求人票をAIで書く前に──任せていい部分と、人が書き足す3つの欄
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求人票をAIで書く前に──任せていい部分と、人が書き足す3つの欄

Branding, 2026.08.23 By 中村 尚人

求人票の下書きをAIに書かせてみたら、思ったよりきれいな文章が出てきた。なのに、なぜか公開ボタンで手が止まる。わたしたちCoachersも、原稿づくりで同じところによく引っかかります。

人事担当者295人に聞いた学情の調査(2026年3〜4月実施)では、生成AIに任せたい採用業務の1位が求人票の作成でした。反対に、人が対応したい業務の1位は面接です。候補者が会社に最初に出会うのは、面接ではなく求人票なのですが──任せていい部分と、人が書き足したい部分を、一緒に切り分けてみます。

KEY DATA / この記事の数字
USE NOW
28.7%
すでに利用
TOP TASK
65.3%
1位は求人票
HUMAN
75.3%
面接は人が

学情「キャリア採用業務での生成AIの活用に関するアンケート調査」(2026年3月16日〜4月10日実施・企業/団体の人事担当者295人)。28.7%は「すでに利用している」の回答割合。「活用したい・活用している業務」は生成AIの活用に前向きと答えた層への複数回答、「今後も人による対応を重視したい業務」も複数回答。

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この記事で扱う「求人票に何が書けているか」は、5領域25問の採用活動チェックシートでも確認できます。
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AIに任せたい採用業務の1位は、求人票でした

中途採用で生成AIをいちばん使いたい業務は、求人票の作成・ブラッシュアップです。学情が人事担当者295人に聞いた調査(2026年3〜4月実施)で、65.3%が挙げてトップでした。

キャリア採用の業務で生成AIを「すでに利用している」のは28.7%。「利用を検討している」9.5%と「利用したいがまだ着手していない」16.4%を足すと、半数強が前向きです。

まだ「利用予定はない」も45.5%あります。使っている会社と、まったく触っていない会社に分かれている、という段階かもしれません。

IMPACT MAP / 生成AIを活用したい業務
求人票の作成・ブラッシュアップ65.3%
スカウトメールの作成・配信56.0%
選考案内や合否連絡メールの作成42.0%

学情「キャリア採用業務での生成AIの活用に関するアンケート調査」(2026年3〜4月実施・人事担当者295人/活用に前向きな層への複数回答)

同じ調査で、今後も人による対応を重視したい業務の1位は面接・面談の75.3%でした。「最後の判断の砦は人であるべき」といった声も添えられています。

ここで、少し引っかかります。人の手を守りたい場所として面接が選ばれ、いちばん先にAIへ渡されるのが求人票。ところが候補者から見れば、会社との最初の接点は求人票のほうです。

面接まで来てくれた人には人が向き合い、まだ会えていない人に向けた文章はAIに任せる。順番としては、少し逆かもしれません。

AIが埋められる欄は、どこまででしょうか

求人票の欄は、AIが得意なものと苦手なものにきれいに割れます。分かれ目は文章力ではなく、その情報が世の中に出回っているかどうかです。

生成AIは、大量の求人票を読んで言い回しを覚えています。だから職種名や一般的な業務内容、応募資格の書き方は、実際とても速くきれいに出てきます。

逆に、御社の中でしか起きていないことは学習元にありません。誰も書いていないので、AIは書けない。ここが埋まらないまま公開されるのだと思います。

COMPARISON
AIに任せやすい
世の中に前例がある欄
職種名、一般的な業務内容、応募資格、待遇の整理、誤字脱字と表記ゆれの点検、長い文章の刈り込み。下書きの速さがそのまま効きます。
人が書き足す
御社にしかない事情
なぜ今この人が要るのか、仕事のどこが大変か、誰と働くのか。社外に出ていない情報なので、AIは推測で埋めるか、当たりさわりなく流します。

やっかいなのは、AIが「書けません」とは言わないことです。空欄を残すかわりに、それらしい一般論で埋めてくれます。

「風通しの良い職場です」「若手も活躍できます」。読める文章ではあるので、書いた側は完成した気持ちになります。応募が来ない求人票の多くは、この状態で止まっている気がしています。

人が書き足したい3つの欄

AIの下書きに人が足すなら、3つの欄で足ります。募集の背景、仕事の山場、一緒に働く人。どれも社内では当たり前すぎて、書き忘れやすい情報です。

1
募集の背景——増員か、欠員か
なぜ今このポジションが空いているのかを1〜2文で。増員なら事業のどの局面か、欠員なら前任者がいつ・どんな理由で抜けたか。候補者がいちばん知りたくて、いちばん聞きにくい情報です。
2
仕事の山場——最初の3か月で何が大変か
地味な期間、覚えることの多さ、繁忙期。良いことだけでなく大変さも先に伝える考え方はRJP(現実的職務予告)と呼ばれ、入社後のギャップを減らす手立てとして繰り返し語られてきました。
3
一緒に働く人——チームの人数と上長
何名のチームで、直属の上長はどんな人か。数字と具体が入るので、AIの一般論といちばん見分けがつく欄です。転職の決め手が人であることは、珍しくありません。

