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2026年夏のボーナス、正社員平均47.7万円──中小の増額36%・大企業44%
今年の夏のボーナス、御社ではどんな着地になったでしょうか。ニュースでは「平均47.7万円」「8割超の企業が支給予定」といった数字が並びますが、採用の現場から眺めると、少し違う景色が見えてくる気がしています。
帝国データバンクの最新調査では、賞与を「増額」する企業は37.1%。一方で「変わらない」が37.2%、「減少」「支給なし」も合わせると2割を超えます。しかも増額予定は大企業44.4%に対し中小は36.0%と、「増やせる力」の差はむしろ広がっています。
賞与は、立派な”待遇のメッセージ”です。でも、額そのもので競い合えば、中小はどうしても不利になりますよね。だとしたら、わたしたちは賞与というニュースを、採用にどう活かせるでしょうか。今日は一緒に考えてみたいと思います。
2026年夏のボーナス、結局どう動いたのでしょう
結論から言うと、「全体として上がったが、上げられた企業は4割弱」というのが今年の輪郭です。帝国データバンクの調査(全国1,043社・2026年6月)では、賞与を「増額」する企業は37.1%で前年比+3.4ポイント。正社員1人あたりの平均支給額は47.7万円と、前年から1.8万円増えました。夏季賞与(夏のボーナス)とは、企業が夏に支給する一時金で、業績や物価、人材確保の状況を映す”待遇指標”のひとつです。その指標が、たしかに上向いています。
ただ、見出しの明るさにそのまま乗ると、判断を少し誤るかもしれません。内訳を見ると「変わらない」が37.2%、「減少する」が10.7%、「賞与はない」が11.0%。増やせたのは約4割弱で、過半数は据え置き・減少・支給なしです。増額の背景にも「業績が向上したので還元する」という前向きな声と、「業績は悪化したが、物価高のなかで人材確保とモチベーション維持のため上げざるを得ない」という”守り”の声が混在していました。賞与アップ=好調、と一括りにできない年だと言えそうです。
「賞与を増やせる力」に、規模の差はあるのでしょうか
ここが、採用担当として気になるところかもしれません。結論は「差は、むしろ広がっている」です。「増額する」と答えた割合を規模別に見ると、大企業44.4%に対して、中小企業は36.0%、小規模企業は31.4%。大企業と小規模企業の差は13.0ポイントで、前年から開きが拡大しました。
注意したいのは、これは「中小の経営努力が足りない」という話ではない、ということです。調査では中小からも「社員の生活を守るために少し増やした」「人材流出を防ぐために増やしたいが、資材高騰でできない」という切実な声が出ています。賞与は、すでに採用・定着のための一手として使われ始めている。けれど、その土俵で額を競えば、原資の差がそのまま結果に出てしまう。ここに、中小の採用が抱えるジレンマがあるように感じます。
中小企業の夏のボーナス、平均額はいくらなのでしょう
「中小企業の夏のボーナスの平均は、結局いくらなのか」——採用の現場でも、社内の賞与を決める場面でも、いちばん知りたいのはここだと思います。ところが調べはじめると、ひとつの数字にたどり着けずに戸惑うことが多いのではないでしょうか。
理由は、公表されている調査の多くが「規模別の平均支給額」ではなく「増額した企業の割合」を出しているためです。帝国データバンクが2026年6月に行った「2026年夏季賞与の動向アンケート」(有効回答1,043社)でも、公表されているのは全体の平均支給額と、規模別の「増加する」企業割合まで。中小企業だけを切り出した平均支給額は、この調査からは出てきません。
出典:帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月調査・有効回答1,043社)。平均支給額47.7万円は前年比1.8万円増。
では、規模別の実額はどこにも無いのかというと、そうでもありません。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」は夏季賞与の結果を事業所規模別に集計して公表しています。ただし公表は例年秋以降になるため、その年の夏の数字をその夏のうちに知ることはできません。「いま出ている数字」と「あとから確定する数字」は別物、と分けて見ておくと混乱しにくいと思います。
そして採用の実務に引き寄せて考えると、そもそも平均額を知っても打ち手にはつながりにくい、というのが正直なところです。候補者が求人票で見ているのは業界平均ではなく、御社が実際にいくら払い、どんな考え方で決めているのか。増額できた36.0%の側にいるなら、それは十分に伝える価値のある事実ですし、そうでないなら、賞与以外の何で報いているのかを言葉にしておきたいところです。
額で競いにくいなら、何で選ばれるのでしょう
ひとつの整理として、賞与を「額(高い/低い)」だけでなく、「伝え方・意味づけ(明確/不明確)」という二つ目の軸で見てみると、立ち位置が変わって見えてきます。同じ47万円でも、それが”ただの相場”として並んでいるのか、”会社の姿勢が伝わるメッセージ”になっているのかで、候補者の受け取りはずいぶん違うはずです。
中小が現実的に狙えるのは、左下から右下、つまり「額は変えられなくても、伝え方を明確にする」方向かもしれません。たとえば「業績が苦しい年でも、なぜ賞与を据え置けたのか」「どんな評価で、誰に、何のために配分しているのか」。その背景を一文添えるだけで、同じ金額が”会社の考え方”として伝わります。賞与の額面は一年単位でしか動かせませんが、伝え方は明日からでも見直せます。
2026年夏のボーナスについて、よくある疑問
今回の数字を見て、わたしたちCoachersがいちばん引っかかったのは「増額理由」のほうでした。好業績の還元だけでなく、「人材確保のため」「社員の生活を守るため」上げざるを得ない、という声。つまり賞与は、もう”成果の配当”であると同時に”採用・定着のメッセージ”になりつつあるのだと思います。
だとすると、勝負どころは額の大小だけではないはずです。候補者が知りたいのは「いくらか」と同じくらい「この会社は、どういう考えで人に報いるのか」。同じ47万円でも、意図が伝わる賞与とそうでない賞与では、受け取られ方がまるで違います。これはHRブランディングそのものの問いだと感じています。
大げさな施策はいりません。たとえば求人原稿の待遇欄に、賞与の数字だけでなく「なぜこの配分なのか」を一文添えてみる。それだけで、同じ金額が”会社の考え方”として伝わり始めます。額の差を一気に埋めることはできなくても、伝え方の差は明日から縮められます。わたしたちも同じ立場で、まずそこから始めてみたいと思っています。
- 帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月11日) https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260611-2026summerbonus/
- 経営プロ「【2026年夏季賞与】37.1%の企業が”夏ボーナス増額”予定。平均支給額は『47.7万円』」 https://www.hrpro.co.jp/keiei/articles/news/3778
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