副業・兼業人材という選択肢――認める企業6割・実施1割のギャップ
BLOG

ブログ

副業・兼業人材という選択肢――認める企業6割・実施1割のギャップ

Branding, 2026.06.17 By 中村 尚人

「正社員で、フルタイムで」――中途採用というと、つい その前提で考えてしまいますよね。でも、ほしいスキルを持つ人が、必ずしもフルタイムで来てくれるとは限りません。

副業・兼業という働き方を認める企業は、いまや60.7%と6割を超えました。一方で、実際に副業をしている人はまだ10.7%。「門戸は開いたけれど、実態はこれから」という、少し不思議なギャップが生まれています。

副業・兼業人材は、採用の母集団を広げる「もう一つの選択肢」になり得るのか。今日は、その実態と、受け入れて成果を出している会社の共通点を、一緒に見ていきたいと思います。

副業を認める企業はどのくらい?――いまや6割超

結論からお伝えすると、従業員の副業・兼業を認める制度がある企業は60.7%。リクルートグループのジョブズリサーチセンター(JBRC)の調査によると、2020年の49.5%から年々増え、直近では2022年調査と比べて+8.9ポイントになりました。「副業OK」は、もう特別な制度ではなくなりつつあるようです。

KEY METRIC
60.7%
制度あり
副業・兼業を「認める制度がある」企業
従業員の副業・兼業を認める人事制度がある企業の割合。2020年は49.5%、直近では60.7%まで上昇しました。多様な働き方を受け入れる姿勢が、制度の面では着実に広がっています。

ここで一つ、気をつけておきたいことがあります。「認めている」と「実際に動いている」は別物だ、ということです。制度として門戸を開いた企業は6割を超えましたが、その先の実態を見ると、少し景色が変わってきます。

「門戸は開いた」のに、なぜ実態は追いつかない?

制度として認める企業は6割を超えた一方、実際に副業をしている個人は10.7%にとどまります。社外から副業・兼業人材を「受け入れている」企業も53.7%(2022年比+5.1pt)と増えてはいますが、「制度はある/受け入れたい」という意向と、「実際に動いている」実態のあいだには、まだ距離があるようです。

IMPACT MAP
副業・兼業を認める制度がある企業60.7%
 
社外から副業・兼業人材を受け入れている企業53.7%
 
実際に副業をしている個人10.7%
 

このギャップは、企業側の「受け入れる体制」がまだ追いついていないサインかもしれません。制度をつくることと、実際に外部の人を迎えて成果につなげることのあいだには、いくつかの準備が要る、ということですよね。なお、受け入れ率は調査によって幅があり、パーソル総合研究所の調査では29.1%、エン・ジャパンの調査では24%という結果も出ています。数字そのものより、「広がりつつある流れ」として読むのがよさそうです。

受け入れて「成果が出た」会社は、何が違う?

同じJBRCの調査では、副業・兼業人材の受け入れが「事業にプラスだった」企業とそうでない企業を比べると、差がはっきり出たのは“受け入れ方”でした。具体的には、(1)業務内容・期待する成果を明確にしている(2)受け入れ時のルールを取り決めている(3)労働時間を管理しているの3点です。特別なことではなく、「最初に決めておく」ことの差、とも言えそうです。よくいただく疑問を、3つにまとめてみました。

FAQ
Q
副業・兼業人材って、どう探せばいいの?
A
専用のマッチングサービス、知人の紹介、出戻り(アルムナイ)など、入口は複数あります。大事なのは入口よりも、「何を・どこまで任せたいか」を先に言語化すること。曖昧なまま募集すると、お互いにミスマッチが起きやすくなります。
 
Q
正社員より、マネジメントが難しい?
A
限られた時間で動いてもらう分、最初の「業務範囲と期待成果のすり合わせ」が肝心になります。調査でも、成果が出た企業ほど業務内容・期待成果を明確にしている傾向でした。ルールと連絡手段を先に決めておくと、運用はぐっと楽になります。
 
Q
正社員採用と、どう使い分ける?
A
フルタイムでは採りにくい専門スキルを、部分的に補う選択肢として考えるとしっくりきます。まず「本当に正社員フルタイムが必要な要件か」をたな卸しすると、副業・兼業で足りる部分が見えてくることもあります。
 

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

副業・兼業人材を受け入れるとき、つい「条件と業務内容」の話に目が行きがちです。でも、相手の立場に立つと、その人もまた「どの会社の、どの仕事に、自分の限られた時間を使うか」を選んでいます。フルタイムでなくても、選ばれる・選ばれないは起きているんですよね。

ここはHRブランディングの考え方とつながっています。自社の何が魅力で、どんな人とどんな仕事ができるのか。求人広告の原稿を「副業・兼業で関わる人が読んでもワクワクするか」という視点で見直すだけでも、集まる人の質は少し変わってくるかもしれません。

わたしたちCoachersも、つい「正社員をどう採るか」に意識が向きがちです。でも、採用の選択肢を一つ増やすことは、採用課題そのものを少し軽くしてくれる気がしています。副業・兼業という入口も、その会社らしさが伝わってこそ、なのだと思います。

ACTIONS
「正社員フルタイム必須か」を1ポジション棚卸し
いま空いている1ポジションについて、本当にフルタイム正社員でないと回らないのか、部分的に補える業務はないかを書き出してみる。
 
任せたい業務と期待成果を一文で言語化
「誰に・何を・どこまで」を先に決める。曖昧なままだと、副業・兼業でも正社員でもミスマッチの元になりやすい。
 
受け入れルールを一度だけ整える
稼働時間・連絡手段・情報の扱いなど、最低限のルールを先に決めておくと、受け入れ後の負担がぐっと減る。

FREE DOWNLOAD
採用活動チェックシート
5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。

CONTACT
「正社員一本」だけにしない採用、一緒に設計してみませんか
求人広告・採用サイト・採用ブランディングまで。採用の選択肢を広げる入口づくりを、HRブランディングの視点でCoachersがお手伝いします。

お問い合わせフォームへ ›

REFERENCES



中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

CONTACT

採用に関するご相談・お問い合わせはこちら

採用ブランディング、クリエイティブ制作、求人運用、RPOなど、
採用に関するあらゆるご相談を承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。