングされた状態でテーブルにつけます。「見極め」の手前で、ミスマッチの母数を減らしておく、というアプローチです。

そのうえで、面接の質問設計や、現場メンバーの同席、リファレンス的な情報源を少しずつ足していく。選考フロー全体を、応募者の自己申告と、第三者視点と、自社の発信のあいだで“複眼”に組み直していく作業だと思っています。わたしたちCoachersも、求人広告や採用サイトの設計のなかで、この“前段で母数を絞る”側を一緒に考えていきたいと感じています。

ACTIONS
直近で「採れたが合わなかった」事例を3件、メモから振り返ってみる
どの段階で違和感を取りこぼしたかを言葉にしておくと、面接質問・確認ポイントの改善点が具体的に浮かびます。
 
面接質問を「過去の具体的な行動」を聞く形式に1問でも置き換える
「強みは?」より「直近で困難だった案件を、どう動いて解決したか」のほうが、AI生成の影響を受けにくくなります。
 
採用サイト・求人原稿に「活躍している人の像」を1ブロック書き足す
応募の段階で“相性のいい人”が手を挙げやすくなる。見極めではなく、母数の質を整える側のアプローチです。
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採用活動チェックシート
5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。
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「採れたのに合わない」を減らす、入口設計から一緒に
CoachersはHRブランディングの会社として、求人広告・採用サイト・採用コンサルティングを通じて、「応募者の見極め」の前段にある「母数の質づくり」を一緒に設計しています。等身大の発信で“相性のいい人”を集めるところから、ご相談いただけます。

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REFERENCES

 

中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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