2026夏ボーナス、増額は大企業44%・中小36%──額で競う前にできること
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2026夏ボーナス、増額は大企業44%・中小36%──額で競う前にできること

Branding, 2026.06.19 By 中村 尚人

今年の夏のボーナス、御社ではどんな着地になったでしょうか。ニュースでは「平均47.7万円」「8割超の企業が支給予定」といった数字が並びますが、採用の現場から眺めると、少し違う景色が見えてくる気がしています。

帝国データバンクの最新調査では、賞与を「増額」する企業は37.1%。一方で「変わらない」が37.2%、「減少」「支給なし」も合わせると2割を超えます。しかも増額予定は大企業44.4%に対し中小は36.0%と、「増やせる力」の差はむしろ広がっています。

賞与は、立派な”待遇のメッセージ”です。でも、額そのもので競い合えば、中小はどうしても不利になりますよね。だとしたら、わたしたちは賞与というニュースを、採用にどう活かせるでしょうか。今日は一緒に考えてみたいと思います。

2026年夏のボーナス、結局どう動いたのでしょう

結論から言うと、「全体として上がったが、上げられた企業は4割弱」というのが今年の輪郭です。帝国データバンクの調査(全国1,043社・2026年6月)では、賞与を「増額」する企業は37.1%で前年比+3.4ポイント。正社員1人あたりの平均支給額は47.7万円と、前年から1.8万円増えました。夏季賞与(夏のボーナス)とは、企業が夏に支給する一時金で、業績や物価、人材確保の状況を映す”待遇指標”のひとつです。その指標が、たしかに上向いています。

TREND
賞与を「増額」する企業
37.1%
▲ +3.4pt
前年比
正社員1人あたり平均支給額
47.7万円
▲ +1.8万円
前年(45.9万円)比

ただ、見出しの明るさにそのまま乗ると、判断を少し誤るかもしれません。内訳を見ると「変わらない」が37.2%、「減少する」が10.7%、「賞与はない」が11.0%。増やせたのは約4割弱で、過半数は据え置き・減少・支給なしです。増額の背景にも「業績が向上したので還元する」という前向きな声と、「業績は悪化したが、物価高のなかで人材確保とモチベーション維持のため上げざるを得ない」という”守り”の声が混在していました。賞与アップ=好調、と一括りにできない年だと言えそうです。

「賞与を増やせる力」に、規模の差はあるのでしょうか

ここが、採用担当として気になるところかもしれません。結論は「差は、むしろ広がっている」です。「増額する」と答えた割合を規模別に見ると、大企業44.4%に対して、中小企業は36.0%、小規模企業は31.4%。大企業と小規模企業の差は13.0ポイントで、前年から開きが拡大しました。

COMPARISON
大企業
44.4% (+6.0pt)
「増額する」割合は全体(37.1%)を7.3ポイント上回り、伸びも大きい。原資に余力があり、賞与で待遇を上乗せしやすい。
中小企業
36.0% (+3.0pt)
全体をわずかに下回り、伸び幅も大企業の半分。小規模企業は31.4%とさらに低く、大企業との差は13.0ポイントに。

注意したいのは、これは「中小の経営努力が足りない」という話ではない、ということです。調査では中小からも「社員の生活を守るために少し増やした」「人材流出を防ぐために増やしたいが、資材高騰でできない」という切実な声が出ています。賞与は、すでに採用・定着のための一手として使われ始めている。けれど、その土俵で額を競えば、原資の差がそのまま結果に出てしまう。ここに、中小の採用が抱えるジレンマがあるように感じます。

額で競いにくいなら、何で選ばれるのでしょう

ひとつの整理として、賞与を「額(高い/低い)」だけでなく、「伝え方・意味づけ(明確/不明確)」という二つ目の軸で見てみると、立ち位置が変わって見えてきます。同じ47万円でも、それが”ただの相場”として並んでいるのか、”会社の姿勢が伝わるメッセージ”になっているのかで、候補者の受け取りはずいぶん違うはずです。

