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アルムナイ採用4割の時代──「辞めた人」にも魅力的でいられたか
「一度辞めた人が、また戻ってくる」── 数年前なら少し珍しい話だったかもしれません。それがいま、J:COMが2026年4月からアルムナイ採用制度の本格運用を始め、マツダも2024年末から本格化させるなど、大企業から少しずつ「制度」として広がりはじめています。
矢野経済研究所の調査では、アルムナイ採用の実施経験がある企業は38.8%。市場規模は2024年度の50億円から、2026年度は130億円規模へ伸びると予測されています。
中小企業にとって、いきなり制度化はハードルが高いかもしれません。でも、辞めた人との関係をどう残すかという問いは、いまの採用市場では避けて通れないテーマになってきている気がしています。今日は、その入り口を一緒に考えてみたいと思います。
アルムナイ採用は、もう「一部の大手の話」ではない
数字を並べてみると、アルムナイ採用はもう「一部の大手企業の話題」ではなくなってきていることがわかります。4社に1社以上が経験あり、市場規模は2年で2.7倍。背景には、中途採用市場の競争激化と「知っている人を採りたい」という企業側の現実があると感じています。
ただ、これは「辞めた人を呼び戻せば、人が足りる」というシンプルな話ではないですよね。むしろ、退職した後も「この会社、悪くなかったな」と思ってもらえているかどうか──そこが問われている気がしています。
J:COMもマツダも──「出戻り」を制度化する流れ
退職者の再雇用を制度として整え、外部経験を還元する流れを明示。
矢野経済研究所が「リファラル・アルムナイ採用支援サービス」の急成長を発表。
家庭事由対象の「ウェルカムバック制度」とは別建てで、外部経験者の即戦力獲得を明確化。
こうやって並べてみると、ここ1〜2年で「退職者は終わったご縁」という前提が静かに崩れてきているのが見えてきます。マツダもJ:COMも、既存の家庭事由による復職制度とは別に、外部経験を積んだ人を改めて迎える枠を設けているのが印象的でした。
一方で、中小企業の人事担当者の方からは「制度をつくるほどの規模はないし、辞めた人とどう連絡を取ればいいのかもわからない」という声もよく聞きます。私たちCoachersも、自社の元メンバーと今でも食事をする機会がありますが、それを「制度」と呼ぶには遠い距離感です。今日のテーマは、そのあたりにも触れてみたいと思います。
「辞めた人にも、魅力的でいられたか?」── HRブランディングからの問い直し
この結果を見て、はっとしました。一番痛いのは新人離職ではなくて、「中堅が抜けたあと」なんですよね。そして、その中堅層こそが、数年後にアルムナイ候補になりうる人たちでもあります。
採用ブランディングというと、どうしても「これから入る人にどう見られるか」に意識が向きがちです。でも本当は、「辞めていく人にどう見送られるか」も、同じくらい大事な接点なのかもしれません。退職時に冷たく送り出した相手は、たぶん戻ってきません。逆に、辞めるときに「いい会社だったな」と思ってもらえたかどうかが、3年後・5年後の応募に効いてくる気がしています。
中小企業が始めるなら、いきなり制度化より「関係を切らない」4ステップ
最初から「アルムナイ制度をつくる」と気負わなくても大丈夫だと思います。STAGE 1〜3は、明日からでも始められる小さな所作の積み重ねです。制度より先に、「関係を切らない」という意思決定が要るだけ。そこから自然に応募が増えてきて、ようやくSTAGE 4の制度化が現実味を帯びてくる──そんな順序が、中小企業には合っているのかもしれません。
アルムナイ採用が「市場規模300億円へ」と言われる流れの中で、わたしたちが一番気になっているのは、入口の派手さではなくて、退職時の小さな所作です。最後に交わした言葉、最後に渡した書類、最後に送った一言。そのひとつひとつが、3年後・5年後の応募率を静かに決めている気がしています。
HRブランディングは、これから入る人にどう見えるかだけでなく、辞めていく人にどう映ったかも含めて積み上がっていくものだと感じます。たとえば採用サイトの片隅に「過去に当社で働いていた方へ」という一文を置くだけでも、見えない発信になります。中小企業ほど、退職者の口コミの影響は大きいと感じる場面もあります。
わたしたちCoachersも、辞めたメンバーと今でも食事をしたり、外から仕事を一緒にしたりすることがあります。それが「制度」と呼べるほど整っているわけではないけれど、関係を切らないという姿勢だけは大事にしてきました。皆さんの会社では、退職した方とどんな距離感を保たれていますか? その距離感が、たぶん、いちばんのアルムナイ採用の土台になっていく気がしています。
- HRpro「【採用手法トレンド】『リファラル採用』は5割超、『アルムナイ採用』は4割弱の企業が実施。支援サービス市場も2年で2.7倍に急成長」 https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3552
- 矢野経済研究所「リファラル採用・アルムナイ採用支援サービス市場に関する調査を実施(2025年)」 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3732
- JCOM株式会社「J:COM、アルムナイ採用制度を新設」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001871.000007676.html
- マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/
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