中途採用で候補者が選ぶ決め手は”長く働ける環境”──調査に学ぶ訴求の見直し
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中途採用で候補者が選ぶ決め手は”長く働ける環境”──調査に学ぶ訴求の見直し

Branding, 2026.06.27 By 中村 尚人

「うちの求人、ちゃんと魅力は伝えているはずなのに、なぜか刺さらない」——そんなもやもやを感じたこと、ありませんか。わたしたちCoachersも、求人原稿や採用サイトをつくるなかで何度も立ち止まってきた問いです。

電通が2025年12月に転職経験者2,000人へ実施した調査では、会社選びの決め手は「成長性」や「専門性」よりも、ワークライフバランス(26.2%)長く働ける安定(24.5%)が上位でした。一方で、転職を考え始めるきっかけは「上司への不満」27.1%が突出しています。

候補者が本当に見ているのはどこなのか。数字の裏側を一緒に読みながら、求人や採用サイトで「何を訴求するか」を考え直してみたいと思います。

電通調査(転職経験者2,000人)では、会社選びの決め手は成長性・専門性より「ワークライフバランス」26.2%・「長く働ける安定」24.5%が上位だった。
転職を考え始めたきっかけは「上司への不満」27.1%が突出し、同僚(13.0%)やその他の人間関係(14.3%)を大きく上回る。意思決定や評価を担う上司の存在が大きい。
候補者は「無理なく長く働けるか」「上司やチームと合いそうか」を見ている。求人や採用サイトで”働き方と人の実像”を見せられるかが、選ばれる分かれ目になる。

転職を考え始めた人は、まず誰に相談しているか

電通調査で興味深かったのは、転職を意識し始めた段階では、企業サイトやSNS、ビジネス情報サイトよりも「家族に相談」「友人・知人に相談」(ともに2割超)が先に来る、という点でした。本格的に動き出すと転職サイト・エージェントの利用が半数を超えますが、その手前には”まだ誰にも検索されていない時間”があるわけです。

PERSONA
M
Mさん(34歳・職種は問わず・転職”潜在”層)
まだ求人は見ていないが、心は少し動いている
辞めると決めたわけではない。ただ、最近うまくいかないことが続いて「このままでいいのかな」と感じている。まず話したのは家族と気の合う友人。会社名で検索するのはもっと先。だからこそ、ふだん目にする評判や、知人が語る”その会社のリアル”が、最初の印象を静かに形づくっていく。

この”潜在層”に、求人広告だけで届くのは難しいかもしれません。けれど、日頃の採用広報や社員が語れる発信、口コミとして残る情報があれば、いざ動き出したときに「あの会社、ちょっと気になっていた」と思い出してもらえます。採用は、応募ボタンを押す前から始まっている——そう捉え直すと、打ち手の幅が変わってきます。

候補者は「効率」と「納得」のはざまで揺れている。早く決めたい、でも本当に合うのかは確かめたい。
— 電通「キャリア 転職者まるわかり調査2026」の知見より

会社選びの決め手は「成長」より「無理なく長く働ける」

採用する側はつい「成長機会」や「やりがい」「専門性が活かせる」を前面に出しがちです。もちろん大切ですが、転職経験者が実際に「ここに決めてよかった」と挙げた理由は、少し違う場所にありました。

MYTH vs FACT
MYTH
候補者は「成長できるか」「専門性を活かせるか」で会社を選んでいる。
FACT
電通調査で上位に来たのは「ワークライフバランスを重視した働き方ができた」26.2%「長く働ける安定した環境だと感じた」24.5%。成長性や専門性より、”無理なく続けられること”が決め手になっていた。
 

ただし、これは「成長や収入はどうでもいい」という話ではありません。同じ調査で、転職を考え始めるきっかけとしては「収入増」も依然として上位に挙がっています。入口(動く理由)では収入、出口(決める理由)では働き方の持続性——この二段構えを押さえておくと、求人で何を語り、面談で何を補うかが整理しやすくなる気がします。なお本調査は採用ブランディング支援を行うチームによるものなので、その点は少し含んで読みつつ、データそのものは素直に受け取りたいところです。

転職のきっかけは「上司」──27.1%が突出

もうひとつ目を引いたのが、転職を考え始めた理由としての人間関係の内訳です。同じ「人間関係」でも、その中身は上司に大きく偏っていました。

IMPACT MAP
上司への不満27.1%
 
上司・同僚以外の人間関係への不満14.3%
 
同僚への不満13.0%
 

人が辞める理由が「上司」に偏るということは、裏を返せば、候補者は次の職場でも「上司やチームと、うまくやれそうか」を強く気にしている、ということでもあります。条件や事業の魅力をどれだけ並べても、「働く人の雰囲気」が見えないと、最後のひと押しが届かない。求人や採用サイトで現場のマネージャーやチームの空気を見せることが、思っている以上に効くのかもしれません。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回の数字を並べてみて感じるのは、候補者が見ているのは「会社のスペック」よりも「働く自分の日常」だということです。長く無理なく働けそうか、上司やチームと合いそうか。どれも、求人票のスペック欄には書ききれない情報ばかりです。

わたしたちが大切にしているHRブランディングの視点で言えば、ここは伸びしろの大きい領域です。たとえば求人原稿で「一日の流れ」や「チームの人数構成」を一言添える、採用サイトに現場マネージャーの言葉を載せる——それだけで、候補者が思い描く”入社後の景色”の解像度は上がります。しかも、いまは候補者の多くが生成AIやネット検索で企業研究をする時代です。”働く人の実像”を言葉として公開しておくことは、人にもAIにも見つけてもらううえで効いてきます。条件で競うより、”働く人の実像”を見せるほうが、いまの候補者には響きやすいのだと感じています。

とはいえ、自社の”ふつうの日常”を言葉にするのは、内側にいると意外と難しいものです。わたしたちCoachers自身も同じで、だからこそ第三者の目を借りながら「外から見た自社の魅力」を掘り起こす作業を大切にしています。まずは一枚の求人原稿から、見直してみませんか。

ACTIONS
求人に「働き方の持続性」を一文足す
残業の実態、休みの取りやすさ、一日の流れなど、「無理なく長く働けるか」が伝わる具体を一文でも書き加えてみる。成長・年収だけに寄せない。
 
「上司・チームの顔」が見える情報を出す
採用サイトや面談で、現場マネージャーの言葉やチーム構成を見せる。候補者の「人と合うか」という最大の不安に、先回りで応える。
 
「応募前」に届く発信を一つ持つ
まだ求人を見ていない潜在層に向けて、社員の声やふだんの様子を発信する場を一つつくる。動き出したときに思い出してもらえる土台になります。

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「働く人の実像」を、求人や採用サイトでどう見せるか迷ったら
CoachersはHRブランディングの視点で、求人広告・採用サイト・採用ブランディングを通じて「候補者に伝わる魅せ方」をご一緒しています。自社の”ふつうの魅力”の言語化から、気軽にご相談ください。

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REFERENCES
  • 電通「『キャリア 転職者まるわかり調査』を初実施 『効率』と『納得』のはざまで揺れる転職者インサイトが明らかに」(調査期間2025年12月3〜5日/全国22〜54歳・直近3年以内の転職経験者2,000人) https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0325-011017.html



中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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