MATRIX
額:高 × 伝え方:不明確
相場どまり
額は出せても「業界水準だから」で説明が止まり、印象に残らない。
額:低 × 伝え方:明確
中小の勝ち筋
額は劣っても「なぜこの還元なのか」が伝わり、納得感が生まれる。
額:低 × 伝え方:不明確
いちばん埋もれる
条件票に数字を載せるだけ。候補者の検討候補から静かに外れやすい。
額:高 × 伝え方:明確
大手の王道
額も意図も明快。多くの中小が真正面では競いにくいゾーン。

中小が現実的に狙えるのは、左下から右下、つまり「額は変えられなくても、伝え方を明確にする」方向かもしれません。たとえば「業績が苦しい年でも、なぜ賞与を据え置けたのか」「どんな評価で、誰に、何のために配分しているのか」。その背景を一文添えるだけで、同じ金額が”会社の考え方”として伝わります。賞与の額面は一年単位でしか動かせませんが、伝え方は明日からでも見直せます。

2026年夏のボーナスについて、よくある疑問

FAQ
Q
2026年の夏のボーナスは、増えているのでしょうか?
A
「増額する」企業は37.1%(前年比+3.4pt)、平均支給額は47.7万円でした。ただし「変わらない」37.2%・「減少」10.7%・「賞与なし」11.0%で、増やすのは4割弱。全体では8割超が何らかの賞与を支給予定です。
 
Q
大企業と中小で、差はあるのでしょうか?
A
「増額する」割合は大企業44.4%・中小36.0%・小規模31.4%。大企業と小規模の差は13.0ポイントで、前年より拡大しています。賞与の”額”だけで競うと、中小・小規模は不利になりやすい構図です。
 
Q
額で競いにくい中小は、採用で何ができそうですか?
A
額そのものより、「なぜ・どんな考えで賞与を出しているか」を言葉にすることかもしれません。調査でも増額理由に「人材確保・定着」「社員の生活を守るため」という声があり、その姿勢を求人原稿や採用サイトで伝えられるかが分かれ目になりそうです。
 

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回の数字を見て、わたしたちCoachersがいちばん引っかかったのは「増額理由」のほうでした。好業績の還元だけでなく、「人材確保のため」「社員の生活を守るため」上げざるを得ない、という声。つまり賞与は、もう”成果の配当”であると同時に”採用・定着のメッセージ”になりつつあるのだと思います。

だとすると、勝負どころは額の大小だけではないはずです。候補者が知りたいのは「いくらか」と同じくらい「この会社は、どういう考えで人に報いるのか」。同じ47万円でも、意図が伝わる賞与とそうでない賞与では、受け取られ方がまるで違います。これはHRブランディングそのものの問いだと感じています。

大げさな施策はいりません。たとえば求人原稿の待遇欄に、賞与の数字だけでなく「なぜこの配分なのか」を一文添えてみる。それだけで、同じ金額が”会社の考え方”として伝わり始めます。額の差を一気に埋めることはできなくても、伝え方の差は明日から縮められます。わたしたちも同じ立場で、まずそこから始めてみたいと思っています。

ACTIONS
求人原稿の「賞与」の一行を見直してみる
金額・回数だけになっていないか確認し、「どんな考えで配分しているか」を一文だけ添えてみる。
 
自社の”待遇のストーリー”を一度ことばにする
評価・昇給・賞与のつながりを、社内向けの言葉でいいので書き出して整理してみる。
 
面接で「お金の話」を逃げずに言語化しておく
候補者から待遇を聞かれたとき、額だけでなく考え方を一貫して説明できるよう、想定問答を用意する。

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Coachersは、求人広告・採用サイト・採用ブランディングを通じて、賞与や待遇を”会社の姿勢が伝わるメッセージ”に翻訳するお手伝いをしています。額では競いにくい——そう感じている方こそ、一度お話しできればうれしいです。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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