応募は来ているのに、面接の席に半分しか座っていない。受信箱に未返信の応募が2〜3件たまったまま夕方になる。わたしたちも、そういう日を何度も見てきました。
採用管理システムを手がけるゼクウが2026年2〜3月に行った調査では、応募への一次連絡が5分未満だった企業の面接予約率は67.5%、3日以上かかった企業は45.8%。その差は21.7ptでした。面接の日程調整は、内容を練る前に「いつ返すか」でかなりの部分が決まっているのかもしれません。
55.4%
67.5%
45.8%
出典:株式会社ゼクウ「『採用における歩留まり・直近の変化・運用の実態』に関する調査」(調査期間2026年2月27日〜3月2日/月50応募以上の企業の人事・採用担当者、採用責任者 n=1,496・うち中途採用担当793名)
応募と面接のあいだで、半分が消えている
中途採用で応募が面接予約に至る割合は、平均で55.4%でした。応募をくれた人のうち、実際に面接の日程が決まるのは半分強という数字です。
同じ調査では、応募100件に対して最終的な入社は約6名。書類や面接で見送る分もあるので、6名という数字そのものは不自然ではありません。
気になるのは、その手前です。中途採用担当の47.9%が、採用プロセスで最も詰まる場所として「面接予約」の工程を挙げていました。書類選考でも面接でもなく、日程を決める段階です。
この調査の対象は、月50件以上の応募がある企業の採用担当者1,496名(うち中途採用担当793名)です。応募数の多い会社ほど返信が追いつかない構造はあるので、数字の水準はそのまま自社に当てはまらないかもしれません。ただ「日程を決めるところで止まる」という詰まり方自体は、応募が月に数件の会社でも同じように起きているように感じています。
差がついたのは、返信の速さだった
応募を受け取ってから一次連絡を送るまでの時間で、面接予約率は最大21.7pt変わっていました。5分未満で返した企業が67.5%、3日以上かかった企業が45.8%です。
出典:ゼクウ「採用における歩留まり・直近の変化・運用の実態」調査(2026年2〜3月・n=1,496)
きれいな右肩下がりですが、速ければすべて解決する、という読み方は少し行きすぎだと思います。3日以上かかった企業でも45.8%は予約に至っていますし、この調査で運用上の課題として挙がっていたのは「追客不足」46.2%でした。速さではなく、そのあとの連絡が続かない、という話です。
つまり速さと、その後の続き方の両方が要る、ということかもしれません。次いで多かったのは「日程確定の仕組み不足」43.1%でした。
営業やマーケティングの世界には「スピード・トゥ・リード」という言葉があります。問い合わせから最初の接触までの時間が、その後の成果を大きく左右する、と繰り返し語られてきた考え方です。採用の応募も、構造としてはよく似ています。
なお、この調査を出しているゼクウは採用管理システムを提供している会社です。数字は自社の販売領域と重なる部分にありますので、そこは差し引いて読んだうえで、それでも傾きの向きは腑に落ちる、というくらいの受け取り方をしています。
一次連絡でやることは、3つだけ
応募が来てから面接の日程が決まるまでにやることは、突き詰めると3つです。返信を早くするというより、返信の担当と型をあらかじめ決めておく、という話に近いと感じています。
返信が遅れるのは、担当者が怠けているからではありません。多くの場合「誰がいつ返すか」が決まっていないだけです。個人の頑張りではなく、段取りの側の問題として置き直すと、手をつける場所がはっきりします。
選考の可否には触れず、受領・次の連絡・日程候補の3つだけを入れた型です。そのまま使えるように、記入例も2本置きました。
このたびは〈職種名〉にご応募いただき、ありがとうございます。本日〈日付〉に応募内容を受け取りました。
書類の確認結果は〈◯営業日以内〉にご連絡します。あわせて、面接(〈所要時間〉・〈対面かオンラインか〉)の候補日をお送りします。
・〈候補日1〉/・〈候補日2〉/・〈候補日3〉
いずれも難しい場合は、ご都合のよい曜日と時間帯だけお知らせください。こちらで再度お出しします。
このたびは営業事務にご応募いただき、ありがとうございます。本日9月3日に応募内容を受け取りました。
書類の確認結果は3営業日以内にご連絡します。あわせて、面接(60分・オンライン)の候補日をお送りします。
・9月9日(火)10:00〜/・9月10日(水)15:00〜/・9月12日(金)18:30〜
いずれも難しい場合は、ご都合のよい曜日と時間帯だけお知らせください。こちらで再度お出しします。
このたびは施工管理(建築)にご応募いただき、ありがとうございます。本日9月3日に応募内容を受け取りました。
書類の確認結果は2営業日以内にご連絡します。面接(60分)は、現場の状況に合わせて平日夜と土曜にも枠をご用意しています。
・9月8日(月)19:00〜/・9月13日(土)10:00〜/・9月13日(土)14:00〜
オンラインでの実施も可能です。移動のご負担が大きいようでしたら、その旨だけお知らせください。
記入例は書き方を示すための架空の文面です。
一次連絡は事務連絡に見えて、実はその会社と候補者の最初のやりとりです。求人票や採用サイトでどれだけ丁寧に伝えていても、応募した翌日に何も返ってこなければ、伝えてきたことは一度打ち消されてしまいます。
御社に応募したその人は、たいてい同じ週に他社にも出しています。返信を待っている数日のあいだに、別の会社の面接が先に埋まっていく。見送られたのではなく、順番が後になっただけで会えなくなることは、実際によく起きているように思います。
現場でよく聞くのは「返事が早い会社は、入ってからも話が通りそうに感じた」という声です。速さそのものより、扱われ方のサンプルとして読まれているのかもしれません。だとすると一次連絡は、会社の仕事の進め方を見せる最初の一枚ということになります。
わたしたちCoachersも、求人広告や採用サイトのご相談をいただいたあとで、応募後の連絡が数日空いていた、と分かることがあります。入口を広げる前に、届いた応募を落とさない段取りのほうが先に効く場面は少なくありません。
HRブランディングは、掲げた言葉と実際の振る舞いが揃っているかどうかの話でもあります。一次連絡の文面を1枚整えるのは、その揃え方としてはかなり安いほうだと感じています。
- 株式会社ゼクウ「『採用における歩留まり・直近の変化・運用の実態』に関する調査」(2026年2月27日〜3月2日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000180753.html



