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離職率の平均は14.2%──自社の数字の見方と、求人での伝え方
「御社の離職率って、高いほうですか」。面接でそう聞かれて、少し言葉に詰まったことはないでしょうか。調べてみても、資料ごとに違う数字が出てきて、余計に迷う。わたしたちCoachersも、お客様と話していてよくつまずく場所です。
最新の全国平均は14.2%です(厚生労働省・令和6年雇用動向調査)。ただ、この数字とそのまま自社を並べると、たいてい比べ方がずれます。平均の見方と、その数字を求人でどう扱うかを、一緒に考えてみたいと思います。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」(2025年8月公表・全国の事業所対象)。離職率=年初の常用労働者数に対する1年間の離職者の割合。転職入職率=同じ分母に対する、転職して入職した人の割合。
離職率の平均は14.2%——まず、分母を確かめてください
離職率の全国平均は14.2%です(厚生労働省・令和6年雇用動向調査)。ただしこれは、パートタイム労働者まで含めた全産業の数字です。
離職率とは、年初の常用労働者数に対して、その1年間に何%が離職したかを示す割合です。国の調査はこの定義で数えています。
内訳を見ると、一般労働者は11.5%、パートタイム労働者は21.4%でした。10ポイント近い開きがあります。
正社員中心の会社が比べる相手は、14.2%ではなく11.5%のほうです。ここを取り違えると、実際より自社が優秀に見えてしまいます。
性別でも差があります。パート込みの全体で、男性12.6%に対し女性16.0%。女性比率の高い職場は、それだけで平均より上に出やすい構造です。
そして、いちばん効くのが業種です。一般労働者に絞っても、産業ごとにこれだけ違います。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」/一般労働者・産業別の離職率。バーの長さは最大値を基準にした相対表示。
製造業7.8%とサービス業19.0%では、11.2ポイントの差があります。同じ「13%」でも、片方は要注意で、片方は平均以下です。
つまり、自社の数字が高いか低いかは、産業計と並べても決まりません。就業形態と業種をそろえて、はじめて比較になります。
離職率が下がったのは、定着が良くなったからでしょうか
令和6年の離職率14.2%は、前年(15.4%)から1.2ポイント下がりました。数字だけ見れば、人が辞めにくくなった1年です。
ただ、同じ調査では転職して入ってきた人の割合も下がっています。転職入職率は10.4%から9.7%へ、0.7ポイントの低下でした。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」
実数でも同じ向きです。転職して入職した人は540万9千人から492万人へ、1年で約49万人減りました。
一般労働者に絞っても、転職入職率は8.5%から8.3%へ下がっています。パートだけの動きではありません。
ここから読めるのは、因果ではなく事実の並びです。辞める人が減った年は、入ってくる人も減っていた、ということです。
離職率は「定着の成績」だけでなく、市場の動きやすさも映します。動く人が減れば離職率は下がり、同時に採用の母集団も縮みます。
「離職率が改善した年に、なぜか採用は苦しくなった」。この順番は、案外めずらしくないのかもしれません。
自社の数字を、求人でどう扱うか
自社の離職率を求人や面接で使うなら、数字そのものより「どう数えたか」を添えるほうが伝わります。手順は3つです。
求人票の「その他」欄や採用サイトの募集要項に、この形で一段落だけ足す想定です。
記入例は書き方を示すための架空の文面です。
離職率は社内では「定着の成績表」として扱われがちです。ただ採用の場面では、もう少し違う役割を持っている気がしています。候補者にとっては、入社後の景色を想像するための、数少ない手がかりだからです。
御社の求人を開いた候補者は、たいてい別のタブで社名と「離職率」「口コミ」を並べて検索しています。そこで見つかるのは統計ではなく、誰かの体験談です。会社が数字を出していない空白は、他人の言葉で埋まります。
わたしたちが現場でよく聞くのは、「聞いていいのか分からなかった」という声です。面接で確かめられなかった人が、あとから口コミで答え合わせをしている——ということなのかもしれません。
だとすると、離職率を出す・出さないは広報の判断ではなく、候補者の不安をどこで受け止めるかという設計の話になります。HRブランディングで言えば、都合のいい面だけを見せないほうが、結果として信じてもらいやすい領域です。
求人広告の原稿を見直すだけでも、置ける情報は意外に残っています。わたしたちCoachersも、自社の数字をどこまで書くかは毎年迷いながら決めています。一度で正解を出さなくていい、と考えています。
- 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html
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