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政府定義のリスキリングは9.5%──「育成」と「中途採用」、AI時代の役割分担を考える
「リスキリング」という言葉、ここ数年で社内会議でも当たり前に飛び交うようになりました。みらいワークスが2026年5月に公表した調査では、500名以上の企業の6割超が何らかの形でリスキリングを動かしている、という結果が出ています。
ただ、同じ調査でもう一つ目を引いた数字があって。政府が本来意図していた「職種転換を伴うリスキリング」を実践している企業は、たった9.5%。言葉の普及と、実態のあいだに、けっこうな距離があるように見えます。
この9.5%という数字は、中途採用の担当者にも他人事ではないと感じています。育成で内側から賄えない部分は、外から採るしかない。今日は「育成」と「中途採用」の境目を、AIの文脈も交えながら一緒に整理してみたいと思います。
リスキリングは進んでいる。ただし「学び直し」中心
調査対象は500名以上の企業の人事・人材開発担当者400名。全社施策として動かしている企業が38.3%、特定部門・パイロットも含めると64.6%。数字だけ見るとリスキリングは確かに広がっています。
ただ、「貴社のリスキリングをどう捉えているか」を聞くと、61.0%が「職務や役割の転換は前提にしない」と回答。政府の本来定義(成長分野への労働移動を前提にした学び直し)に沿うのは9.5%にとどまります。多くの企業は、既存研修やOJTの延長を「リスキリング」と呼んでいる、というのが現実のようです。
「言葉」と「実態」のあいだに何があるか
言葉が広く使われるほど、定義は柔らかくなっていく。それ自体は仕方ない面もあると感じています。ただ、もし会社として「AI活用前提に業務を再設計したい」「事業ポートフォリオを動かしたい」と考えているなら、9.5%側のリスキリングを社内で本当に回せるかは、一度立ち止まって見ておきたいところです。
同じ調査では、生成AI普及の影響として48.0%が「業務プロセス再設計で必要スキル・役割が変わった」、38.9%が「将来必要な職務・役割の再定義が必要になった」と答えています。役割そのものが動いている前提で、内部育成だけで賄える範囲はどこまでか、という問いが浮かんできます。
「育成」と「中途採用」、どこで線を引くか
この4象限は、あくまで一つの整理の仕方ですが、社内で「ここはリスキリング」「ここは中途で採る」「ここは業務ごと見直す」を意識的に切り分けられているか、確かめる材料にはなりそうです。
同調査でリスキリング推進の最大の壁に挙がっていたのは「指導者・メンター不足(25.9%)」と「人材・スキルデータ未整備(24.3%)」。社内に「教える人」がいなければ、内製での育成は構造的に苦しくなります。そこを補う打ち手として、外部プロ人材の活用と並んで、中途採用での”教える側の確保”も視野に入ってきます。
リスキリングと中途採用は、よく「対立」のように語られますが、実態はもっと地続きだと感じています。「育てる」と「採る」のどちらを優先するかの話ではなく、9.5%しか踏み込めていない”職種転換型”の重さに対して、両輪で挑むしかない、というのが今回の調査からの素直な読み解きです。
そう考えると、中途採用で発信するメッセージも変わってきます。「即戦力募集」「AI人材歓迎」と書くだけでは、来てほしい人には届きにくい。「会社として何を変えようとしていて、その役割の中であなたに何を担ってほしいのか」を、求人原稿レベルから言語化できているか。HRブランディングの出発点はそこにあると、わたしたちは考えています。
わたしたちCoachers自身も、社内のリスキリング設計と中途採用要件を行き来しながら、毎月のように線を引き直しています。AI時代の役割再定義はまだ始まったばかり。一緒に試行錯誤していきたい話だと感じています。
- みらいワークス「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」 https://mirai-works.co.jp/news/news14908/
- みらいワークス総合研究所「AIの現在地から考える人材開発」 https://mirai-works.co.jp/mwri/column/column-reskilling/
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