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リファレンスチェックが断られる理由──人事の8割が感じる情報不足と頼む順番
「リファレンスチェックをお願いしたら、断られてしまいました」——選考の最終盤、しかも一番来てほしかった方に。そんな経験はありませんか。
つい「非協力的な人だったのかな」と片づけたくなるのですが、2026年7月に行われた調査を見ると、少し違う景色が見えてきます。人事担当者の79.9%が「本人から提供される情報だけでは不十分だと感じることがある」と答えている一方で、第三者からの情報を実際に活用できている企業は26.5%にとどまっていました(back check調べ)。
欲しいと思っている会社は多いのに、手元では動いていない。この差を埋める鍵は、たぶん頼み方の丁寧さではなく、頼む「順番」にあるのだと思います。一緒に見ていきませんか。
出典:back check株式会社「採用判断の変化に関する実態調査」(2026年7月6日〜10日・全国の人事部所属者1,000名・インターネットリサーチ/back check調べ)
リファレンスチェックは、なぜ最後で断られるのでしょうか
リファレンスチェックが断られやすいのは、選考の最終盤になって初めて話題に出るからかもしれません。リファレンスチェックとは、候補者の働きぶりを、いっしょに働いたことのある第三者(前職の上司・同僚など)に確認する選考プロセスのことです。back check株式会社が2026年7月に人事担当者1,000名に行った調査では、本人から提供される情報だけでは不十分だと感じることが「ある」と答えた人が79.9%にのぼりました。
ところが同じ調査で、第三者からの情報を「活用している」(7.4%)「活用を拡大している」(19.1%)と答えた企業は、合わせて26.5%。「導入を検討している」(20.5%)「情報を収集している」(13.4%)を足しても60.4%で、残る4割弱は検討の土俵にも乗っていません。情報が足りないと感じる会社は8割、実際に第三者に聞けている会社は4社に1社。この開きが、現場で起きている「断られた」の正体だと感じています。
実際、「断られた」と一括りにしている中身を開いてみると、性質の違う2種類が混ざっています。片方は候補者が意思として断っているケース、もう片方は本人がどれだけ前向きでも成立しないケースです。
・最終段階で急に依頼され、不信感を持った
・他社の選考と並行していて、手間の差で降りた
・円満に退職しておらず、頼める相手がいない
・会社や部署が無くなり、当時の上司と連絡が取れない
・1社目に在籍中、またはフリーランスで社外に推薦者がいない
この2つを分けずに「断られた=何かある」と読んでしまうと、前職の方針で応じられなかっただけの方まで、選考から外してしまうことになります。前の会社がリファレンスに応じない方針かどうかは、その人の働きぶりとは何の関係もありません。断られたときにまず確かめたいのは、意思なのか、事情なのか——そこだと思います。
そのうえで、わたしたちCoachersが採用の現場でよく出会う場面には、共通点があります。書類・面接・最終面接と進んだ、まさに最後の一歩で、初めて「実は、前職の方にお話を伺いたいのですが」と切り出される。候補者からすると、ずっと見極められてきた末に、もう一つ関門が増えたように見えてしまうのです。
企業が本当に知りたいのは、経歴の裏取りなのでしょうか
同じ調査で「履歴書や職務経歴書だけでは把握しにくいものの、本来は把握したい情報」を尋ねた設問の1位は、「人柄・性格」で56.9%でした。経歴やスキルの裏取りではなく、人物面が上位に並んでいます。同じ調査では、今後は経歴情報より実務・人物面の情報が重視されるようになると考える人が64.8%。見たいものが「経歴が本当かどうか」から「一緒に働いたらどうなりそうか」へ移ってきている、ということだと思います。
出典:back check株式会社「採用判断の変化に関する実態調査」(2026年7月・n=1,000/back check調べ)
ここで一つ気づかされることがあります。人柄・コミュニケーション・協調性——書類では見えないこの3つは、候補者が応募前に会社側へ知りたがることとも、かなり重なるように思います。どんな人たちが働いていて、どんな進め方をするチームなのか。お互いが同じことを知りたがっているのに、確かめるタイミングだけが選考の最後にずれ込んでいる——そんな構図に見えます。
断られにくい依頼は、どこが違うのでしょうか
断られにくい会社がやっているのは、頼む言葉を丁寧にすることではなく、頼む前に「予告」を挟むことでした。人は同じ依頼でも、予期していたかどうかで受け止め方が変わります。最後に不意打ちで出てくる依頼と、最初から工程表に載っていた依頼は、まったく別のものとして届きます。具体的には、次の3ステップです。
3つとも、ツールを導入しなくても今日から書き足せることばかりです。第三者情報を活用できている企業が26.5%にとどまるのは、サービスを入れていないからというより、選考のどこにこの工程を置くかを決めていないからではないか——現場を見ていると、そんな気がしています。
この調査を読んでいて、リファレンスチェックは「見極めの最後の関門」ではなく「口説きの最後の一手」にもできるのではないか、と考えました。書類では見えない人柄・コミュニケーション・協調性は、こちらが候補者にまだ語れていない情報でもあります。相手の人物像を確かめたいと思っているとき、自社の人物像はどこまで見せられているでしょうか。
御社の最終面接まで進んだ、いま在職中の一人を思い浮かべてみてください。推薦者への依頼を受け取った瞬間、その方の頭に最初に浮かぶのは「誰に頼めるか」ではなく、「これで職場に転職活動が知られないだろうか」という不安かもしれません。断るという返事は、非協力の表明ではなく、今の生活を守るための判断なのだと思います。
わたしたちが現場でよく聞くのも、「断ったこと」より「急に言われたこと」への戸惑いです。逆に、最初から工程を教えてくれた会社については「進め方が誠実だった」と語られることが多い。候補者は、聞かれる内容そのものより、聞かれ方から会社の姿勢を読み取っているのかもしれません。
採用サイトの情報設計という視点で見ると、ここはやりやすい打ち手が残っている場所だと思います。選考フローのページに工程を1行足す。働く人の進め方が伝わる記事を1本置く。それだけで、こちらが第三者に確かめたいことの何割かは、候補者側にも先に届きます。HRブランディングは特別な施策のことではなく、こうした「見せる順番」を整えていく積み重ねなのだと感じています。
わたしたちCoachers自身も、選考の途中で「これは先に伝えておけばよかった」と気づくことがあります。順番は、あとからでも変えられます。
- back check株式会社「採用判断の変化に関する実態調査」(2026年7月6日〜10日/全国の人事部所属者1,000名/インターネットリサーチ・back check調べ) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000177171.html
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