現場職の中途採用、20代の48%が興味あり──求人票で外す3つの不安
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現場職の中途採用、20代の48%が興味あり──求人票で外す3つの不安

Branding, 2026.08.11 By 中村 尚人

「若手は現場の仕事を嫌がるから」──製造・物流・建設の中途採用では、半ばあきらめの言葉として、この一言をよく聞きます。わたしたちCoachersも、求人原稿の打ち合わせで何度も耳にしてきました。

ところが、20代の求職者に直接聞いた最近の調査を見ると、少し違う景色が出てきます。現場職(調査での表現は「ブルーワーカー職種」)に応募・検討・興味のいずれかを経験した20代は48.0%。約半数が、一度は目を向けているのです。

それなのに、次の転職で現場職を選ぶ可能性が「ある」と答えた人は15.3%にとどまりました。興味は持たれている。でも最後の一歩で止まる。この差の中身は、調査の中にかなりはっきり出ていました。そして少なくとも一つは、求人票の書き方で今日から答えられるものです。

KEY DATA / この記事の数字
20代の求職者のうち、現場職に「応募した・検討した・少し興味を持った」のいずれかを経験した人 48.0%
次の転職・就職で現場職を選ぶ可能性が「かなりある/ややある」と答えた20代 15.3%
現場職を前向きに検討する条件として「土日祝休み」を挙げた20代(条件の1位) 58.4%

出典:株式会社学情調べ(調査期間2026年7月24日〜8月1日/20代の求職者190名・「Re就活」会員/2026年8月7日発表)

若手は現場職に興味がない、のでしょうか

20代の求職者190名に聞いた株式会社学情の調査では、現場職に「応募したことがある」(11.1%)「検討したことがある」(15.3%)「少し興味を持ったことがある」(21.6%)の合計が48.0%でした。約半数が、一度は現場の仕事に目を向けたことがある計算になります。「若手は現場職に見向きもしない」という前提は、少なくとも入口の段階では当てはまらないようです。

MYTH vs FACT
MYTH
若手は現場の仕事に興味がない。だから、募集をかけても最初から届いていない。
FACT
20代求職者の48.0%が、現場職に応募・検討・興味のいずれかを経験している(株式会社学情調べ・n=190)。届いていないのは興味そのものではなく、興味を持った”あと”に必要な情報のほうかもしれません。

背景には、若手自身の見立てもありそうです。同じ調査で「生成AIの普及により事務職や一般職の仕事が減る可能性」について「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた20代は84.7%にのぼりました。現場職のイメージとして「手に職をつけられる」を挙げた人が49.5%、「専門的なスキルが身につく」が41.1%という結果と合わせて読むと、AI時代に残る仕事として現場を見ている若手が一定数いる、という読み方もできそうです。

ただし、同じ調査で「体力的にきつそう」が70.0%、「危険が伴いそう」が46.3%とも出ています。期待と不安が、同じ人の中に同居している。この状態の人に向けて、御社の求人票は何を答えているでしょうか。

48%が15.3%になるまでに、何が起きているのか

現場職に興味を持ちながら実際には検討しなかった20代が挙げた理由は、1位が「体力面が不安だった」76.6%、2位が「安全面が不安だった」49.4%、3位が「休みが少なそう」44.2%でした。興味を持った48.0%と、次の転職で選ぶ可能性がある15.3%。その間にあるのは、この3つの不安です。

IMPACT MAP / 現場職を検討しなかった理由(20代・複数回答)
体力面への不安76.6%
安全面への不安49.4%
休みが少なそう44.2%

出典:株式会社学情調べ(2026年7月24日〜8月1日/20代の求職者190名)

気になるのは、3つとも「実際に働いてみたら大変だった」ではなく、「そう見えた」段階の不安だということです。確かめる前に降りている。だとすると、これは仕事そのものの魅力の問題というより、情報が届いていない問題として捉え直せます。魅力を足すのは時間がかかりますが、情報を書き足すのは今日からできます。

実際、同じ調査で「前向きに検討する条件」を聞くと、1位が「土日祝休み」58.4%、2位が「年間休日の多さ」54.5%、3位が「年収アップ」44.2%でした。上位2つは、いずれも休みに関する項目です。裏を返せば、休みの条件で他社と差がつく余地が、まだ残っているということでもあります。

求人票で外せる不安から、順番に手をつける

3つの不安のうち、賃金や設備をすぐに変えなくても手をつけられるのが「書き方」の部分です。ここでは、現場職の求人票を見直すときに、わたしたちが順番に確認している3ステップをご紹介します。どれも、事実を具体的に書き足すだけの作業です。

