生成AIスキルが採用基準に、約8割が重視──中核人材の採れ方はどう変わるか
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生成AIスキルが採用基準に、約8割が重視──中核人材の採れ方はどう変わるか

Branding, 2026.07.01 By 中村 尚人

「AIを使えるかどうか」を、採用の場で問う日がくる──少し前ならまだ先の話に聞こえたかもしれません。でも、その線はもう動き始めているようです。

デロイト トーマツが2026年1月に実施した調査では、約8割(79.7%)の企業が「生成AI活用スキルは幹部の採用基準に影響する」と答えました。しかも見ているのは、ツールを触れるかではなく”使って成果を出した実績”でした。

これは幹部採用の話ですが、求める基準が変わる動きは、やがて中核人材の採用にも降りてきます。中途で中核人材を採りたいわたしたちは、何を見直しておけるでしょうか。一緒に考えてみたいと思います。

デロイト トーマツの2026年1月調査(n=1,004)で、79.7%の企業が「生成AI活用スキル」は幹部の採用基準に影響すると回答した。
影響ありと答えた企業のうち、スキルを「確認しない」はわずか3.8%。約96%が”使った実績・関与経験・理解度”を確かめている。
中途で中核人材を採るなら、要件を”操作できる”から”活かして成果を出せる”へ言語化し、求人や採用サイトで「AIを活かせる環境」を打ち出す視点が効いてくる。

生成AIスキルは、もう「あれば良い」ではなくなりつつある

結論から言うと、生成AIを使いこなせるかどうかが、人材を見極める標準的なものさしの一つになり始めています。デロイト トーマツが2026年1月19〜21日に実施した調査(生成AIを業務で活用している企業の経営層・幹部・採用担当者1,004人が対象)では、「生成AI活用スキルが幹部の採用基準に影響する」と答えた企業が、「非常に影響する」「ある程度は影響する」を合わせて79.7%にのぼりました。

KEY METRIC
79.7%
採用基準に影響
「生成AI活用スキル」が幹部採用に影響する
約8割の企業が、生成AIを扱えるかどうかを採用判断に織り込むと回答。AIスキルとリスク管理は、幹部人材に求められる「標準要件」へ移りつつあるとされています。

ひとつ前提を添えておきたいのですが、この調査の対象は「すでに生成AIを業務で活用している企業」です。世の中全体より一歩前のめりな顔ぶれで、しかも回答者はデロイト(AI活用を支援する立場)の調査に答えた層でもあります。数字はやや高めに出ていると、割り引いて読むくらいがちょうどいいかもしれません。それでも「使えるかどうかを採用で問う」という流れ自体は、もう特別なことではなくなってきたと感じています。

企業が見ているのは「操作できるか」ではなく「使った実績」

この調査でいちばん採用担当として腹落ちしたのは、見極め方の中身でした。影響ありと答えた企業のうち、スキルを「確認しない」はわずか3.8%。残りの約96%は、実務での活用事例・プロジェクトへの関与経験・知識や理解度を確かめている、と答えています。つまり「AIを触ったことがある」ではなく、「実務でどう使い、何につなげたか」を聞いているわけです。

COMPARISON
これまでの見方
ツールを操作できるか
「生成AIを触ったことがある」「プロンプトを入力できる」といった操作レベルで、ひとまず十分とされてきました。
いま増えている見方
実務で成果につなげた実績
約96%が実務事例・関与経験・理解度を確認。「確認しない」は3.8%。”使えるか”ではなく”使って成果を出したか”を見ています。

背景には、AIを使った判断そのものへの慎重さもありそうです。同じ調査では、生成AIを活用した意思決定が重要になる場面として「会議・ミーティングでの意思決定」37.8%、「リスク・コンプライアンスに関する判断」33.5%、「経営・事業戦略に関する意思決定」33.1%が挙がりました。一方で、誤情報の利用(35.2%)や責任所在の不明瞭化(33.8%)といったリスクも意識されています。だからこそ「触れる」だけでなく「リスクを分かったうえで成果につなげられる」かを確かめたい、ということなのだと思います。

中途で中核人材を採るなら、何を見直せるか

幹部採用の話だから自社にはまだ早い、と片づけてしまうのは少しもったいない気がしています。求める基準が上から変わるとき、その波はやがて中核人材の採用にも降りてきます。とはいえ、いきなり「AI必須」と求人に書けばいいわけでもありません。よくある疑問を3つ、整理してみました。

FAQ
Q
生成AIスキルは、面接でどう見極めればいい?
A
調査で約96%の企業が確認しているのは”使った実績”でした。「直近の仕事でAIをどこに使い、何が変わったか」を具体的なエピソードで聞くのがおすすめです。ツール名や操作の有無より、業務にどう翻訳できたかが見えます。
Q
自社はAIをそこまで使っていない。それでも要件に入れるべき?
A
今回の調査対象は、すでに生成AIを業務活用している企業に偏っています。全社で一律に必須化する必要はありません。まずは「自社の業務のどこにAIが効くか」を言語化しておくと、要件と求人原稿の解像度が上がり、ミスマッチも減らせると感じています。
Q
AIスキルを求めると、応募者が減りませんか?
A
「使いこなせる人」を厳しく絞るほど、母集団は狭まります。AIを使える人材は引く手あまたで、求める企業も増えています。だからこそ「AIを学べる・活かせる環境がある」と打ち出して、素地のある人を惹きつけるほうが現実的かもしれません。要件を上げる前に、選ばれる理由づくりとセットで考えたいところです。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査を読んで感じたのは、「求める基準が上がる」と「選ばれる工夫」は、いつもセットだということです。AIを使いこなせる人材ほど、複数の会社から声がかかります。要件を上げるほど、その人材から見て「ここで働きたい」と思える理由が要る。片方だけ強くしても、噛み合わないんですよね。

そして候補者の側も、いまや生成AIや検索で企業を下調べする時代です。「AIを活かせる環境がある」と社内で思っていても、求人原稿や採用サイトにそれが書かれていなければ、相手には伝わりません。HRブランディングの視点で言えば、ここは”事実をどう言語化して届けるか”の勝負どころだと感じています。求人原稿の一行を、実際の働き方が伝わる言葉に置き換えるだけでも、見え方は変わります。

わたしたちCoachers自身も、AIをどう仕事に織り込むかを日々探っている最中です。だからこそ、「使える人を採る」だけでなく「使える環境を見せて、来てもらう」両輪で考えていきたい。今日はその出発点を、一緒に確かめられたらうれしいです。

ACTIONS
「AIスキル」を実績の言葉に置き換える
求人や面接の質問を「AIを使えますか」ではなく「直近どこに使い、何が変わりましたか」へ。操作の有無より、成果のエピソードが見えます。
自社の業務でAIが効く場所を1つ言語化する
全社で必須化する前に、「うちの仕事のどこにAIが効くか」を1つだけ書き出してみる。要件と求人原稿の解像度が上がり、ミスマッチが減ります。
「AIを活かせる環境」を採用サイトに一文足す
要件を上げるなら、選ばれる理由づくりとセットで。どんなツールを使い、どう学べるかを採用サイトや求人に一文書き加えるだけでも伝わり方が変わります。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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