AIで”工数減”は7割、でも採用決定は半数だけ──差を生む”仕組み化”
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AIで”工数減”は7割、でも採用決定は半数だけ──差を生む”仕組み化”

Branding, 2026.06.10 By 中村 尚人

スカウト文を書く時間、書類に目を通す時間。AIを入れてから、たしかに「減った」と感じている方は多いかもしれません。わたしたちCoachersも、日々の業務でその恩恵を実感しています。

でも、ふと立ち止まって考えてみると――工数は減ったのに、「採用そのもの」は、前より決まるようになったでしょうか?

ある調査では、AIで効率化は進んでも、採用決定数が増えた企業は半数ほど。この「効率」と「成果」のあいだにあるギャップを、今日は一緒に見つめてみたいと思います。

AI採用は、もう「特別な会社」の話ではなくなった

株式会社フォワードが、採用に関わる376名(従業員50名以上の企業の採用担当・人事責任者・経営層)に行った「AI×採用実態調査」では、採用業務にAIを導入している企業は約5割にのぼりました。活用されているのは、スカウト文面の作成、書類のスクリーニング、面接日程の調整といった、これまで人の手で回していた定型業務が中心です。

KEY DATA
採用業務へのAI導入率
47.9%
導入企業のうち「工数が削減された」
73%

導入企業の73%が「採用にかかる工数が削減された」と回答しています。反復作業がAIに置き換わることで、採用担当が「人が向き合うべき判断」に時間を使えるようになってきた――そんな手応えが、数字にもあらわれているのかもしれません。ここまでは、多くの現場で実感されている変化だと思います。

効率は上がった。では「採用の成果」は?

ところが同じ調査で、もう一歩踏み込んだ質問への答えを見ると、景色が少し変わります。「AI導入で採用決定数が増えた」と答えた企業は51%。裏を返せば、約半数の企業は「決定数は変わらない」と感じている、ということです。工数は減ったのに、肝心の採用そのものは前と同じ――この「ねじれ」が、いま多くの現場で起きているのかもしれません。

COMPARISON
EFFICIENCY / 効率
AIで進んだこと
スカウト文面・スクリーニング・面接調整などの定型業務が自動化。73%が「工数が減った」と実感。「やること」は確実に軽くなった。
RESULT / 成果
AIだけでは進まなかったこと
「採用決定数が増えた」は51%にとどまり、約半数は横ばい。効率化は、そのまま「採用できる」には直結していない。

これは、AIがダメだという話では決してないと感じています。むしろ「効率化」と「採用の成果」は、もともと別のものだった――それがAIの普及によって、くっきり見えるようになっただけ、なのかもしれません。では、その差はどこで生まれているのでしょうか。

「効率化どまり」と「成果が出る」を分ける地図

同じ調査では、もうひとつ気になる数字が出ています。「担当者が変わると採用が止まることがある」と答えた企業が63.8%。一方で「採用ノウハウを体系的に共有できている」企業は56.1%にとどまりました。つまり、採用が”特定の人の頭の中”に依存したまま、という会社が少なくないのです。AIで作業は速くなっても、その土台が属人化していると、成果までは届きにくい。下の図で、自社がいまどこに立っているか、眺めてみませんか。

MATRIX
横軸 = AIの活用度(低→高)/ 縦軸 = 仕組み化・自社の魅力の言語化(低→高)
AI低 × 仕組み低
手作業で消耗
作業も判断も人頼み。工数も成果も頭打ちになりやすい状態。
AI高 × 仕組み高
成果まで再現できる
AIで効率化しつつ、魅力の言語化とナレッジ共有で「採用決定」まで安定して届く。目指したい場所。
AI低 × 仕組み高
人の力で成果
ツールは控えめでも、魅力の言語化と共有ができていて採用は回る。AIを足せば一気に伸びる余地。
AI高 × 仕組み低 = 今ここが多い
効率化どまり
工数は減ったのに採用決定数は変わらない。属人化が残ったまま速くなった状態。

調査の数字が映し出しているのは、多くの会社が右下の「効率化どまり」に立っている、という現在地かもしれません。そこから右上へ動くカギは、AIそのものの性能ではなく、「自社の魅力をどう言葉にするか」「採用を一人の頭から仕組みへ移せるか」という、AIの外側にある部分にありそうです。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査を見て、わたしたちCoachersがいちばん共感したのは「AIで速くなったのに、採用は決まらない」という感覚でした。スカウトを大量に送れても、響く言葉が入っていなければ、候補者の心は動きません。効率と成果が別物だというのは、わたしたち自身も日々向き合っているテーマです。

差を生んでいるのは、AIの外側にある「自社の魅力をどう言語化するか」だと感じています。これはまさにHRブランディングの領域です。たとえば求人広告の原稿を一文だけ見直してみると、自社が候補者に何を約束できるのかが意外と曖昧だった、と気づくことがあります。その言葉こそ、AIに渡す”素材”の質を決める出発点なのかもしれません。

そしてもうひとつ、採用が特定の人に依存していると、AIを入れても成果は安定しにくい気がしています。魅力の言語化と、ノウハウの仕組み化。この二つを少しずつ整えることが、「効率化どまり」を抜け出す、いちばん地に足のついた一歩なのではないでしょうか。

ACTIONS
AIで浮いた時間の「使い道」を1つ書き出してみる
削減できた工数が、候補者と向き合う時間に変わっているか。効率化を成果につなげる、最初の確認かもしれません。
 
「自社の魅力」を一文で言葉にしてみる
スカウト文や求人原稿の核になる一文です。ここが定まると、AIに渡す素材の質もぐっと変わってくる気がします。
 
採用ノウハウが偏っていないか、1項目だけ棚卸しする
「この人がいないと回らない」業務はありませんか。1つ言語化して共有するだけでも、属人化はやわらいでいきます。

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Coachersは、求人広告や採用サイト・採用ブランディングを通じて「自社の魅力の言語化」をお手伝いしているHRブランディングの会社です。効率化どまりから一歩抜け出すヒントを、同じ目線でご一緒できればうれしいです。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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