離職率の平均は14.2%──自社の数字の見方と、求人での伝え方
BLOG

ブログ

離職率の平均は14.2%──自社の数字の見方と、求人での伝え方

Branding, 2026.08.22 By 中村 尚人

「御社の離職率って、高いほうですか」。面接でそう聞かれて、少し言葉に詰まったことはないでしょうか。調べてみても、資料ごとに違う数字が出てきて、余計に迷う。わたしたちCoachersも、お客様と話していてよくつまずく場所です。

最新の全国平均は14.2%です(厚生労働省・令和6年雇用動向調査)。ただ、この数字とそのまま自社を並べると、たいてい比べ方がずれます。平均の見方と、その数字を求人でどう扱うかを、一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
ALL / 2024
14.2%
全産業の平均
REGULAR / 2024
11.5%
一般労働者のみ
MOVERS / 2024
9.7%
転職入職率

厚生労働省「令和6年雇用動向調査」(2025年8月公表・全国の事業所対象)。離職率=年初の常用労働者数に対する1年間の離職者の割合。転職入職率=同じ分母に対する、転職して入職した人の割合。

CONTENTS
FREE TOOL
この記事で扱う「候補者への伝わり方」は、5領域25問の採用活動チェックシートでも確認できます。
診断をはじめる

離職率の平均は14.2%——まず、分母を確かめてください

離職率の全国平均は14.2%です(厚生労働省・令和6年雇用動向調査)。ただしこれは、パートタイム労働者まで含めた全産業の数字です。

離職率とは、年初の常用労働者数に対して、その1年間に何%が離職したかを示す割合です。国の調査はこの定義で数えています。

内訳を見ると、一般労働者は11.5%、パートタイム労働者は21.4%でした。10ポイント近い開きがあります。

正社員中心の会社が比べる相手は、14.2%ではなく11.5%のほうです。ここを取り違えると、実際より自社が優秀に見えてしまいます。

性別でも差があります。パート込みの全体で、男性12.6%に対し女性16.0%。女性比率の高い職場は、それだけで平均より上に出やすい構造です。

そして、いちばん効くのが業種です。一般労働者に絞っても、産業ごとにこれだけ違います。

IMPACT MAP / 産業別の離職率(一般労働者)
サービス業(他に分類されないもの)19.0%
宿泊業, 飲食サービス業18.1%
医療, 福祉13.1%
産業計11.5%
建設業9.7%
製造業7.8%
金融業, 保険業7.4%

厚生労働省「令和6年雇用動向調査」/一般労働者・産業別の離職率。バーの長さは最大値を基準にした相対表示。

製造業7.8%とサービス業19.0%では、11.2ポイントの差があります。同じ「13%」でも、片方は要注意で、片方は平均以下です。

つまり、自社の数字が高いか低いかは、産業計と並べても決まりません。就業形態と業種をそろえて、はじめて比較になります。

離職率が下がったのは、定着が良くなったからでしょうか

令和6年の離職率14.2%は、前年(15.4%)から1.2ポイント下がりました。数字だけ見れば、人が辞めにくくなった1年です。

ただ、同じ調査では転職して入ってきた人の割合も下がっています。転職入職率は10.4%から9.7%へ、0.7ポイントの低下でした。

TREND / 同じ年に、両方が下がった
離職率
14.2%
▼ -1.2pt
前年(15.4%)比
転職入職率
9.7%
▼ -0.7pt
前年(10.4%)比

厚生労働省「令和6年雇用動向調査」

実数でも同じ向きです。転職して入職した人は540万9千人から492万人へ、1年で約49万人減りました。

一般労働者に絞っても、転職入職率は8.5%から8.3%へ下がっています。パートだけの動きではありません。

ここから読めるのは、因果ではなく事実の並びです。辞める人が減った年は、入ってくる人も減っていた、ということです。

離職率は「定着の成績」だけでなく、市場の動きやすさも映します。動く人が減れば離職率は下がり、同時に採用の母集団も縮みます。

「離職率が改善した年に、なぜか採用は苦しくなった」。この順番は、案外めずらしくないのかもしれません。

自社の数字を、求人でどう扱うか

自社の離職率を求人や面接で使うなら、数字そのものより「どう数えたか」を添えるほうが伝わります。手順は3つです。

1
分母を国の定義にそろえる
年初(1月1日時点)の在籍者数を分母、その1年の離職者数を分子にします。パートが多い職場なら、一般労働者とパートを分けて出します。ものさしが同じになるまでは、高い低いの議論が空回りしやすいためです。
2
比べる相手を、産業計から自社の業種に変える
製造業7.8%とサービス業19.0%では、同じ13%の意味が真逆になります。上のIMPACT MAPで、自社の業種の行を1つだけ控えておけば足ります。
3
平均より高いときこそ、内訳を出す
定年・契約満了・自己都合を分けて書きます。数字は隠すほど大きく見える、という逆のはたらきがあります。内訳まで出せると、数字は言い訳ではなく説明になります。
  EXAMPLE / 求人に足す一段落

