カジュアル面談で志望度が下がった転職者65%──”公開情報以下”にしない4ステップ
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カジュアル面談で志望度が下がった転職者65%──”公開情報以下”にしない4ステップ

Branding, 2026.08.05 By 中村 尚人

「まずは気軽に、カジュアルにお話ししませんか」——選考のいちばん手前に置いたはずのその場が、実は人がいちばん減っている場所かもしれない、というデータがあります。

採用支援を手がける株式会社uloqoが2026年2月に実施した調査では、カジュアル面談を受けた転職経験者934名のうち、面談のあとに志望度が「下がった」経験がある人が65.0%。しかも志望度が下がった面談の約66%は、話された内容が「公開情報以下」だったといいます。

気軽な場なのに、なぜ気持ちが冷めてしまうのか。そして同じ調査には、少しほっとする数字も並んでいます。今日はそこを一緒に見てみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
カジュアル面談の後に志望度が「下がった」経験がある転職経験者 65.0%
志望度が下がった面談のうち、話された内容が「公開情報以下」だったもの 約66%
志望度が下がった人のうち「面談の質次第では入社の可能性があった」と答えた割合 85.0%

出典:株式会社uloqo「カジュアル面談実態調査」(2026年2月19〜28日実施・インターネット調査・過去に転職経験のある20〜70代の男女934名)

カジュアル面談で、いま何が起きているのでしょうか

結論から言うと、「感じが悪かったから冷めた」わけではなさそうです。カジュアル面談とは、選考の合否をつけずに企業と候補者が情報を交換する場のこと。その場で候補者ががっかりしていた理由の中心は、態度ではなく中身の深さでした。

株式会社uloqoの調査では、志望度が下がったと答えた人は65.0%。そのうち33.0%は「何度も経験がある」と回答しています。そして志望度が下がった面談の約66%は、話された内容が「公開情報以下」だったといいます。つまり候補者から見ると、わざわざ時間をつくって話を聞いたのに、採用サイトや求人票を読めば分かることしか出てこなかった、ということになります。

理解しようとされるのではなく、評価される場に感じた
— カジュアル面談実態調査の自由回答より(株式会社uloqo・2026年2月)

ちなみにこの調査は2026年2月の実施で、半年近く前の数字です。市場の空気はこの間にも動いていますから、割合そのものは今なら少し違うかもしれません。ただ「公開情報以下の話しか出てこない場でがっかりする」という反応自体は、時期にあまり左右されない気がしています。

もうひとつ、少しほっとする数字も添えておきます。志望度が下がったと答えた人のうち85.0%が、「面談の質が高く、現在の課題まで深く話せていたら入社の可能性はあった」と回答しています(「可能性はあった」53.2%+「非常に高かった」31.8%)。一度冷めたら終わり、という話ではなく、設計しだいで戻せる幅がかなり大きいということですよね。

志望度が下がる面談と、上がる面談は何が違うのか

同じ「カジュアル面談」という名前でも、中身は大きく2つの軸で分かれます。ひとつは話す情報の深さ(公開情報の範囲か、現場の解像度まで開くか)。もうひとつは場の向き(こちらが見極める場か、お互いに理解し合う場か)。並べてみると、うまくいかない面談の位置が見えてきます。

MATRIX / カジュアル面談の4つの型
情報が浅い × 見極める場
会社説明会の縮小版
求人票と同じ話を読み上げ、最後に経歴を確認して終わる。候補者には「もう読んだ話」だけが残ります。
情報が深い × 理解し合う場
相互理解の場(ここを狙いたい)
現場の一日、意思決定の仕方、まだうまくいっていないことまで開く。候補者も自分の迷いを話せます。
情報が浅い × 理解し合う場
感じのいい雑談で終わる会
空気はよかったのに、判断材料が増えていない。好印象は残っても、比較の土俵には上がれません。
情報が深い × 見極める場
名前だけカジュアルな一次面接
中身は濃いのに、質問が一方通行。「カジュアルと言われたのに」という落差が不信につながります。

面談相手の内訳を見ると、人事担当者が40.4%、現場のマネージャー・メンバーが36.4%、経営層・役員が20.1%。誰が出るかが正解を決めるというより、「その人しか話せないこと」を一つ持って行けているかのほうが効いていそうです。人事なら選考プロセスと配属の考え方、現場なら実際の一日と直近の失敗、経営層なら数年先の絵。役割ごとに、公開情報のひとつ下があります。

