AI関連職の63%は非テック──”うちは無縁”をやめ求人でAIを見せる中途採用
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AI関連職の63%は非テック──”うちは無縁”をやめ求人でAIを見せる中途採用

Branding, 2026.07.21 By 中村 尚人

「AI人材の獲得競争」と聞くと、正直、自社には縁遠い話に感じる——。そう受け取った採用担当の方にこそ、ひとつの数字を見ていただきたいのです。いま増えているAI関連の職種のうち、63%はIT・テック以外の領域にあります(米Indeedの分析)。

医療、教育、マーケティング、物流、管理。いわゆる”普通の会社”の職種に、AIがそっと乗り始めている。しかも求職者が「AI関連の仕事」を検索する回数は、ChatGPT登場以降で11倍に膨らんでいます。なぜ、非テックの職種でAIが広がるのでしょう。そして、それは御社の求人にどう関係するのでしょうか。

結論を先に言えば、身構える必要はありません。むしろ「この仕事でAIをどう使うか」を求人票や採用サイトに一言添えるだけで、急に増えたその関心を、自社の側にたぐり寄せられるかもしれない。今日は、そんな見せ方の話を一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
AIに言及する職種名の数(米・2022年→2026年第1四半期)。264から822へ増えた 3.1倍
そのAI関連職種名のうち、医療・教育・マーケなど「非テック領域」が占める割合 63%
求職者による「AI関連の仕事」の検索数(ChatGPT登場以降の伸び) 11倍

出典:Indeed Hiring Lab「AI and Job Postings」(2026年7月)、「Job Seeker Searches for AI Roles」(2026年4月)。いずれも米国データ(CC BY 4.0)。

AIは、もう「IT企業だけ」の話ではない

KEY METRIC / AI関連職種名の内訳
63%
AIに言及する職種名のうち63%が、テック以外の領域——医療、教育、マーケティング、物流、管理などにある、という米Indeedの読み解きです。AI=エンジニア職、というイメージとは少しずれた景色かもしれません。

出典:Indeed Hiring Lab「AI and Job Postings」(2026年7月・米国)

Indeed Hiring Labの分析によると、求人タイトルにAIを含む職種名の数は、2022年の264種から2026年初頭には822種へと3倍超に増えました。増えたのは「AIエンジニア」のような専門職だけではありません。既存の仕事に”AIを使う”という一言が乗った職種——たとえばAIを使うマーケター、AIを補助に使う事務や現場管理——が、業種の垣根を越えて広がっているのです。

ひとつ正直にお断りしておくと、これは米国Indeedのデータで、日本の数字そのものではありません。日本の職種構成や普及スピードは、これより緩やかかもしれない。ただ「AIが特定の専門職の外側へ、じわじわと染み出していく」という方向そのものは、国を問わず起きている普遍的な流れだと感じています。数字の大きさは割り引いても、向きは参考にしてよさそうです。

「AI人材の奪い合い」という思い込みを外す

MYTH vs FACT
MYTH
AI人材の採用は、高度なエンジニアを奪い合うテック企業の話。うちのような会社には関係がない。
FACT
実際に増えているのは”既存職種にAIが乗った”求人。AIに言及する職種名の63%は、医療・教育・マーケ・物流・管理といった非テック領域にある(米Indeed)。奪い合う前に、いまの仕事をどう見せるかの話でもある。

求職者の側の動きも見ておきましょう。同じIndeed Hiring Labの調べでは、求職者が「AI関連の仕事」を探す検索は、ChatGPTが世に出て以降で約11倍に増えています。ひと続きの右肩上がりではなく、新しいAIモデルが出るたびに関心が跳ね、いまも高い水準にある——そんな波の形をしているそうです。

