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職務経歴書のAI利用、中途採用担当の52%が落とした経験──書類選考の基準づくり
「これ、AIで書いたな」と思った職務経歴書を、あなたは落とす理由にしますか。
SHIFT AIが2026年5月に採用担当者503名へ行った調査(SHIFT AI調べ)では、中途採用の担当者のうち52.0%が「AIで作成されたと感じる書類を理由に、選考を通さなかったことがある」と答えていました。ところが同じ人たちの52.9%は、応募書類にAIを使うこと自体は許容だとも答えています。
矛盾しているようで、たぶんしていません。落とされているのはAIではなく、AIの向こうに何も見えなかった書類のほうです。では、その線引きはどこに置けばいいのか──今日は書類選考の「基準」を一緒に考えてみたいと思います。
出典:株式会社SHIFT AI「AI応募書類に関する調査」(2026年5月20〜24日実施・採用担当者503名/うち中途採用担当248名・SHIFT AI調べ)
職務経歴書のAI利用は、もう「あるかないか」の話ではない
中途採用の書類選考では、AIで整えられた職務経歴書が届くことがすでに前提になりつつあります。SHIFT AIが2026年5月に採用担当者503名(うち中途採用担当248名)へ実施した調査によると、中途採用の担当者の66.9%が「AIで作成されたと感じる応募書類を受け取ったことがある」と回答し、うち29.0%は「強く感じる」と答えていました。
そして、そう感じた書類を実際に通さなかった経験を持つ人が、半数を超えます。
出典:SHIFT AI調べ(2026年5月・中途採用担当248名)
ただ、この数字だけで「AIは嫌われている」と読むのは早いかもしれません。同じSHIFT AI調べの調査には、逆向きの答えも並んでいます。応募書類へのAI利用について、中途採用の担当者の52.9%は許容(うち33.1%は「補助的な役割なら可」)と回答しているのです。半数超が許容し、半数超が落としている。この2つは、同じ人たちの回答です。
落とされているのは「AIを使ったこと」ではない
AI書類だと判断した理由を見ると、その線引きがどこにあるかが見えてきます。中途採用の担当者が挙げた理由の上位は、AIの痕跡そのものではなく、読んでも中身が入ってこないことでした。
出典:SHIFT AI調べ(2026年5月・中途採用担当248名・複数回答)
1位の「洗練されているのに具体性がない」(57.8%)は、AIの話というより、書類の中身の話です。2位の「整いすぎていて差別化できない」(56.6%)も同じで、文章がうまいかどうかではなく、その人が誰なのかが読み取れない、ということかもしれません。つまり落選の理由は「AIを使ったから」ではなく「AIを使ってもなお、事実が書かれていなかったから」だと読めます。
そのうえで、担当者側にも困りごとがあります。「見分け方がわからない」が35.9%、「落とす基準・ルールが社内にない」が35.5%。見分けられない道具で、基準のないまま判断している──そう並べると、少ししんどい構図です。実際、応募書類のAI利用について明確なルールを定めて周知している企業は、採用担当者全体の14.9%にとどまりました。
「見分ける」より「見たいものを決める」ほうが早い
AIで書かれた職務経歴書への向き合い方は、検知の精度を上げる方向と、評価の基準を決める方向の2つに分かれます。調査の数字は、後者のほうが現実的だと示しているように見えます。
「面接で深掘りする」(34.7%)という対応は、地味ですが理にかなっています。書類でAIかどうかを当てにいくのは、当たっても外れても情報が増えません。けれど「この実績、具体的にどこを担当されたんですか」と聞けば、AIを使ったかどうかとは関係なく、その人の輪郭が見えます。見分けるのをやめて、確かめる場所を後ろにずらす──それが、いまのところ一番割の合う手のように思えます。
この調査を読んでいて引っかかったのは、「AIを使ったこと」を責める声が思ったより少なかったことです。落とす理由の1位は具体性のなさで、許容派は半数を超えている。担当者はたぶん、AIそのものには怒っていません。ただ、読んでも何も分からない書類が増えたことに、静かに疲れている気がします。
御社の求人票を開いて、職務経歴書を書き始めた一人の候補者を想像してみます。その人はたぶん、手を抜こうとしてAIを開いたわけではありません。むしろ「失礼のない文章にしたい」「何を書けば伝わるのか分からない」から、AIに聞いているのだと思います。具体性が抜け落ちた原因は、候補者の怠慢ではなく、”何を書けば伝わるか”を誰も教えていないことかもしれません。
わたしたちが現場で聞くのも、「志望動機の書き方が分からないので、とりあえずAIに整えてもらった」という声です。だとすれば、求人票に「職務経歴書ではここを知りたい」と3つ書くだけで、返ってくる書類の中身は変わるかもしれません。問いを渡していないのに、具体的な答えだけを期待するのは、少し虫がよかったのかもしれない、と思ったりします。
ここはHRブランディングの話とも地続きです。書類の文章力で差がつかなくなったぶん、勝負どころは「誰に来てもらうか」と「会って何を確かめるか」に移ります。求人広告の原稿で、仕事の手触りや任せたい範囲を具体的に書けているほど、返ってくる職務経歴書も具体的になる──そういう跳ね返りは、実務のなかで何度も見てきました。
AIを使ったかどうかを当てるゲームに、わたしたちCoachersはあまり興味が持てません。それより、「うちはこういう人と働きたい」を先に言葉にしておくほうが、結果的に選考もラクになる気がしています。
- 株式会社SHIFT AI「【採用担当者503名に調査】新卒採用担当の64.0%が“AI書類”で選考落とし経験あり」(2026年5月29日/調査期間2026年5月20〜24日・SHIFT AI調べ) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000116644.html
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