採用動画は「比較で61%が視聴」──選ばれる動画は何が違うか
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採用動画は「比較で61%が視聴」──選ばれる動画は何が違うか

Branding, 2026.06.24 By 中村 尚人

求人を出して、応募が来て、面接をして——。その一連の流れのなかで、候補者が「応募する前に」何を見て会社を比べているか、考えてみたことはありますか。

ある調査では、候補者が採用動画を最も見るのは「比較検討段階」で、回答者の61.0%にのぼりました。さらに、条件が同じ企業を比べる場面では87.7%が「動画の有無や質が最終判断に影響する」と答えています。動画は応募を増やす入口というより、最後に”選ばれる”かどうかの分岐点で効いているのかもしれません。

とはいえ「では明日から動画を」と言われても、忙しい採用担当の手元では簡単な話ではありませんよね。今日は、この調査データを手がかりに、わたしたちCoachersも一緒に「比較で選ばれる採用動画」の考え方を整理してみたいと思います。

候補者が採用動画を最も見るのは「比較検討段階」で61.0%。応募が来る前の段階で、すでに他社と見比べられている。
条件が同じなら87.7%が「動画の有無・質」で最終判断が変わると回答(moovy調査2026・20〜40代333名)。
分かれ目は本数より中身。仕事のやりがい・1日の流れ・職場の雰囲気を具体的に見せられるかで、志望度が動く(視聴で志望度UP78.1%)。

「動画がない」だけで、比較で不利になる?

採用動画とは、仕事内容や職場の雰囲気、働く人の様子を映像で伝える採用コンテンツのことです。採用動画制作会社のmoovy社が2026年5月に行った調査(直近1年で就職・転職活動をし、採用動画を視聴した20〜40代の333名が対象)で目を引くのは、候補者が動画を見る「タイミング」でした。最も多かったのは「比較検討段階」で、61.0%にのぼっています。

KEY METRIC
61%
比較検討で視聴
採用動画が最も見られるのは「比較検討段階」(61.0%)
情報収集(34.2%)や応募検討(36.9%)よりも、他社と並べて見比べる局面で再生されていました。応募が来る前の段階で、すでに比較は始まっています。
※採用動画制作会社による調査(20〜40代333名)。傾向の目安として読んでいます。

他社と並べて見比べられる、という前提に立つと、動画がないこと自体がハンデになり得ます。同じ調査で「採用動画がなくても特に気にならない」と答えた人は、わずか4.8%でした(裏を返せば、約95%は動画がないと何かしら物足りなさを感じている計算です)。さらに、給与や仕事内容などの条件が同じ企業を比べる場面では、87.7%が「採用動画の有無や質が最終判断に影響する」と回答しています(「大きく影響する」29.1%+「やや影響する」58.6%)。条件で横並びになったとき、最後のひと押しを動画が担っている、という見方ができそうです。

候補者は動画の「どこ」を見ている?

では、候補者は採用動画に何を求めているのでしょうか。同じ調査で「動画で見たい内容」を聞くと、上位にはきれいな映像表現よりも”働く実感”に関わる項目が並びました。きらびやかなブランド映像より、「ここで働く自分」が想像できる中身が求められている、と読めます。

IMPACT MAP
仕事紹介・やりがい28.2%
1日の流れ27.6%
職場の雰囲気27.0%
求める人物像27.0%
オフィスツアー26.1%

見たい内容がはっきりしている一方で、適切な長さは段階によって変わります。よく知らない企業の動画は「30秒以上〜1分未満」(43.8%)が最多、すでに志望度が高い企業では「1分以上」(42.0%)も視聴されていました。最初の比較ではまず短く要点を、関心が高まった相手には長めにじっくり——見られ方に合わせて出し分けるのが現実的です。

“ある”だけでは足りない。質が分ける時代へ

ここで少し立ち止まりたいのが、「とりあえず1本あればいい」では済まなくなっている、という点です。同じ調査で、動画を見て志望度が「上がった」人は78.1%いた一方、「下がった」人も5.1%いました。中身次第では、せっかくの動画が逆効果になることもある、ということですよね。せっかく作るなら、何を伝えたいかを設計したうえで臨みたいところです。

COMPARISON
なんとなくの1本
きれいだけど刺さらない
社屋やイメージ映像が中心で、誰の・どんな1日かが見えない。BGMと雰囲気は良いが、「働く自分」が想像できず印象に残らない。
設計された1本
実感が伝わり、比較で残る
仕事のやりがい・1日の流れ・求める人物像を具体的に。誰に何を持ち帰ってほしいかが決まっていて、見終わったあとに会社像が立ち上がる。

大がかりな撮影が必要、という話ではありません。スマートフォンで撮った社員の1日や、現場社員の短いインタビューでも、「実感」が伝われば十分に役割を果たします。大切なのは、「誰に・何を持ち帰ってほしいか」を決めてから撮ること。そこさえ揃えば、長さも形式もあとからついてくる気がしています。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

数ある数字のなかでわたしたちが一番うなずいたのは、「比較検討段階で動画が見られている」という点でした。応募を増やすもっと手前の”見比べ”の段階で、すでに選別は始まっている。ここは出典がどこかに関わらず、日々の採用の実感に近い話だと感じています。

ここで大事なのは、動画を単体の施策として捉えないことだと思っています。候補者が見たいのは「仕事のやりがい」「1日の流れ」「職場の雰囲気」——これは採用サイトや求人原稿で伝えたいことと、本来は同じはずです。HRブランディングの視点で言えば、動画・サイト・原稿が同じ”らしさ”でつながっているかどうかが、比較で残るかの分かれ目になります。映像の派手さより、情報設計の一貫性、ですね。

わたしたちCoachersも、何を伝えるかが曖昧なまま見栄えだけ整えてしまった経験があります。だからこそ、まずは「自社の一番の魅力は何か」を言葉にしてから、それを映像でも文章でも一貫して見せる。地味ですが、ここが一番効く打ち手かもしれない、と一緒に考えています。

採用動画について、よくある疑問

FAQ
Q
採用動画は本当に必要なのでしょうか?
A
moovy社の調査では、採用動画が最も見られるのは「比較検討段階」(61.0%)で、条件が同じ企業同士なら87.7%が「動画の有無や質が最終判断に影響する」と回答しています。「動画がなくても気にならない」と答えた人は4.8%のみ。応募の前にすでに見比べられている、と考えて準備しておくと安心です。
Q
どんな内容を入れればいいですか?
A
候補者が見たいのは、仕事紹介・やりがい(28.2%)、1日の流れ(27.6%)、職場の雰囲気・求める人物像(各27.0%)など。きれいな映像より”働く実感”が求められています。誰の・どんな1日かが見える具体性を優先しましょう。
Q
動画の長さはどれくらいが適切?
A
よく知らない企業の動画は「30秒以上〜1分未満」(43.8%)が最多、すでに志望度が高い企業では「1分以上」(42.0%)も視聴されています。認知段階は短く、検討段階は長めと、段階で出し分けるのが現実的です。

ACTIONS
自社を”動画がない側”として見てみる
競合と並べたとき、候補者の手元に動画があるのは自社か他社か。比較検討段階で見比べられる前提で、いまの情報量を点検してみませんか。
「見たい内容」から逆算して1本決める
やりがい・1日の流れ・職場の雰囲気・求める人物像。まずどれを伝える1本にするかを決めると、撮るべき素材が見えてきます。
動画・サイト・原稿の”らしさ”を揃える
三つで言っていることがバラバラだと、比較で印象が残りません。同じ魅力を、媒体をまたいで一貫して見せられているか確認しましょう。

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