求人票の「その他」欄や採用サイトの募集要項に、この形で一段落だけ足す想定です。

直近1年の離職率は〈◯%〉です(〈対象〉/分母は〈時点〉の在籍〈◯〉名)。内訳は〈定年◯名・自己都合◯名〉で、〈補足の一文〉
記入例A(平均より低い会社)
直近1年の離職率は8.2%です(正社員のみ/分母は2026年1月時点の在籍61名)。5名が退職し、うち2名は定年でした。中途入社の方の1年定着率は、直近3年とも9割を超えています。
記入例B(平均より高い会社)
直近1年の離職率は17.4%です(正社員のみ/分母は2026年1月時点の在籍46名)。8名のうち5名は、昨年閉じた大阪営業所の担当者でした。同じ理由の退職は、今期は見込んでいません。

記入例は書き方を示すための架空の文面です。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

離職率は社内では「定着の成績表」として扱われがちです。ただ採用の場面では、もう少し違う役割を持っている気がしています。候補者にとっては、入社後の景色を想像するための、数少ない手がかりだからです。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の求人を開いた候補者は、たいてい別のタブで社名と「離職率」「口コミ」を並べて検索しています。そこで見つかるのは統計ではなく、誰かの体験談です。会社が数字を出していない空白は、他人の言葉で埋まります。

わたしたちが現場でよく聞くのは、「聞いていいのか分からなかった」という声です。面接で確かめられなかった人が、あとから口コミで答え合わせをしている——ということなのかもしれません。

だとすると、離職率を出す・出さないは広報の判断ではなく、候補者の不安をどこで受け止めるかという設計の話になります。HRブランディングで言えば、都合のいい面だけを見せないほうが、結果として信じてもらいやすい領域です。

求人広告の原稿を見直すだけでも、置ける情報は意外に残っています。わたしたちCoachersも、自社の数字をどこまで書くかは毎年迷いながら決めています。一度で正解を出さなくていい、と考えています。

ACTIONS / 今日からできる3つ
自社の離職率を、国と同じ分母で1回だけ計算する
年初の在籍者数が分母、1年の離職者数が分子。ものさしがそろうまでは、高い低いの議論が空回りしやすいためです。
比較先を「14.2%」から自社業種の数字に置き換える
一般労働者どうしで見ても、産業間の差は11ポイント以上あります。全産業平均は、たいていの会社にとって遠い相手です。
退職理由の内訳を、面接で話せる形に1枚まとめる
定年・契約満了・自己都合に分けるだけで足ります。数字は隠すほど大きく見える、という逆のはたらきを弱められます。
FAQ / よくある質問
Q. 離職率の平均は何%ですか?
全産業の平均は14.2%です(厚生労働省・令和6年雇用動向調査)。パートタイム労働者を含んだ数字で、一般労働者だけなら11.5%、パートタイム労働者だけなら21.4%になります。
Q. 自社の離職率は、どう計算すればいいですか?
国の調査と同じにそろえるなら、年初(1月1日時点)の常用労働者数を分母に、その1年間の離職者数を分子にします。分母の時点と対象をどこかに書き添えておくと、比較が崩れません。
Q. 離職率が下がったら、定着が良くなったと言えますか?
その面もありますが、断定はできません。令和6年は離職率が1.2ポイント下がった一方で、転職入職率も0.7ポイント下がっています。市場全体で動く人が減ると、離職率も下がるためです。
Q. 離職率は求人票に書いたほうがいいですか?
書く・書かないより、書くなら分母・期間・退職理由の内訳をセットにするほうが伝わります。数字だけを置くと、候補者は比べる相手を持てないままになります。
FREE DOWNLOAD
主要50媒体比較ガイド
求人媒体50社を、掲載料金・課金方式・得意な職種・想定応募数で横並びに整理した資料です。動く人が減っている市場で、どこに出すかを考えるときの下敷きにどうぞ。
CONTACT
自社の数字を、どこまで書くか迷ったら
CoachersはHRブランディングファームとして、求人広告の原稿制作から採用サイト・採用動画まで、候補者に何をどう伝えるかを一緒に組み立てています。数字の出し方だけのご相談でも構いません。
お問い合わせフォームへ ›
REFERENCES
中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

CONTACT

採用に関するご相談・お問い合わせはこちら

採用ブランディング、クリエイティブ制作、求人運用、RPOなど、
採用に関するあらゆるご相談を承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。