明日の面談から変えられる4ステップ

やることを増やす話ではありません。順番と、持ち込む材料を1つ決めるだけでも、候補者から見た景色はかなり変わります。

1
最初の30秒で「今日は選考ではありません」と言い切る
合否をつけないこと、この後の進み方は最後に一緒に決めることを先に伝えます。場の定義があいまいなままだと、候補者は「評価されている」前提で受け答えを始めてしまいます。
2
会社の話より先に、いまの状況と迷いを聴く
転職を考え始めた段階なのか、比較の最終盤なのか。何を迷っているのか。ここを5分聴いてから話す順番を決めると、同じ情報でも刺さり方が変わります。
3
「公開情報のひとつ下」を、必ず1つ用意して持ち込む
求人票にも採用サイトにも書いていない話を1つだけ決めておきます。直近の体制変更の理由、いま社内で割れている論点、まだ整っていない仕組み。都合の悪い話を1つ混ぜられると、他の話の信頼度も上がります。
4
終わり方は「選考に進む/情報だけ受け取る/持ち帰る」の3択で渡す
その場で意思を確認するのではなく、選べる形にして返します。断りにくさが消えると、いま動けない人も後から戻ってきやすくなります。
C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査を読んでいて、少し不思議な構造だなと感じました。カジュアル面談は「まだ選考ではない」から気楽な場のはずなのに、気楽であるがゆえに、いちばん準備が薄くなりやすい。一次面接には評価シートも想定質問もあるのに、その手前の場だけ、担当者の力量に丸投げされていることが少なくありません。わたしたちCoachersも、気づけば「とりあえずお話ししましょう」で予定を入れてしまうことがあります。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の面談に来る候補者は、たいてい仕事帰りか昼休みに、30〜60分を差し出しています。その人にとって、面談は「情報を仕入れる投資」です。だから終わったあとに残るのは、感じがよかったかどうかより「自分の判断材料は増えたか」の一点かもしれません。今回の調査で「理解しようとされるのではなく、評価される場に感じた」という声が挙がっていたのも、その延長線上にある気がします。

わたしたちが現場で聞くのも、「悪くなかったけど、特に新しい話はなかったので」という静かな理由です。強い不満ではないぶん、企業側には届きません。逆に言えば、公開情報のひとつ下を1つ持って行くだけで、その静かな離脱はかなり減らせるのではないかと考えています。

そしてもう一段引くと、これは面談だけの問題ではないのだと思います。面談で「これは書いていないんですが」と話している内容は、そのまま求人広告や採用サイトに載せられる材料です。1人に話せば1人にしか届きませんが、書けば次から全員に届きます。HRブランディングの視点で見ると、カジュアル面談は選考の入口であると同時に、自社の言葉が足りていない場所を教えてくれる場でもあります。

面談後に「これは書いていなかったな」と思った話をメモに残しておく。それを月に一度まとめて求人票や採用サイトに戻す。地味ですが、面談の質と募集原稿の質が同時に上がっていく、いい循環になります。

ACTIONS / 今日からできる3つ
次の面談で渡す「公開情報にない話」を1つだけ決める
志望度が下がった面談の約66%は内容が「公開情報以下」でした。増やすのではなく、1つ深いものを混ぜるだけで足ります。
冒頭30秒の言い方を、面談に出る全員で揃える
場の定義が先にあると、人は態度を切り替えられます。「選考ではありません」の一言があるかないかで、同じ内容でも受け取られ方が変わります。
面談で話した「書いていないこと」を求人票・採用サイトに戻す
少し逆説的ですが、面談を減らすために面談を使う発想です。1人に話した内容を書けば、次からは会う前の100人に届きます。
FAQ / よくある質問
Q. カジュアル面談で、会社の説明はどこまで話せばいいですか?
量より深さで考えてみると整理しやすいかもしれません。求人票や採用サイトに書いてあることは短い要約にとどめ、そこに載っていない話を1つ足す。調査では志望度が下がった面談の約66%が「公開情報以下」の内容だったので、足りないのは説明の長さではなく、ひとつ下の階層のようです。
Q. 面談に出るのは人事と現場、どちらがいいのでしょうか?
同じ調査では面談相手は人事担当者40.4%、現場のマネージャー・メンバー36.4%、経営層・役員20.1%と分かれていて、どれかが正解というデータにはなっていません。役割よりも「その人しか話せないこと」を持って出られるかで選ぶほうが、候補者にとっての価値は決まりやすい気がします。
Q. 「選考に進みますか?」はいつ聞けばいいですか?
最後に、しかも3択で渡すのがおすすめです。「選考に進む/情報だけ受け取っておく/一度持ち帰る」。二択で迫ると、まだ決めきれない人は「今回は」と言うしかなくなります。志望度が下がった人の85.0%が「質次第では入社の可能性があった」と答えていることを踏まえると、扉を閉めない終わり方には意味がありそうです。
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REFERENCES
  • 株式会社uloqo「【カジュアル面談実態調査】転職者の約3人に2人が、カジュアル面談で志望度を下げた経験あり。採用の入口が、離脱の要因になっている実態が明らかに。」(2026年4月7日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000173541.html
  • HRzine「カジュアル面談で志望度が下がった経験、3人に1人が何度もあると回答—uloqo調べ」 https://hrzine.jp/news/detail/7699
中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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