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20代の中途採用、96.8%が転職相談に身構える── “押さない” 接点のつくり方
20代の候補者に、こまめに連絡を入れていますか。返信がないと、もう一度だけ追いかけていませんか。わたしたちCoachersも、つい「熱意は伝わるはず」と思ってしまいます。
ところが、2026年7月に20代315人へ聞いた調査では、転職の相談窓口に「特に不安・抵抗はない」と答えた人は3.2%。裏を返せば、96.8%が何かしら身構えていました。そして不安の1位は、条件でも年収でもなく「連絡・催促がしつこそう」だったのです。
では、20代は転職の話を聞きたくないのか。同じ調査は、まったく逆の数字も出しています。今日はそのねじれを手がかりに、押さずに届く接点のつくり方を一緒に考えてみたいと思います。
出典:株式会社ツナグバ「転職エージェントへの警戒心・相談ニーズの実態に関するアンケート」(2026年7月8日〜14日実施・20代315人・インターネット調査)
20代が転職の相談に身構える理由は、条件ではなく「距離の詰められ方」
20代315人に転職の相談窓口への不安を聞くと、最も多かったのは「連絡・催促がしつこそう」で40.0%でした(株式会社ツナグバ調べ、2026年7月実施)。年収が合わない、求人が少ない、といった中身の話ではありません。警戒されているのは、話が始まったあとの距離の詰められ方です。
出典:株式会社ツナグバ(2026年7月・20代315人)
上位3つを並べると、輪郭がはっきりします。しつこい連絡、押しつけられる求人、断りにくくなること。どれも「自分のペースを失うこと」への警戒です。同じ調査では、女性は「連絡・催促」を挙げた割合が48.1%と高く、男性では「無理な転職勧誘」への懸念(18.7%)が相対的に高いという差も出ていました。細部は違っても、心配していることは同じ方向を向いています。
これは転職エージェントに向けられた回答であって、事業会社の採用担当者に向けられたものではありません。ただ、20代から見れば、スカウトのメールも、応募後の日程調整の連絡も、同じ「知らない大人からの、断りにくい連絡」という同じ引き出しに入っている気がしています。この調査を実施したツナグバ社は転職支援を手がける会社なので、相談需要が高く出る方向のデータではありますが、不安の順位そのものは採用の現場で感じる肌感覚とよく重なります。
「20代は転職に前向きだから、押せば動く」は成り立つのか
20代のうち、転職の相談窓口を「積極的に使いたい」と答えた人は11.1%にとどまりました。いちばん多いのは「使ってみたいが、少し不安」で48.6%、次いで「使いたくないが必要なら」が29.2%です。つまり多数派は、拒否でも歓迎でもなく、条件つきの「様子見」でした。
心理学には心理的リアクタンスという言葉があります。「自分で選んでいる」感覚が脅かされると、その相手や選択肢そのものから距離を取りたくなる、という反応です。熱意のこもった三度目の連絡は、送り手には誠実さでも、受け手には「逃げにくさ」として届くことがある。20代の不安の1位が「しつこそう」だったことは、この反応がそのまま数字になったもののように見えます。
ここで大事なのは、連絡を減らせばいい、という話ではないことです。選考が動いているのに音沙汰がないほうが、候補者の不安は大きくなります。減らすべきは回数ではなく、相手に決断を迫る圧のほうです。
転職を前提としない情報になら、20代の87.6%が手を伸ばす
同じ20代315人に「転職を前提としない無料の相談窓口があれば利用したいか」を聞くと、「ぜひ利用したい」26.7%と「内容次第では利用したい」60.9%を合わせて87.6%が利用意向を示しました。相談そのものを避けているのではなく、避けられているのは「相談=転職を決めること」になってしまう構造のほうだ、と読めます。
出典:株式会社ツナグバ「転職エージェントへの警戒心・相談ニーズの実態に関するアンケート」(2026年7月・20代315人)
採用の言葉に置き換えると、応募という「決めること」を求める入口しか用意していない会社は、この87.6%のうち大半を占める「内容次第」の層と、そもそも出会えていない可能性があります。逆に言えば、決めなくても受け取れる情報を一つ置くだけで、届く範囲は変わるかもしれません。
この調査を読んで、わたしたちが一番考えさせられたのは「不安の1位が中身の話ではなかった」という点でした。求人の条件をどう磨くかは日々議論しますが、その情報を”どんな距離感で渡すか”は、意外と設計されないまま担当者の性格に委ねられている気がしています。
御社のスカウトを受け取った26歳の画面から見てみます。件名には「ぜひ一度お話を」。本文には「まずはカジュアルに」。悪い文面ではありません。ただ、この人がいま知りたいのは会いたい気持ちではなく、「返信したら、次に何が起きるのか」のほうです。転職の相談で20代がいちばん不安に思っているのが「連絡・催促がしつこそう」(40.0%)だったことを踏まえると、返信ボタンは”会う約束”ではなく”断れなくなる入口”に見えているのかもしれません。
わたしたちが現場で聞くのも、「まだ転職するとは決めていないので、話を聞くのが申し訳なかった」という声です。熱意は伝わっている。伝わっていないのは、降りてもいいという前提のほうだと感じています。
だからこそ、HRブランディングで整えたいのは、熱量の大きさよりも「情報の順番」だと考えています。求人広告の原稿でいえば、応募を促す一文の前に、応募しなくても分かることを一段置く。採用サイトなら、募集要項の隣に「入社後3か月に何が起きるか」を置く。それだけで、決めていない人が読める会社になります。
押さないことは、消極的になることではありません。相手が自分で選んだと思える設計にしておくほうが、結果として選ばれやすい。わたしたちCoachers自身も、そう言い聞かせながら文面を書き直している最中です。
- 株式会社ツナグバ「転職エージェントへの警戒心・相談ニーズの実態に関するアンケート」(第8回20代転職白書/2026年7月8日〜14日実施・20代315人・インターネット調査) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000144845.html
- 株式会社ツナグバ 公式サイト https://www.tunaguba.co.jp/
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