中途採用、応募数は約9割が予定通りでも3割が採れない──「量より質」の設計へ
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中途採用、応募数は約9割が予定通りでも3割が採れない──「量より質」の設計へ

Branding, 2026.07.11 By 中村 尚人

「応募が集まらない」——中途採用の悩みといえば、まずこれを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、最新のデータはすこし違う景色を映しています。

日本政策金融公庫が2026年3月に中小企業4,123社へ聞いた調査では、中途採用で採用予定を超える応募があった企業が63.0%。予定通り以上まで含めれば、約9割の企業に”予定分の応募”は届いていました。

ところが、実際に予定人数を採り切れた企業は約3分の2。およそ3割は、応募はあったのに予定に届いていません。応募は来ている。でも、採れていない。——この差はどこで生まれているのか、今日は一緒に考えてみたいと思います。

中小企業の中途採用では、採用予定を超える応募があった企業が63.0%、予定通り以上まで含めると88.6%にのぼる(日本政策金融公庫・2026年3月・4,123社)。

一方で、採用予定の人数に届かなかった企業は中途採用で約3割(32.4%)。応募は集まっても、採り切れていない企業が一定数ある。

カギは「応募数」より、応募者の質・惹きつけ・選考の歩留まり。求人や自社発信の”見せ方”と選考の進め方を見直す余地がありそう。

応募は「来ている」──中途採用の63%が予定を超えた

まず、意外に思えるかもしれない数字から見てみます。この調査で中途採用を行った企業のうち、採用予定者数に対する応募者数が「100%超(予定を上回る)」だった企業は63.0%。「ちょうど100%」の25.6%を合わせると、88.6%の企業で予定通り以上の応募が集まっていました。

KEY DATA
中途採用で予定を超える応募があった
63.0%

予定通り以上の応募まで含めると
88.6%

この調査は、日本政策金融公庫が取引先の中小企業12,632社に尋ね、4,123社が回答したもの(2026年3月中旬・回答率32.6%)。採用活動の内訳では「中途採用のみ実施」が39.1%で最も多く、中小企業にとって中途採用が採用の主戦場になっていることがうかがえます。だからこそ、「応募がそもそも来ない」という前提は、いったん置いて考えてみたいところです。

もちろん地域差はあります。三大都市圏以外では「100%超」の割合が10ポイント以上低く、エリアによって集まりやすさは変わります。それでも全体で見れば、“応募の量”は思ったほど枯れていない——これがこの調査からまず読み取れる景色です。

でも採り切れているのは3社に2社──約3割が予定未達

同じ企業に「実際に採用できた人数」を聞くと、景色が変わります。中途採用で採用予定に対する採用実績が「100%未満」だった企業は32.4%(50%未満12.8%+50〜100%未満19.6%)。およそ3割が、予定した人数に届いていません。ちなみに新卒採用ではこの割合が43.9%(約4割)と、さらに厳しくなります。

IMPACT MAP
採用予定に対して「予定通り以上」だった企業の割合(応募と採用の到達度を比較)
中途|応募が予定通り以上88.6%
中途|採用が予定通り以上67.6%
新卒|応募が予定通り以上67.6%
新卒|採用が予定通り以上56.1%
※「予定通り以上」=採用予定者数に対して100%以上。青=応募、赤=採用の到達度。青と赤の差が”応募はあったのに採り切れていない”分。

応募は88.6%まで届いているのに、採用は67.6%まで目減りする。この約21ポイントの差が、「応募は来るのに採れない」の正体です。母集団の”量”はある程度そろっている。だとすると、詰まっているのは応募のあと——要件と応募者のズレ、選考の途中での惹きつけ不足、連絡や日程調整での取りこぼしといった、”応募から入社まで”の道のりのどこかだと考えられます。

興味深いのは、この調査で企業が「人材募集で工夫したこと」の上位に、「初任給の引き上げ」(43.4%)や「未経験・無資格者の積極採用」(37.2%)と並んで、「自社HPでの情報発信の充実」(25.5%)が入っていること。条件を上げる打ち手と、”どんな会社で・どんな人に来てほしいか”を伝える打ち手が、同じ土俵で語られはじめています。応募の質は、この”伝える”側で少しずつ整えられるのかもしれません。

「応募は来るのに採れない」をほどく3つの問い

FAQ
Q
応募が予定を超えているのに、採れないのはなぜ?

A
応募の”数”と採用の”成功”は別ものだからです。求める要件と応募者のズレ、選考中の惹きつけ不足、連絡の遅れや日程調整での離脱など、量があっても採り切れない詰まりが「応募のあと」に起きがちです。まずは自社のどこで人が減っているかを見てみたいところです。

Q
中小企業でも、応募はちゃんと集まるもの?

A
この調査では、中途採用の88.6%が予定通り以上の応募を得ていました。ただし三大都市圏以外は「予定超」の割合が10ポイント以上低く、地域差はあります。「応募が来ない」と「採れない」は分けて捉えると、次の打ち手が見えやすくなります。

Q
応募の”質”を上げるには、何から手をつける?

A
求人原稿と自社サイト・SNSで「どんな人に来てほしいか」を具体化すると、集まる母集団の質が揃いやすくなります。実際この調査でも、募集の工夫の上位に「自社HPでの情報発信の充実」(25.5%)が挙がっています。条件を上げる前に、伝え方を整える選択肢もありそうです。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

このデータを見て、わたしたちCoachersが感じたのは「採用の課題が”量”から”質と設計”へ静かに移っている」ということです。応募が9割近くの企業に届いているなら、勝負どころは「どれだけ集めるか」から「誰が・なぜ応募し、どこまで選考に残ってくれるか」に移っていきます。

ここは、まさにHRブランディングが効く領域だと感じています。求人原稿の見出しひとつ、採用サイトの情報設計ひとつで、”来てほしい人が、来たくなる理由”の伝わり方は変わります。募集の工夫として「自社HPでの情報発信」が挙がっていたのも、同じ方向を向いた動きに見えます。

わたしたち自身も、日々の採用のなかで”応募のあと”の取りこぼしに気づかされることがあります。だからこそ、まずは自社の歩留まりを段階で眺めてみる。そこから、伝え方と選考の進め方を一つずつ整えていく——そんな順番が現実的かもしれません。

ACTIONS
「応募が来ない」か「採れない」かを分けて数える
応募数・書類通過・面接・内定・入社を段階で並べ、どこで人が減っているかを一度可視化してみませんか。

求人と自社サイトで”来てほしい人物像”を1人に絞る
誰にでも刺さる表現より、たった一人に向けた具体的な言葉のほうが、結果的に応募の質が揃いやすくなります。

応募後の連絡スピードと日程調整を見直す
初回連絡までの時間や日程の出し方を整えるだけでも、選考途中での離脱をやわらげられることがあります。

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採用活動チェックシート
5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。

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