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求人票をAIで書く前に──任せていい部分と、人が書き足す3つの欄
求人票の下書きをAIに書かせてみたら、思ったよりきれいな文章が出てきた。なのに、なぜか公開ボタンで手が止まる。わたしたちCoachersも、原稿づくりで同じところによく引っかかります。
人事担当者295人に聞いた学情の調査(2026年3〜4月実施)では、生成AIに任せたい採用業務の1位が求人票の作成でした。反対に、人が対応したい業務の1位は面接です。候補者が会社に最初に出会うのは、面接ではなく求人票なのですが──任せていい部分と、人が書き足したい部分を、一緒に切り分けてみます。
学情「キャリア採用業務での生成AIの活用に関するアンケート調査」(2026年3月16日〜4月10日実施・企業/団体の人事担当者295人)。28.7%は「すでに利用している」の回答割合。「活用したい・活用している業務」は生成AIの活用に前向きと答えた層への複数回答、「今後も人による対応を重視したい業務」も複数回答。
AIに任せたい採用業務の1位は、求人票でした
中途採用で生成AIをいちばん使いたい業務は、求人票の作成・ブラッシュアップです。学情が人事担当者295人に聞いた調査(2026年3〜4月実施)で、65.3%が挙げてトップでした。
キャリア採用の業務で生成AIを「すでに利用している」のは28.7%。「利用を検討している」9.5%と「利用したいがまだ着手していない」16.4%を足すと、半数強が前向きです。
まだ「利用予定はない」も45.5%あります。使っている会社と、まったく触っていない会社に分かれている、という段階かもしれません。
学情「キャリア採用業務での生成AIの活用に関するアンケート調査」(2026年3〜4月実施・人事担当者295人/活用に前向きな層への複数回答)
同じ調査で、今後も人による対応を重視したい業務の1位は面接・面談の75.3%でした。「最後の判断の砦は人であるべき」といった声も添えられています。
ここで、少し引っかかります。人の手を守りたい場所として面接が選ばれ、いちばん先にAIへ渡されるのが求人票。ところが候補者から見れば、会社との最初の接点は求人票のほうです。
面接まで来てくれた人には人が向き合い、まだ会えていない人に向けた文章はAIに任せる。順番としては、少し逆かもしれません。
AIが埋められる欄は、どこまででしょうか
求人票の欄は、AIが得意なものと苦手なものにきれいに割れます。分かれ目は文章力ではなく、その情報が世の中に出回っているかどうかです。
生成AIは、大量の求人票を読んで言い回しを覚えています。だから職種名や一般的な業務内容、応募資格の書き方は、実際とても速くきれいに出てきます。
逆に、御社の中でしか起きていないことは学習元にありません。誰も書いていないので、AIは書けない。ここが埋まらないまま公開されるのだと思います。
やっかいなのは、AIが「書けません」とは言わないことです。空欄を残すかわりに、それらしい一般論で埋めてくれます。
「風通しの良い職場です」「若手も活躍できます」。読める文章ではあるので、書いた側は完成した気持ちになります。応募が来ない求人票の多くは、この状態で止まっている気がしています。
人が書き足したい3つの欄
AIの下書きに人が足すなら、3つの欄で足ります。募集の背景、仕事の山場、一緒に働く人。どれも社内では当たり前すぎて、書き忘れやすい情報です。
3つとも、社内の誰かに5分聞けば分かることばかりです。むしろAIに向いているのは、聞き取った内容を整った文章に直す側の作業かもしれません。
AIの下書きの末尾に、この型で3〜4行足すだけでも印象が変わります。
記入例は書き方を示すための架空の文面です。
AIを使うほど、原稿の平均点は上がります。ただ平均点が上がるということは、どの会社の求人票も似た顔になるということでもあります。差がつく場所が、文章のうまさから中身の具体へ移った感覚があります。
候補者の側も、いま同じ道具を持っています。応募書類をAIで整える人は増え、採用担当者のほうも整いすぎた書類に気づき始めています。同じ目は、求人票にも向くと考えるのが自然かもしれません。
10件の求人票を並べて読む候補者にとって、見分けがつくのは具体が入っている1件だけです。わたしたちが現場で聞くのも「条件はどこも似ていて、結局どこが違うのか分からなかった」という声のほうが多い。逆に言えば、3行の具体で抜けられる状況とも言えます。
わたしたちCoachersも求人広告の原稿をつくる立場で、下書きにAIを使うことは増えました。それでも取材の時間だけは削っていません。削ると、埋められない欄がそのまま残るからです。
HRブランディングというと大きな話に聞こえますが、入口は「この会社は何を隠さず書いているか」という一点だと感じています。AIが下書きを引き受けてくれるぶん、人が書く3行に時間を回せるようになった、と考えてみてもいいのかもしれません。
- 学情「キャリア採用業務での生成AIの活用に関するアンケート調査」(2026年6月15日発表) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001540.000013485.html
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