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異業種からの中途採用、ミドルの8割が越境に前向き──門前払いを防ぐ視点
「経験者歓迎」「同業界での実務経験3年以上」。求人票に、こう書いている会社は多いかもしれません。わたしたちCoachersも、つい“すぐ動ける人”を思い描いてしまいます。
でも、その一行が、思っているより多くの応募者を入口で見送らせているとしたら——。エン・ジャパンの調査では、ミドル世代の8割が異業種への転職(越境転職)に「興味がある」と答えています。
今日は異業種からの中途採用という選択肢を、母集団の広げ方と求人の見せ方の両面から、採用担当の目線で一緒に考えてみたいと思います。
異業種からの中途採用は、母集団を広げる一手になりますか?
結論から言うと、可能性は十分にありそうです。エン・ジャパンが35歳以上の「ミドルの転職」利用者1,242名に行った調査では、80%が異業種への転職(越境転職)に「興味がある」と回答しました。越境転職とは、いま在籍している企業の業種とは異なる業種へ移ることを指します(本調査での定義)。「異業種=若手のポテンシャル採用」というイメージが先に立ちがちですが、実はミドル層にも厚い母集団が眠っている、というのが今回の気づきです。
興味を持つ理由の上位は「成長業界・給与相場が高い業界で働きたい」(41%)、「キャリアの幅を広げたい」(38%)でした。越境先として人気の業種は「メーカー」(22%)、「インフラ・教育・官公庁」(20%)。なかでも公共性の高い後者は、年代が上がるほど関心が高まる傾向だったそうです。つまり、待遇や安定だけでなく「もう一段、活躍の場を広げたい」という前向きな動機が背景にある、と読めそうです。
異業種から来た人は、戦力になりにくい?
「育てる手間がかかる」という不安は、正直わたしたちも感じます。ただ、同じ調査で越境転職の経験者は56%。そして経験者が「良かった」と感じたことの上位は「仕事の幅が広がった」(61%)、「知識やスキルを磨けた」(55%)でした。前職の折衝・調整・現場運営といった経験は、業種の壁を越えて活きている、という声が目立ちます。
実際に越境した人たちの言葉は、想像以上に具体的です。職種をまたいで経験を重ねたことが、その後の対応力につながったという声が多く寄せられていました。
8割が前向きなのに、なぜ応募に至らないのでしょう?
鍵は、応募の手前にある「ためらい」かもしれません。越境転職への懸念で最も多かったのは「選考が通るか」(68%)。意欲はあっても、「未経験だと書類で落とされるのでは」という不安が、最初の一歩を止めている——そんな人物像が浮かびます。
ここで効いてくるのが、求人の見せ方です。「未経験歓迎」とだけ書くより、「こういう経験が、この仕事のここで活きます」と翻訳して示すこと。Bさんのような人にとっては、その一文が「自分でも通るかも」という確信に変わります。母集団は“探す”だけでなく、入口の言葉で“呼び込める”部分もありそうです。
異業種からの中途採用は、「間口を広げる話」であると同時に、「自社の魅力をどう翻訳するか」という話でもある気がしています。経験者要件を厳しくするほど母集団は狭まりますが、要件をただ外せばいい、という単純な話でもありません。大切なのは、「うちの仕事は、どんな経験の人が、どう活きるのか」を言葉にできているか、なのだと思います。
求人原稿の「応募資格」を一行見直すだけでも、越境人材の「選考が通るか」という不安は和らぐかもしれません。「3年以上の同業経験」を「こういう場面で力を発揮してきた方」と書き換えると、届く相手が変わります。これは小手先のテクニックではなく、自社が誰にどんな価値を返せるかを定義する、HRブランディングの入口だと感じています。
わたしたちCoachersも、つい“すぐ動ける人”を探してしまう一人です。だからこそ、要件を狭めすぎていないか、入口の言葉で誰かを見送っていないか——採用担当どうし、ときどき立ち止まって確かめ合えたら、と思っています。
- エン株式会社(エン・ジャパン)「ミドル世代の『異業種転職(越境転職)』調査ー『ミドルの転職』ユーザーアンケートー」(2026年4月23日/回答者1,242名) https://corp.en-japan.com/newsrelease/2026/45160.html
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