内定辞退の最多理由は「志望度の差」49.8%──中途採用で防ぐ3ステップ
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内定辞退の最多理由は「志望度の差」49.8%──中途採用で防ぐ3ステップ

Branding, 2026.06.20 By 中村 尚人

手をかけて選考した候補者から、内定を出した直後に「申し訳ありません」と連絡が来る。あの瞬間の脱力感は、採用に関わる人ならきっと一度は味わったことがありますよね。

マイナビの調査では、内定辞退の理由として最も多かったのは「より志望度の高い企業から内定が出た」で49.8%。半数近くが、自社の問題というより「他社との相対比較」で離れていっていました。

だとすると、辞退を減らす鍵は「条件で勝つこと」だけではないのかもしれません。今日は内定辞退のデータをいったん整理して、中途採用でできることを一緒に考えてみたいと思います。

内定辞退の一番多い理由は何でしょう?

結論から言うと、最多の理由は「より志望度の高い企業から内定が出た」で49.8%でした(マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」)。内定辞退とは、内定を出した相手から入社を断られることですが、その約半数は給与や制度の不満というより、他社と並べたときの相対的な志望度で決まっている、という構図が見えてきます。

KEY METRIC
49.8%
最多の辞退理由
「より志望度の高い企業から内定が出た」
次いで希望職種17.7%、希望勤務地15.1%、企業業種12.1%、給与条件11.4%、福利厚生など制度9.6%と続きます。条件面(給与・福利厚生)の合計より、「他社のほうが第一志望だった」という相対比較のほうが大きい、というのが特徴です。
※マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」より。新卒採用での結果です。

この数字は新卒採用の調査ですが、「最後は複数社の比較で決まる」という構造は中途採用でも大きくは変わらない気がしています。条件をそろえても、候補者の中で自社が「いちばん行きたい会社」になっていなければ、内定は他社に流れてしまう。だからこそ、選考のプロセスそのものが志望度を左右している、と考えてみると打ち手が見えてきます。

中途採用で辞退を防ぐ3ステップ

では、具体的に何ができるでしょうか。辞退理由が「相対的な志望度」と「情報のズレ」に集約されることをふまえると、打ち手は選考スピード・実態の開示・内定後の接点の3つに整理できそうです。順に見ていきます。

STAGE FLOW
STAGE 1選考スピードを上げる
辞退理由1位が「他社から先に内定」である以上、合否連絡の速さは志望度づくりそのものです。面接後の連絡を翌営業日までに、面接間隔は中1〜2週間に詰めるなど、社内の意思決定フローを先に決めておくと迷いが減ります。
 
STAGE 2選考中から「実態」を開示する
良いところだけ見せると、内定後に他社と比べられた瞬間に魅力が薄れます。仕事のやりがいだけでなく、忙しい時期・配属の可能性・任される範囲まで具体的に。採用サイトや求人原稿で先に伝えておくと、面接の時間を「相互理解」に使えます。
 
STAGE 3内定後を「放置しない」
内定から入社までの空白期間に、候補者の気持ちは揺れます。新卒の調査では内定者懇親会59.6%、社員との座談会23.8%が効果ありとされました。中途でも現場メンバーとの面談や入社後イメージの共有など、軽い接点を1つ用意できると安心につながります。

なお、内定辞退率そのものは新卒と中途で温度差があります。中途採用の内定辞退率は2024年で9.3%(マイナビの分析)と、新卒に比べれば低め。一方で新卒では辞退率「5割以上」の企業が41.5%と、2019年卒(21.1%)の約2倍に増えています。中途は「数の問題」というより、1人の採用にかけたコストが大きいぶん、1件の辞退が痛い、という性質の違いがありそうです。

内定辞退についてよくある疑問

FAQ
Q
中途採用の内定辞退率はどのくらいですか?
A
マイナビの分析では中途採用の内定辞退率は2024年で9.3%(2023年9.0%、2022年7.9%)と微増傾向です。新卒に比べれば低い水準ですが、1人あたりの採用コストが大きいぶん、1件の重みは大きいと言えそうです。
 
Q
辞退を防ぐのに効果があった施策は?
A
新卒採用活動調査では内定者懇親会59.6%、社員との座談会23.8%、社内見学21.4%、定期的なメール連絡19.8%などが「効果があった」と挙がりました。共通点は接点とコミュニケーションの量。中途でも応用できる発想だと思います。
 
Q
条件を上げないと、やっぱり辞退は防げませんか?
A
給与条件を理由に挙げた割合は11.4%で、最多理由の「相対的な志望度」49.8%とは差があります。条件が無関係とは言えませんが、志望度をつくる体験(速さ・誠実な情報開示・接点)のほうが先に効く余地は大きいかもしれません。
 

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

「より志望度の高い企業から内定が出た」が辞退理由の半数を占める、という事実は、わたしたちに少し勇気をくれる気もします。負けた理由が「条件」ではなく「気持ちの順位」なら、選考の過程でまだ動かせる余地があるということだからです。

志望度は、待遇の数字だけで決まるものではありません。「この会社は自分のことをちゃんと見てくれた」「入社後の景色が具体的に想像できた」——そうした体験の積み重ねが、最後のひと押しになります。これはまさにHRブランディング、つまり「自社をどう感じてもらうか」の領域だと感じています。求人原稿や採用サイトの情報設計という視点で見ると、実態を先に、誠実に伝えておくことが、内定後の比較に強い候補者体験をつくっていくのかもしれません。

とはいえ、忙しい現場で連絡の速さも情報開示も完璧に、というのは簡単ではありませんよね。わたしたちCoachersも日々同じ悩みと向き合っています。まずは「辞退された候補者が、最後に何と比べていたか」を一件だけ振り返るところから、一緒に始めてみませんか。

ACTIONS
合否連絡の「締め切り」を決める
面接後いつまでに連絡するかを社内ルール化してみる。1日でも早い一報が、相対的な志望度を押し上げます。
 
「言いにくいこと」を1つ先に伝える
残業の波・繁忙期・任せる範囲など、あえて実態を共有してみる。後から知るより、辞退も入社後ギャップも減らせます。
 
内定後の接点を1つ用意する
現場メンバーとのカジュアル面談など、入社までの「揺れる期間」に軽い接点を。放置しないだけで印象は変わります。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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