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生成AIで会社を知る求職者62.8%──応募13.9%との差を埋める採用ページ
求職者の6割が、会社選びの途中でAIに相談している。ここまでは、なんとなく想像がついていた話かもしれません。
意外なのはその先でした。CINCが2026年5〜6月に実施した調査では、就職・転職活動で生成AIを使った人の62.8%が、それまで名前も知らなかった企業を新しく知ったと答えています。AIは候補者を奪う装置というより、出会いを増やす装置として働いていた、ということになります。
ただ、そこから実際に応募まで進んだ人は13.9%でした。知られてはいるのに、応募されていない。知られてから応募されるまでのあいだに何が挟まっているのかを、一緒に見てみたいと思います。
出典:株式会社CINC 就職・転職活動における生成AI利用の実態調査(2026年5月19〜20日実施・n=1,296/生成AI活用者への調査は2026年5月25日〜6月1日実施・n=770)
生成AIは、候補者を奪うより先に「出会い」をつくっていた
就職・転職活動で生成AIを使った求職者は全体の67.7%、中途層に限っても60.2%にのぼります(株式会社CINCが2026年5月に実施した調査、n=1,296)。新卒層の77.8%と比べれば低いものの、中途採用の候補者もすでに6割が使っている計算になります。
使い道の上位は、職務経歴書の作成・添削(50.1%)、自己分析(44.9%)、条件の合う企業を探すこと(38.8%)。ここまでは「書類を書くのが楽になった」という話に見えます。ただ、その次に起きていることのほうが、採用する側にとっては大きいかもしれません。
出典:株式会社CINC 生成AI活用者への調査(2026年5月25日〜6月1日・n=770)
求人媒体に出しても埋もれる、指名検索も少ない——そういう規模の会社にとって、これはむしろ追い風の数字だと感じています。AIは知名度の順ではなく、条件と文脈が合う会社を並べて出してくるからです。
知られたのに応募されない──認知の次に起きていること
AI経由で新しい企業を知った求職者が、そのあと何をしたか。最も多いのは「採用ページや求人情報を見た」で44.0%、次いで「企業サイトやSNSを見た」33.4%でした。一方、選考に応募した人は13.9%にとどまり、「特に何もしていない」も19.1%あります(複数回答)。
出典:株式会社CINC 生成AI活用者への調査(2026年5月25日〜6月1日・n=770/複数回答)
つまり、AIに紹介された候補者の多くは、いきなり応募するのではなくまず採用ページを見に来ているということになります。応募するかどうかを決めているのはAIではなく、そこで開かれたページのほうだった、と読むこともできそうです。
同じ調査では、AIで得た情報によって志望度が変わった経験がある人が73.4%(中途層74.5%)、意思決定に影響したと答えた人が66.5%(同67.9%)でした。影響力は小さくありません。ただ、その影響が働く場所は「AIの回答そのもの」だけではなく、AIをきっかけに開かれた自社のページも含まれている、と考えたほうが実態に近い気がしています。
やることは「AI対策」ではなく、開かれたページを厚くすること
AIに拾われる会社になるには特別な技術対策が要る、と身構えたくなるかもしれません。ただこの調査を素直に読むと、順番は逆かもしれないと感じます。AIは公開されている情報を要約しているので、材料が薄ければ要約も薄くなる。逆に言えば、AIに載るための施策と、候補者に伝わる採用ページをつくる作業は、かなりの部分が同じだということです。
数値の出典:株式会社CINC 生成AI活用者への調査(2026年5月25日〜6月1日・n=770)
この整理には、少し肩の力が抜ける面もあると思っています。「AIに最適化する」と言われると新しい専門技能の話に聞こえますが、実際にやることはAIが要約できるだけの一次情報を、自社の言葉で置いておくことに近い。一日の流れ、任される範囲、誰と働くか——これまでも「書いたほうがいい」と言われ続けてきたものが、いま別の理由でもう一度効いてくる、という構図です。
この調査を読んでいて、いちばん腑に落ちたのは「AIは紹介者であって、説得者ではない」という役割分担でした。会社を見つけてくるところまではAIがやってくれる。けれど、そこから先で候補者の背中を押すのは、開かれたページに何が書いてあるかです。認知の入口が増えたぶん、接点の質がそのまま結果に出やすくなった、とも言えるかもしれません。
御社の採用ページは、AIに「こういう会社もありますよ」と数社まとめて提示された中の1社として開かれます。候補者がそこでしているのは、比較というよりAIの要約が本当かどうかの確認です。同じ調査では、AIで見つけたネガティブな情報が理由で応募をやめた経験がある人が71.0%、中途層では72.6%にのぼりました。確かめに来た人は、良い情報も悪い情報も一緒に持って来ている、ということになります。
わたしたちが現場でよく聞くのは、「求人票を見ても、結局この会社で自分が何をするのか分からなかった」という声です。要約より薄いページに当たったとき、候補者はわざわざ問い合わせて確かめてはくれないのかもしれません。逆に言えば、AIが言っていたことより一段具体的な話がそこにあれば、それだけで印象は変わる気がしています。
わたしたちCoachers自身も、採用サイトや求人広告の原稿を見直すとき、「立派に見えるか」より「読んだ人が自分の一日を想像できるか」を先に確かめるようにしています。HRブランディングは、格好いい言葉を足す作業ではなく、すでにある事実を候補者が使える形に置き直す作業に近いと感じているためです。
AIが要約してくれる時代は、裏を返せば「中身がないと要約されない時代」でもあります。忙しい中で全部は難しいと思うので、まずは一番応募がほしい1職種のページから手をつけてみる、くらいがちょうどいいのかもしれません。
- 出典:株式会社CINC「【CINC独自調査】生成AIは求職者の企業選びをどう変えているのか?就職・転職活動における生成AI利用の実態」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000492.000019378.html
- 出典:株式会社CINC 調査レポート https://www.cinc-j.co.jp/service/analytics/column/ai-research-2608/
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