この「求人側の広がり」と「求職者側の関心」を重ねると、見えてくるのは奪い合いの図ではありません。多くの求職者が「自分の仕事はAIでどう変わるのか」を気にし始めているのに、企業側の発信はまだ追いついていない、という余白です。専門的なAI人材を高額で採ろうという話ではなく、いまいる職種にAIがどう関わるのかを、言葉にできているかどうか。そこが問われている気がしています。候補者の目に自社がどう映るかは、このあとの考察で掘り下げます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この話でいちばん惜しいのは、「AIは自社に関係ない」と早々に線を引いてしまうことだと感じています。実際には、既存の仕事にAIがどう乗るかは、業種を問わず起き始めている。だとすれば、それをどう言葉にして候補者に見せるかは、テック企業でなくても十分に勝負できる領域です。採用サイトや求人原稿の情報設計という視点で見ると、ここは意外と手つかずの余白かもしれません。

CANDIDATE VIEW | 候補者の椅子から

御社の求人を開いた一人の候補者は、いま静かにこう考えているかもしれません。「この会社に入ったら、自分の仕事はAIでどう変わるんだろう」。AI関連の仕事を探す検索が11倍に増えたという事実は、その関心が一部の人だけのものではなくなったことを示しています。

ところが多くの求人票は、その問いに何も答えていません。逆に言えば、「この職種では来期からAIツールをこう使っていく」と一段落書くだけで、候補者の目にはほとんど”独占状態”で映る。特別なことを書く必要はなく、いまの現場のリアルを一つ添えるだけで、他社との差になり得ます。

※裏づけ:Indeed Hiring Lab「Job Seeker Searches for AI Roles」(2026年4月・米国)の候補者検索データにもとづく描写です。

そもそもHRブランディングとは、大げさな刷新ではなく「自社にすでにあるものを、候補者に届く言葉に翻訳する」営みだと私たちは考えています。AIについても同じで、無理に新しい取り組みを増やすより、いまの仕事とAIの接点を一つ拾い上げて見せるほうが、たいてい誠実で、伝わります。

わたしたちCoachers自身も、日々の制作にAIをどう組み込むかを手探りしている当事者です。だからこそ、「立派に語れないと出せない」と構えすぎず、等身大の一言から始めてみるのがいいのではと感じています。

ACTIONS / 今日からできる3つ
募集職種の「AIとの接点」を一つ書き出す
エンジニア職に限らず、営業・事務・現場など、その仕事でいまAIをどう使っている/使う予定かを一行メモに。無ければ「これから検討中」でも構いません。
求人票・採用サイトに一段落だけ足す
書き出した接点を、候補者が読む言葉に翻訳して添える。「AIで何が楽になり、人は何に集中できるのか」まで書けると、働くイメージがぐっと具体になります。
“盛らない”を徹底する
実態以上に「AI先進企業」と見せると、入社後のギャップになります。いまの等身大を正直に。検討段階なら「これから」と書くほうが、かえって信頼されます。
FAQ / よくある質問
Q. AIスキルを求人に書くと、IT人材しか来なくなりませんか?
むしろ逆かもしれません。実際に増えているのは既存職種にAIが乗った求人で、その63%は非テック領域(米Indeed)。「この仕事でAIをどう使うか」という書き方なら、専門職に限らず幅広い層に届きます。
Q. うちは非テックの会社です。AIの話は本当に関係ありますか?
関係する可能性が高いと感じます。求職者のAI関連職の検索は約11倍に増え、AI職種名の63%は医療・教育・マーケなど非テックに。候補者は業種を問わず「この会社でAIとどう働くか」を気にし始めています。
Q. 高度なAI人材を採らないと乗り遅れますか?
必ずしもそうではないと思います。まずは既存メンバーの仕事にAIがどう関わるかを言語化し、求人や採用サイトに一言添えることから。専門人材の採用は、その先に検討しても遅くありません。
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「この仕事でAIをどう使うか」を、候補者に届く言葉に。
HRブランディングファームのCoachersは、求人原稿や採用サイトの情報設計を通じて、自社にすでにある魅力を候補者目線の言葉に翻訳するお手伝いをしています。AIとの接点の見せ方も、まずは一緒に棚卸しから。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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