大企業は「スキル」中小は「定着」──中途採用で問い直したい3要素
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大企業は「スキル」中小は「定着」──中途採用で問い直したい3要素

Branding, 2026.05.26 By 中村 尚人

「即戦力が欲しい」。中途採用の打ち合わせで、つい口にしてしまう言葉かもしれません。でも、その”即戦力”の中身、わたしたちは本当に同じ意味で使えているでしょうか。

2026年5月、カオナビHRテクノロジー総研が中途採用担当者300人に聞いた調査では、企業規模で「重視する人材要素」がはっきり分かれていました。大企業はスキル、中小企業は定着。さらに中小企業は「成長意欲」「柔軟性」も合わせて重く見ています。

同じ「中途採用」でも、規模で求めるものは少しずつ違うのかもしれません。今日はこの調査を入り口に、中小・中堅企業の採用担当者として「自社は何を重視している/したいのか」を、一緒に問い直してみたいと思います。

調査が示した、大企業と中小企業の”重視のズレ”

調査対象は、直近1年間に1名以上の中途採用を行った企業の採用担当者300名。直近1年の中途採用人数は「1〜10名」が約5割、採用関連費は「500万円未満」が4割超と、いわゆる”等身大の中途採用”の実態を反映した結果です。

そのうえで「採用時に重視した人材要素」を聞いたところ、大企業と中小企業で見えてきたのが、次のような違いでした。

COMPARISON
大企業が重視
「専門スキル」
即戦力としてのスキルセット・経験値が中心。独自チャネルでの採用にも比較的踏み込めるため、要件を絞った”スキル軸”の採用が機能しやすい。
中小企業が重視
「定着意欲」+「成長意欲」+「柔軟性」
スキルだけでなく、長く働きたいかどうか・伸びていける余白があるか・役割の変化に対応できるか、を含めて見ている。組織の幅が広くないからこそ、人物全体で見るスタンス。

面白いのは、「スキル」と「定着」がきれいに反対側にあるわけではないという点です。大企業も定着を軽視しているわけではないし、中小企業もスキルを見ていないわけではありません。どちらにより重みを置くか、というバランスが規模によってずれている、というほうが近い読み方かもしれません。

中小・中堅企業が立ち止まりたい、3つの問い

調査の結果を「だから定着重視が正解」と一言で片づけてしまうと、自社の手触りからは少し離れてしまう気がしています。むしろ、自社の中途採用が、いまどの要素にどれくらい重みを置いているのか、一度言語化してみるのが先かもしれません。

STAGE FLOW
STAGE 1「重視している要素」を社内で書き出してみる
求人票や面接評価シートの言葉を、スキル/定着意欲/成長意欲/柔軟性/カルチャーフィットの5つに仕分けしてみます。書き出すと、「スキル要件は細かく書いているのに、定着や成長は曖昧」といったバランスのズレが見えてきやすいです。
 
STAGE 2「過去の入社者」と重ね合わせて検証する
直近1〜2年の入社者で、馴染んで活躍している人・早期に離れてしまった人を思い浮かべます。その差は「スキル」だったのか、「定着意欲」「柔軟性」のほうだったのか。実体験ベースで重視要素を絞り込むと、求人票の優先順位を組み直す材料になります。
 
STAGE 3「重視する要素」を求人広告・採用サイトに落とし込む
スキル要件だけでなく、「うちが向き合いたいキャリアの長さ」や「変化への楽しみ方」を、求人原稿や採用サイトの言葉に翻訳していきます。求職者側の自己選別が進み、ミスマッチでの早期離職が起きにくい入口になります。

よくある”つまずきポイント”を、Q&Aで整理してみる

実際にやろうとすると、「定着意欲ってどう見ればいいの?」「成長意欲って測れるの?」といったところで、つい止まってしまうことがある気がしています。実務寄りに2つだけ、置いておきます。

FAQ
Q
「定着意欲」は面接でどう見ればいい?
A
「何年いたいか」を直接聞くより、過去の在籍期間の理由を聞くほうが手がかりになると言われます。「前職を辞めた理由」「以前の会社で続けられた要素」を語ってもらうと、その人にとっての”続けられる環境”が浮かびます。自社がその条件を再現できるかとセットで考えると、定着の解像度が上がりやすい気がします。
 
Q
「成長意欲」と「ガツガツ系」は同じ?
A
同じではないかもしれません。声の大きさやアピール量ではなく、「直近1年で自発的に学んだこと/やり方を変えてみたこと」を具体的に語れるかが、より穏当な指標になります。静かに学び続けるタイプも、立派な”成長意欲”の持ち主です。派手さと成長意欲を切り分けてみると、見落とせる人が減るかもしれません。
 
C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査で印象的だったのは、中小企業の「重視要素」が一つではなく、定着+成長意欲+柔軟性という”3つの組み合わせ”で語られていたことです。スキルのように要件化しづらい一方で、組み合わさったときに「うちで活躍する人」の像が立体的に浮かぶ要素なんだろうな、と感じています。

これは、わたしたちが普段話しているHRブランディングと地続きの話だと思っています。「うちはこういう人に来てほしい」「うちはこういう関わり方を一緒に育てたい」を社内で言語化していく作業は、そのまま採用要件の精緻化と、求人広告や採用サイトでのメッセージ設計につながっていきます。求人広告の原稿を一度見直すだけでも、定着意欲や成長意欲のフィルターは少し変わってくる気がします。

わたしたちCoachers自身も、HRブランディングベンチャーとして同じ規模感の悩みのなかにいます。スキルだけでもなく、人柄だけでもない、その間を行き来する採用基準を、組織の中で言葉にし続けること。地味ですが、長期的には一番効くテーマなのかもしれません。

ACTIONS
求人票・評価シートを「5要素」で仕分けてみる
スキル/定着意欲/成長意欲/柔軟性/カルチャーフィットの5つに振り分け、自社の重みづけの偏りを可視化してみませんか。
 
直近1〜2年の入社者で「定着の手がかり」を棚卸し
活躍している人/離れてしまった人の差を、スキル以外の要素で言語化してみる。次回の面接設計の素材になります。
 
求人広告の言葉から「定着・成長」のメッセージを足す
条件だけでなく「うちが向き合うキャリアの長さ・変化への姿勢」を1〜2行入れるだけで、応募の質が変わり始めます。
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Coachersは、HRブランディングを軸に求人広告・採用サイト・採用ブランディングを伴走している5期目のベンチャーです。スキルと定着のバランスをどう求人原稿に落とすか、ご相談からお気軽にどうぞ。

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REFERENCES
  • 株式会社カオナビ「中途採用において大企業は『スキル』、中小企業は『定着』を重視」(2026年5月15日プレスリリース) https://corp.kaonavi.jp/news/pr_20260515/
  • カオナビHRテクノロジー総研「直近1年間の中途採用実態:企業規模によって異なる『重視する人材要素』」 https://ri.kaonavi.jp/20260515

 

中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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