1
休日欄を「カレンダー名」から「休みの形」へ書き換える
「シフト制」「4週8休」だけでは、休みの形が想像できません。年間休日の日数、シフトが確定するタイミング(例:前月20日に翌月分を確定)、連休の取りやすさまで書きます。土日祝休みでない職場ほど、ここを具体的に書く価値があります。
2
仕事内容に「1日の流れ」を時間で1本足す
「体力に自信のある方」と書くと、体力に自信がない人が静かに降りるだけで終わります。立ち作業が何時間か、扱う重量物の上限は何kgか、機械化・自動化している工程はどこか。数字で書くと、不安は「わからないもの」から「判断できるもの」に変わります。
3
安全と教育を「制度名」ではなく「実績と手順」で見せる
「安全第一」「研修充実」は、どの会社の求人にも書いてあります。無事故の継続期間、支給される装備、入社後に誰が何ヶ月同行するか、資格取得の費用負担。安全面の不安(49.4%)に効くのは、標語ではなく手順の具体です。

こうした「良い面も大変な面も、選ぶ前に正直に伝える」考え方は、採用の世界ではRJP(Realistic Job Preview=現実的職務予告)と呼ばれてきました。大変な部分を隠さないほうが、入社後のギャップが小さくなり定着が保たれやすいと、繰り返し指摘されている考え方です。応募を減らしたくなくて大変さを伏せると、結局は入社後に清算することになります。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査を読んでいて、いちばん惜しいと感じたのは「興味を持ってもらえているのに、確かめる手前で終わっている」という点でした。採用の打ち手というと母集団を増やす話になりがちですが、今回のデータが示しているのは、すでに入口まで来た人が引き返している、という別の場所の詰まりです。求人広告の原稿を見直すだけでも動く部分が、まだ残っているように思います。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の現場職の求人を開いた、24歳の一人を思い浮かべてみます。彼/彼女は、事務職の仕事は減っていくかもしれないと感じていて(同じ調査で84.7%)、手に職をつけられる仕事に少し興味がある。それでも、休日欄に「シフト制」とだけ書いてあると、自分の一週間が想像できません。想像できないものは、応募の候補から静かに外れていきます。

わたしたちが原稿の打ち合わせで感じるのは、企業側は「うちは休みも安全もちゃんとしている」と思っていて、実際そのとおりなのに、それが一行も書かれていないことが多い、ということです。当たり前になっていることほど、書き落とされます。逆に言えば、書いた会社だけが比較の土俵に残れるのかもしれません。

わたしたちがHRブランディングと呼んでいるのは、こういう「すでに持っているものを、候補者に伝わる形にしていく」作業の積み重ねです。新しい制度を作る前に、いま社内にある事実をどれだけ言語化できているか。現場職の採用ほど、その差が出やすい領域だと感じています。

なお、今回の調査は20代の求職者190名という規模で、回答者は20代向け転職サイトの会員です。数字をそのまま自社の市場に当てはめるというより、「興味の段階と、決める段階の間に何があるか」を考えるヒントとして読むのがよさそうです。

ACTIONS / 今日からできる3つ
休日欄に、年間休日数とシフト確定日を書き足す
前向きに検討する条件の1位「土日祝休み」58.4%、2位「年間休日の多さ」54.5%と、上位2つが休みに関する項目でした。土日祝でなくても、休みの形が読めれば比較の対象に入れます。
仕事内容に「1日の流れ」を1本追加する
RJP(現実的職務予告)の考え方です。大変な面も先に伝えたほうが、入社後のギャップが小さくなり定着が保たれやすいと指摘されてきました。検討をやめた理由の1位は体力面の不安76.6%です。
安全の取り組みを、標語ではなく数字と手順で1行書く
「安全第一」は全社が書いているので差がつきません。無事故の継続年数や入社後の同行期間など、検証できる形にすると、安全面の不安(49.4%)に直接答えられます。
FAQ / よくある質問
Q. 若手は現場職を敬遠しているのでしょうか?
株式会社学情が20代の求職者190名に聞いた調査では、現場職に応募・検討・興味のいずれかを経験した人が48.0%でした。敬遠というより、興味を持ったあとの段階で止まっている、と読むほうが実態に近そうです。
Q. 求人票で最初に直すなら、どこがよいですか?
休日欄をおすすめしています。同調査で前向きに検討する条件の1位は「土日祝休み」58.4%、2位は「年間休日の多さ」54.5%でした。土日祝休みでない職場でも、年間休日数やシフトの確定タイミングを書けば、休みの形が伝わります。
Q. 体力面の不安には、どう答えればよいでしょうか?
「体力に自信のある方」と条件で問うのではなく、立ち作業の時間、扱う重量物の上限、機械化している工程を具体的に書く方法があります。良い面も大変な面も先に伝えるRJP(現実的職務予告)の考え方で、判断材料を渡すイメージです。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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