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求人票を見て”合わない”、就職・転職経験者の57.2%──応募が来ない求人の直し方
「アットホーム、皆で助け合い、というフレーズ。」——ある30代女性が、求人情報を見て「合わないな」と感じた理由として挙げた言葉です。悪気なく書いた一行が、そのまま辞退の理由になっていた、ということかもしれません。
株式会社NEXERと総合人材会社の株式会社プレイス&アビリティが2026年5月に実施した調査では、就職・転職経験者500人のうち57.2%が、採用広告や求人情報を見て「合わないな」と感じた経験があると答えています。では、その判定は何をきっかけに起きているのでしょうか。
同じ調査は、企業に魅力を感じた最初のきっかけの1位もまた「求人票」(30.4%)だと示しています。同じ一枚が、入口にもなれば関門にもなる。だとすれば、直せる余地もそこにあるということですよね。今日は「応募が来ない求人票」を、候補者の判定基準から一緒に見直してみたいと思います。
出典:株式会社NEXERと総合人材会社の株式会社プレイス&アビリティによる「就職・転職活動における企業の第一印象に関するアンケート」(2026年5月8〜13日実施・n=500)
求人票は、なぜ「合わない」と判定されるのでしょうか
結論から言えば、多くの候補者は求人票を「読む」前に「選り分けて」います。今回の調査で、採用広告や求人情報を見て「合わないな」と感じた経験がある人は57.2%。半数を超える人が、応募という行動に移る手前で一度、企業をふるいにかけた経験を持っている計算になります。
出典:NEXER×プレイス&アビリティ「就職・転職活動における企業の第一印象に関するアンケート」(2026年5月・n=500)
ここで少しだけ視点を引き上げてみると、求人票の役割が見えてきます。求人票は「募集要項」の顔をしていますが、実際には最初の面接に近いのかもしれません。しかも一方通行で、こちらからは相手の表情が見えない。候補者が眉をひそめた瞬間も、ページを閉じた瞬間も、企業側には何も届かないまま「応募が来ない」という結果だけが残ります。
「応募が来ないのは媒体のせいか、条件のせいか」と悩まれる場面は多いと思います。わたしたちCoachersも、まずそこを疑いたくなる気持ちはよく分かります。ただ、この調査を見るかぎり、媒体にも条件にもたどり着く前の「文面の段階」で降りている人が一定数いる、という前提は持っておいてよさそうです。
候補者は、応募前にどこを見ているのでしょうか
同じ調査で「応募する前に調べた内容」を聞くと、上位2つが突出しています。仕事内容と給与・待遇で、いずれも6割超。社風や福利厚生は2割台にとどまりました。つまり候補者の関心は、雰囲気より先に「自分は何をして、いくらもらうのか」に向いている、ということになります。
出典:NEXER×プレイス&アビリティ「就職・転職活動における企業の第一印象に関するアンケート」(2026年5月・n=500)
この並びは、求人票の紙面配分と照らし合わせると示唆的です。最も見られている仕事内容の欄が、「営業全般」「付随する業務」といった数語で終わっていないでしょうか。逆に、あまり見られていない社風や福利厚生の欄だけが、写真とキャッチコピーで手厚くなっていないでしょうか。見られている場所ほど、情報が薄い——求人原稿を拝見していると、この逆転はしばしば起こります。
「合わない」と言われた求人票に、共通していたこと
この調査では、「合わないなと感じた理由」を自由記述でも聞いています。実際の回答を並べてみると、傾向はかなりはっきりしていました。
同じ設問には、「業務内容の範囲が広すぎる点。それにも関わらず給料が低い点。」(30代・女性)、「やる気など精神論や残業が多い」(30代・女性)、「少し高圧的な広告。」(20代・男性)といった声も並びます。共通しているのは、条件そのものの高い・低いというより、書かれ方から読み取れる情報の少なさと、その不足を埋める言葉の選び方です。
もうひとつ、少し意外な回答がありました。「あまりにもいいことばっか書いてあること。」(30代・女性)、そして冒頭で引いた「アットホーム、皆で助け合い、というフレーズ。」(30代・女性)。良い面を足すほど信じてもらえなくなるという逆転が、ここでは起きています。読み手からすると、都合の良い情報しか出てこない文面は、そもそも判断材料として使えない、ということなのかもしれません。
そして、入社後にギャップを感じた経験があると答えた人は37.2%でした。「初心者歓迎、が全然初心者歓迎ではなかったこと。」(30代・女性)のような声を見ると、応募前の「合わない」判定と入社後のギャップは、同じ一枚の書き方から出ている問題に見えてきます。もっとも、「ギャップを感じていない」62.8%のほうが多数派ではあり、すべての求人票が疑われているわけではなさそうです。
求人広告の原稿を拝見していると、「悪い情報は書かないほうがいい」という前提が共有されていることに気づきます。もちろん、わざわざ短所を並べる必要はありません。ただ今回の自由記述を読むと、候補者が求人票に求めているのは長所の量ではなく、判断できるだけの手がかりの量なのだと感じます。
御社の求人票を開いた一人の候補者は、いま何十件も並んだ検索結果の一つとしてそれを見ています。この調査で「合わないな」と感じた経験があると答えた人が57.2%いたことを踏まえると、その人にとって求人票は「読むもの」である前に、まず降りる理由を探すものなのかもしれません。応募すれば、履歴書を整え、有給を取って面接に行くことになる。だから先に、外れを引かない理由を探す。合理的な読み方だと思います。
わたしたちが現場でよく聞くのも、「条件が悪くて落としたのではなく、書いていないことが多すぎて分からなかった」という声です。逆に言えば、仕事内容の欄に一日の流れが3行あるだけで、その候補者にとっては降りる理由が一つ消えます。他社の求人票がキャッチコピーで埋まっているぶん、そこは案外、空いている場所でもあります。
わたしたちがHRブランディングと呼んでいるのは、良く見せる技術のことではありません。自社にとって都合の悪いことも含めて、実態と発信を一致させていく取り組みのことです。求人票はその最前線にあり、しかも一番安く直せる場所でもあります。
応募が来ないとき、媒体や予算を見直す前に、まず一枚を候補者の目で読み直してみる。わたしたちCoachers自身も、自社の採用でつい忘れがちなことなので、一緒に気をつけたいところです。
- 本記事の調査データは、株式会社NEXERと総合人材会社の株式会社プレイス&アビリティによる調査を引用しています。
- 株式会社NEXER「就職・転職経験者の約57%が求人情報を見て『合わないな』と感じた経験あり。見極めのポイントとは?」(2026年5月8〜13日実施・n=500) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002726.000044800.html
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