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ひとり人事の中途採用、まず直すのは求人票の一枚──人事部の45.2%が人員不足
人事を一人で、あるいは総務や経営企画と兼任で回している。求人票を書くのも、日程を調整するのも、入社手続きをするのも同じ人。そういう会社は、けっして珍しくないと思います。
ただ、意外だったのは、これが小さな会社だけの話ではなかったことです。パーソル総合研究所が2026年3月に実施した調査(従業員300名以上の企業が対象)では、人事部の課題として最も多く挙がったのが「人員不足」45.2%でした。ある程度の規模がある会社でも、人事は足りていない。
だとすると、「人が増えたら本気で採用に取り組む」という前提のほうを、いったん置いてみたほうがいいのかもしれません。増やせないまま、それでも採用を前に進めるとしたら、限られた時間はどこに置くのがいいのでしょうか。一緒に考えてみたいと思います。
出典:パーソル総合研究所「人事部トレンド定量調査2026」(2026年3月4日〜16日実施/従業員300名以上の企業に勤務する係長以上の正規雇用者・経営層 n=2,000、うち内資系企業 n=1,934)
人事が足りないのは、小さな会社だけの話なのでしょうか
人事部が抱える課題の1位は「人員不足」で45.2%です。これは従業員300名以上の企業に勤める係長以上・経営層を対象にした、パーソル総合研究所の2026年の調査結果です。つまり、それなりの規模と体制がある会社でも、半数近くが「人事の人手が足りない」と感じている、ということになります。
ここで少しだけ見方を変えたいのが、2位に並んでいる「専門性不足」44.6%のほうです。人数と、ほとんど同じ重さで挙がっている。人が足りないから回らないのだと考えていると、増員だけが解決策になってしまいますが、実際には「どうやればいいかの見当がつかない」という詰まり方も同じくらい起きているようです。3位の「企画構想力の低さ」39.3%も、能力の話というより、考えて組み立てる時間が日々の処理に埋められている状態を映しているように読めます。
わたしたちCoachersも、少人数で複数の役割を持ちながら動いています。だからこそ実感するのですが、人事の忙しさは「量が多い」だけでなく「止められない仕事で埋まる」という構造から来ている気がしています。応募者への返信も、面接の日程も、入社手続きも、止めた瞬間に誰かが困る。一方で、求人票を書き直すことや、採用要件を見直すことは、今日やらなくても誰も困りません。だから後回しになる。個人の段取りの問題ではなく、仕事の性質による並び順の問題なのだと思います。
限られた時間は、どこに置くと効くのでしょうか
ひとり人事が採用で時間を置く場所を選ぶとき、有効な軸が2つあります。「候補者の目に触れるかどうか」と「自社でしか書けないかどうか」です。この2軸で並べ替えると、削る話をしなくても、手をかける順番のほうが先に決まります。
この並べ替えの効きどころは、「何を減らすか」を考えなくて済むところにあります。減らす判断は痛みを伴いますし、周囲の合意も要ります。けれど「どれから手をつけるか」の順番なら、今日の自分の裁量だけで変えられます。結果として、後回しの欄に置いたものは自然と薄くなっていく、という順序です。
ひとり人事の採用は、どんな順番で組み直せばいいのでしょうか
組み直しの手順は3つです。いきなり全部を変えるのではなく、いまの仕事を分けて、空いた時間の行き先を決めて、自分にしかできない部分だけ手元に残す、という進め方をおすすめしています。
先ほどの調査で2位だった「専門性不足」44.6%は、ここに関わってくる数字だと思っています。人数を増やせないなら、判断の精度で取り返すしかありません。ただ、その判断を一人で全部背負う必要もなくて、自社にしか書けないところだけを自分で持ち、それ以外は型か外の手に預けるという線の引き方があります。
今回の調査は従業員300名以上の企業が対象なので、この数字をそのまま「ひとり人事の実態」と読むことはできません。ただ、体制のある会社でも人事の人手は足りていない、という事実は、少人数で回している方にとって少しだけ心強い材料になるのではないかと思っています。足りないのは、あなたの会社だけではないということです。
ここで一度、御社の求人を開いた候補者の側に座ってみたいと思います。その人は、御社の人事が何人いるかを知りません。組織図も、担当者が兼任かどうかも見えていない。候補者に見えているのは、求人票の一枚と、採用サイトの数ページだけです。
これは厳しい話にも聞こえますが、裏を返せば、手をかける面がそれだけ絞られているということでもあります。現場でよく聞くのは「応募する前に、実際どんな一日なのかが分からなかった」という声で、逆にそこが具体的に書かれている求人には、応募理由として名前が挙がることが多いように感じています。人手が増えなくても、一枚の書き直しなら今週できるかもしれません。
わたしたちがHRブランディングという言葉で考えているのも、まさにこの「候補者から見えている面」のことです。会社の実態がどれだけ良くても、見える面に出ていなければ、候補者にとっては存在しないのと同じになってしまいます。求人広告の原稿を見直すだけでも、伝わる情報量はかなり変わることがあります。
一人で回している方ほど、まず一枚を直すところから始めるのが現実的だと感じています。全部を整えなくていい。候補者が最初に開くところから順に、で十分だと思います。
- パーソル総合研究所「人事部トレンド定量調査2026」(2026年7月30日発表) https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20260730-1000-1/
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