3つとも、社内の誰かに5分聞けば分かることばかりです。むしろAIに向いているのは、聞き取った内容を整った文章に直す側の作業かもしれません。

  EXAMPLE / 人が書き足す3つの欄

AIの下書きの末尾に、この型で3〜4行足すだけでも印象が変わります。

この募集は〈増員/欠員〉です。〈時期・背景〉のため、〈人数〉名のチームに加わっていただきます。最初の3か月は〈山場〉が中心です。上長は〈役職・人物〉です。
記入例 1/生産技術
この募集は増員です。2027年4月に第二工場が稼働するため、生産技術3名のチームを5名体制にします。最初の3か月は既存ラインの図面を読み直す作業が中心で、正直、地味な期間です。上長は製造部長(現場歴18年)です。
記入例 2/法人営業
この募集は欠員補充です。前任者が6月に家庭の事情で退職したため、営業4名・平均年齢34歳のチームに加わっていただきます。最初の3か月は既存顧客12社の引き継ぎが中心で、新規開拓はそのあとです。上長は営業課長(在籍7年)です。

記入例は書き方を示すための架空の文面です。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

AIを使うほど、原稿の平均点は上がります。ただ平均点が上がるということは、どの会社の求人票も似た顔になるということでもあります。差がつく場所が、文章のうまさから中身の具体へ移った感覚があります。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

候補者の側も、いま同じ道具を持っています。応募書類をAIで整える人は増え、採用担当者のほうも整いすぎた書類に気づき始めています。同じ目は、求人票にも向くと考えるのが自然かもしれません。

10件の求人票を並べて読む候補者にとって、見分けがつくのは具体が入っている1件だけです。わたしたちが現場で聞くのも「条件はどこも似ていて、結局どこが違うのか分からなかった」という声のほうが多い。逆に言えば、3行の具体で抜けられる状況とも言えます。

わたしたちCoachersも求人広告の原稿をつくる立場で、下書きにAIを使うことは増えました。それでも取材の時間だけは削っていません。削ると、埋められない欄がそのまま残るからです。

HRブランディングというと大きな話に聞こえますが、入口は「この会社は何を隠さず書いているか」という一点だと感じています。AIが下書きを引き受けてくれるぶん、人が書く3行に時間を回せるようになった、と考えてみてもいいのかもしれません。

ACTIONS / 今日からできる3つ
いま出している求人票を開き、3つの欄があるか見る
募集の背景・仕事の山場・一緒に働く人。1つでも空いていれば、そこが候補者から見て他社と区別がつかない部分です。
配属先の責任者に5分だけ聞き取りをする
聞くのは「なぜ今この人が要るか」「最初の3か月は何が大変か」の2つで足ります。AIが埋められないのは、この5分の中身だけだからです。
AIの役割を「下書き」から「清書」に入れ替える
先に人が事実を箇条書きし、それをAIに整えてもらう順番にします。AIに先に書かせると、一般論が土台になって後から具体を足しにくくなります。
FAQ / よくある質問
Q. 求人票をAIで作るのは、どのくらい一般的ですか?
キャリア採用業務で生成AIを「すでに利用している」人事担当者は28.7%でした(学情・2026年3〜4月実施・295人)。活用に前向きな層では、用途の1位が求人票の作成・ブラッシュアップで65.3%です。
Q. AIが書いた求人票は、候補者に見抜かれますか?
見抜かれるかどうかより、他社と区別がつかなくなるほうが実害が大きいと感じています。AIは社外に出ていない情報を持てないため、放っておくと当たりさわりのない一般論で欄が埋まります。
Q. 人が書き足したほうがいい欄はどこですか?
募集の背景(増員か欠員か)、最初の3か月の山場、一緒に働くチームの人数と上長の3つです。いずれも社外に出ていない情報なので、AIには推測で埋めることしかできません。
Q. AIに任せてよい作業は何ですか?
職種名や一般的な業務内容の下書き、待遇欄の整理、誤字脱字や表記ゆれの点検、長すぎる文章の刈り込みです。人が事実を箇条書きしてからAIに清書させる順番だと、具体が残りやすくなります。
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求人媒体50社を、掲載料金・課金方式・得意な職種・想定応募数で横並びに整理した資料です。原稿を直したあと、どこに出すかを考えるときの下敷きにどうぞ。
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CoachersはHRブランディングファームとして、求人広告の原稿制作から採用サイト・採用動画まで、候補者に何をどう伝えるかを一緒に組み立てています。原稿1本のご相談でも構いません。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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