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採用がHRテック導入57%で先行──大手調査が示す「温度差」と中小の打ち手
「うちの会社、HRテックって導入したほうがいいのかな?」──そう聞かれて、即答できる方は意外と多くないかもしれません。
日本経済新聞社が5月25日に公開した『人的資本経営調査2026』では、大手企業の人事領域でHRテックがどこまで使われているかを、採用・育成・選抜・配置・評価の5領域で初めて測ったそうです。最も高かったのは採用分野の57%、次が育成の46%。残り3領域はそれ以下にとどまりました。
「採用だけが先に動いている」というこの温度差は、何を意味しているのでしょう。今日はこの数字を入口に、わたしたちCoachersも一緒に、中途採用の現場が次にどこへ目を向けるかを考えてみたいと思います。
HRテック導入、採用領域は”過半数超え”
調査は560人の大手企業人事担当が答えたもので、回答者規模からするとそれなりに業界の現在地を映していると言えそうです。「採用」だけが半数を超えた背景には、応募管理・スカウト・書類選考といったオペレーションが、もともと”型化しやすい仕事”だったことがありそうです。
逆に言うと、ここに乗り遅れている会社と、すでに走り出している会社の差が、これから可視化されていくフェーズに入ったとも言えるかもしれません。
5領域の”温度差”を見てみる
「採用」と「育成」が一段抜けていて、「評価・選抜・配置」がそれ以下に並ぶ。この並びを見て、なるほどな、と感じる方もいるかもしれません。採用と育成は”入口と立ち上げ”の話、評価・選抜・配置は”組織のなかの判断”の話。後者は、テクノロジーで補助はできても、最後は人の意思決定が必要になりやすい領域です。
逆に言えば、採用は「会いに行く・応募してもらう・選考する・連絡する」というステップが比較的明確で、ツール化との相性がそもそも良い領域だった、ということでもありそうです。
なぜ”採用だけ”が先に動いたのか
「HRテック導入」と聞くと急に大ごとに感じてしまいますが、調査の中身を読み解くと、要はこの数年で“採用領域のオペレーションが、いちばん早く整い始めている”という話に近いように感じます。
「採用が57%でトップ」と聞いて、わたしたちが少し気になっているのは、これは”企業側だけの話”ではないという点です。応募管理・スカウト・書類選考でAIを使うのは、正直もう「まあそうだよね」という感覚に近づいてきました。ただ、同時並行で進んでいるのは──求職者側もすでにAIを使い始めている、という現実のほうです。
スカウト文の下書きはAI、職務経歴書もAI、ChatGPTに「この求人で通る志望動機を書いて」と相談する応募者は珍しくなくなってきました。つまり57%という数字の裏側で、選考の現場は静かに「AI対AIのやり取り」に変わりつつあるように見えます。AIが書いた求人にAIが書いた応募書類が届き、AIの要約をもとに面接者が候補者を見る──その流れの中で、何が”決め手”になるのか。ここが、これからのHRブランディングの新しい問いになっていく気がしています。
AI同士のやり取りはどうしても均質化しやすいぶん、最終的に効くのは「会社の素」が見える部分──オフィスの空気、社員の表情、現場で実際に使われている言葉──のような気がしています。求人広告の一文や採用サイトの構成は、AIで効率化できる範囲を切り分けつつ、残りの「素を伝える設計」をどう描くかにウェイトが移っていく。わたしたちCoachersも自分たちの現場で、そう感じています。
- 株式会社日本経済新聞社「『人的資本経営調査2026』HRテックの活用、採用分野が57%と先行」(2026年5月25日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000641.000011115.html
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