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採用ペルソナの作り方──30代不足91%のなか、求人票の一行目を変える手順
2026年の人材不足にどう対応するかを聞かれて、79%の企業が「人材採用を強化する」と答えました。ところが同じ調査のなかで、42%が「採用競争力(給与・ブランド力)が低い」ことを課題に挙げています。
勝てる気がしない、と感じながらアクセルを踏む。その居心地の悪さのなかにいる採用担当の方は、決して少なくないのだと思います。しかも同じ調査では91%が「30代の人材が足りない」と答えていて、要するに、たくさんの会社が同じ層を同時に探しています。
給与とブランドで並べないなら、どこで差をつけるのか。今日は「採用ペルソナ」という、聞き慣れているわりに後回しにされがちな作業を、求人票の一行目が変わるところまで一緒に降りて見ていきたいと思います。
出典:エン株式会社「『人材不足の状況』に関する実態調査」(2026年1月26日〜2月8日実施・有効回答398名)
採用を強化する79%が、なぜ「勝てない」と感じているのでしょうか
人事・採用担当者398名に聞いた調査では、84%の企業が人材不足を実感し、その理由の上位は「退職による欠員」(57%)と「中途採用で人員確保ができなかった」(49%)でした(エン株式会社「『人材不足の状況』に関する実態調査」、2026年1月26日〜2月8日実施)。欠員が出て、埋めようとして、埋まらない。この順番でつまずいている会社が半数近くあるということです。
不足している職種の1位は営業職(34%)。そして年代では、91%が「30代」を挙げています。実務も回せて、これから中核も担える層。どの会社にとっても欲しい人が、はっきり同じ場所に集中しています。
ここで「採用競争力(給与・ブランド力)が低い」という42%の回答に戻ると、構図が少し見えてきます。同じ層を、同じ土俵で、同じ言葉で取り合っている。その土俵で比べられれば、給与とブランドが強い側が勝つのは当たり前です。負けているのは条件そのものというより、条件で比べられる場所に自分から立っていることのほうかもしれません。
なお、この調査は2026年の年明けに実施されたものです。半年ほど経ったいまは数字が動いている可能性もありますが、「同じ層を多くの会社が奪い合う」という構造そのものは、当面あまり変わらない部分だと感じています。
採用ペルソナとは、何を指すのでしょうか
採用ペルソナとは、自社が採用したい人物を、年齢や経験年数といった属性だけでなく、いまどんな状況にいて、何に困っていて、どんなきっかけで求人を見ているかまで含めて、1人の像として言語化したものです。「30代・営業経験3年以上」は条件であって、ペルソナではありません。
この違いが効いてくるのは、求人票を書く瞬間です。条件だけが手元にあると、書けるのは条件の再掲になります。一方、その人が何に困っているかまで分かっていれば、見出しとリード文をその困りごとから書き始められる。同じ求人でも、読み手にとっての第一印象がまるで変わります。
採用ペルソナは、どう作ればいいのでしょうか
採用ペルソナづくりで最初につまずきやすいのは、想像から始めてしまうことです。理想の人物を空想で描くと、たいてい「優秀で意欲が高くて素直な人」に着地します。そうならないよう、自社にすでにいる人から逆算する順番で組み立てるのが安全だと感じています。
4つ並べましたが、いちばん効くのはおそらく最後の一問です。採用は「人事が集めて、現場が選ぶ」と役割が分かれやすく、その境目で人物像の認識がずれたまま進みます。これは担当者の努力不足というより、責任が途中で切れる構造の問題です。だからこそ、構造のほうに小さな橋を1本かけておく意味があります。
採用ペルソナは、社内向けの整理術のように語られがちです。けれど本当に効くのは、社内が揃ったあとに書かれる文章のほうだと思っています。誰に向けて書くかが決まっていない求人票は、書き手が一生懸命なほど「全方位に良いことが書いてある文章」になり、結果として輪郭を失います。
求人票を開いた候補者が最初にしているのは、条件の比較ではなく「これは自分に向けて書かれた文章か」の判定ではないかと思います。「意欲のある方」「成長したい方」は、誰に向けても書ける言葉です。裏を返せば、誰にも向いていない言葉でもあります。
わたしたちが原稿づくりの現場でよく出会うのは、面接では熱心に語られている「こういう人に来てほしい」が、求人票にはひとことも書かれていない、という状態です。伝えたい相手は決まっているのに、文章の側が全方位を向いている。もったいない、といつも感じます。
給与とブランドで並べないなら、「うちはこの人に来てほしい」と名指しできることが、そのまま差になります。求人広告の原稿という視点で見ると、ペルソナが決まっている会社は見出しの1行目から違っていて、条件の比較表に入る前に、読み手の側で候補が絞られていきます。
わたしたちCoachersが考えるHRブランディングも、出発点はここにあります。会社を大きく見せるのではなく、来てほしい人に向かって、届く言葉で正確に話しかける。採用ペルソナは、そのための地味で確実な一歩だと思っています。
- エン株式会社「『人材不足の状況』に関する実態調査ー人事・採用担当者向け情報サイト『人事のミカタ』アンケートー」 https://corp.en-japan.com/newsrelease/2026/45297.html
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