同じ候補者について、一次の面接官は「ぜひもう一度会いたい」、二次の面接官は「うちには合わないと思う」。中途採用をやっていると、たまにこういう日がありますよね。
面接官の目が甘かった、厳しかった、という話に落ち着きがちなのですが、どうもそれだけではないようです。採用に課題を感じている企業1,625社に聞いた調査で、課題の3位に挙がったのが「面接官ごとの評価基準のバラつき」で34.2%。ほぼ3社に1社です。この「割れ」をどこで直せるのか、一緒に見ていきたいと思います。
45.2%
34.6%
34.2%
出典:レバレジーズ「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」(調査2026年2月13〜16日/新卒・中途採用で課題を感じている企業の担当者 n=1,625)
評価が割れるのは、面接官のせいではない
中途採用の面接で評価が人によって割れる主な原因は、面接官の経験不足ではなく、質問と評価基準が決まっていないことにあります。レバレジーズが2026年2月に採用担当者1,625名へ行った調査でも、「面接官ごとの評価基準のバラつき」は採用課題の3位(34.2%)に入っていました。
1位は応募者数の不足(45.2%)、2位は採用コストの高騰(34.6%)です。この2つは、外の市場から来る話ですよね。一方で3位だけは、自社の会議室の中で起きていることです。
ここを「面接官の力量の問題」と読むと、打ち手は研修しかなくなります。でも、犯人を個人に置かず設計に置き換えると、話はかなり変わってきます。
構造化面接とは何か──決まっているのは「流れ」だけ
構造化面接とは、すべての候補者に同じ質問を同じ順番で聞き、あらかじめ決めておいた基準で評価する面接のやり方です。反対に、面接官がその場で聞きたいことを聞く進め方は非構造化面接と呼ばれます。
名前を知ると、自社の面接がどちら寄りかが一気に見えるようになります。『日本の人事部 人事白書2023』が新卒採用の面接について調べた結果が、その見取り図として分かりやすいので借ります。
出典:『日本の人事部 人事白書2023』(調査2023年3月6〜31日/のべ6,504社・6,797人。新卒採用の面接についての設問)
流れは9割の会社が決めています。ところが、質問(27.2%)と評価基準(31.0%)になると3割前後まで落ちます。同じ調査では、面接官の経験・ノウハウに基づいて進めているという回答が49.4%ありました。
2023年3月の調査なので、いまはもう少し進んでいる会社も多いと思います。ただ「段取りは揃っているのに、中身は各自に任されている」という形そのものは、わたしたちが中途採用のお手伝いで見せていただく現場でも、かなりよく出会います。
最初に決める2つ──質問と評価基準
構造化面接をいきなりフルセットで入れる必要はありません。評価が割れている会社がまず決めるのは、「何を聞くか(質問)」と「どこで点を分けるか(評価基準)」の2つで足ります。順番はこうです。
A4の紙1枚に、見たい力ごとにこの3行が並んでいれば十分です。
質問:直近1年で、〈その力が要る場面〉を教えてください。そのとき、どう判断しましたか?
基準:3点=〈こう答えたら〉/2点=〈こう答えたら〉/1点=〈こう答えたら〉
質問:直近1年で、上司の指示を待たずに自分で決めた商談を1つ教えてください。何を根拠に決めましたか?
基準:3点=判断の根拠を自分の言葉で説明できる/2点=決めたが根拠は前例や上司の判断/1点=自分で決めた場面が出てこない
質問:直近1年で、いつもと違うと感じて手を止めたことはありますか。何に気づきましたか?
基準:3点=気づいた根拠と、その後に取った行動まで話せる/2点=気づいたが対応は上長任せ/1点=該当する場面が出てこない
記入例は書き方を示すための架空の文面です。
3つの力で3行ずつ、全部で9行。これを面接官の手元に置くだけで、割れ方はかなり変わります。しかも作るのに、半日もかからないはずです。
評価のバラつきは、社内では「見極めの精度」の問題として語られます。ただ面接は、こちらが見極める場であると同時に、候補者が会社を見極めている場でもあります。同じ揺れは、向こう側からも見えています。
DYMが2026年1月に20〜30代の就職・転職活動経験者855名へ行った調査では、「面接官の主観や相性、その日の雰囲気によって評価が左右された」と感じたことがよくある・たまにあると答えた人が7割近くにのぼりました。候補者は、面接が運ゲーになりうることを、こちらが思っている以上に知っています。
だとすると、面接の冒頭で「今日は3つの観点で伺います」と観点を先に開示するだけでも、候補者から見える景色は変わるかもしれません。何を見られているか分かる面接は、答えやすいだけでなく、この会社は選考を設計しているという合図にもなります。実際、面接後に志望度が上がる方は、聞かれ方が丁寧だったと話されることが多いです。
つまり質問と評価基準を決める作業は、社内の精度を上げる仕事であると同時に、候補者に対して「この会社はちゃんとしている」を伝えるHRブランディングの仕事でもあります。求人票や採用サイトで整えた印象を、面接で崩さないための土台、と言い換えてもいいかもしれません。
わたしたちCoachers自身も、自社の中途採用ではここを何度も書き直しています。一度作って終わりではなく、採ってみて「この質問は効いた/効かなかった」を足していくものだと感じています。
- 『日本の人事部』「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」(レバレジーズ株式会社、2026年3月18日) https://jinjibu.jp/news/detl/26142/
- レバレジーズ株式会社 プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000881.000010591.html
- 『日本の人事部 人事白書2023』「構造化面接の実施状況を調査。面接の流れ以外は構造化していない企業が多数」 https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/3193/
- 株式会社DYM「就職・転職時の本音調査」(2026年2月19日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000435.000027235.html / https://dym.asia/



