転職者の51%が「企業のAI環境」で選ぶ時代──AIで選ばれる採用の見せ方
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転職者の51%が「企業のAI環境」で選ぶ時代──AIで選ばれる採用の見せ方

Branding, 2026.07.04 By 中村 尚人

 

「AIを使いこなせる人を採りたい」——そんな声が増えています。でも先日ある調査を見て、少し意外に感じました。実は候補者の側も、”この会社はAIを使える環境か”で転職先を見定め始めているようなのです。

直近1年以内に転職した人の51.37%が、転職先選びで企業のAI活用状況を気にした、という結果でした(株式会社ゼロアクセル、2026年6月公表・n=175)。評価する側とされる側が、いつのまにか少し逆転しているのかもしれません。

数字を追いかけて煽るつもりはありません。ただ”選ぶ・選ばれる”の関係が変わりつつある今、わたしたち採用する側は何を見せればいいのか。一緒に考えてみたいと思います。

直近1年以内に転職した人の51.37%が、転職先選びで「企業のAI活用状況」を気にしていた(ゼロアクセル調査・2026年6月公表・n=175)。
転職者の61.15%が転職活動そのものでAIを活用し、面接練習58.88%・企業リサーチ50.47%・書類作成48.6%と、応募準備の質が底上げされている。
候補者に選ばれるには、求人・採用サイトで自社のAI活用や働き方を”具体的に見せる”ことが、次の一手になりうる。

「AIを使える会社か」を、半数が見ている

結論から言うと、転職先選びで企業のAI活用状況を気にした人は51.37%——ほぼ半数でした。「積極的に気にした」22.6%と「少し気にした」28.77%の合計です。裏を返せば残りの約半数は気にしておらず、まだ全員の関心事とは言えません。ただ、”働く環境としてAIが使えるか”が、報酬や働き方と並ぶ判断材料になりつつあるのは確かなようです。

KEY METRIC
51.4%
企業のAI環境を気にした
転職先選びで「AIを使える職場か」を見た人の割合
直近1年以内に転職した175人への調査。積極的に気にした22.6%+少し気にした28.77%の合計で、約半数が”環境としてのAI”を転職先の判断材料にしていました。

これまで「AI×採用」というと、企業が候補者のAIスキルを評価するという文脈で語られがちでした。実際、同じ調査では選考でAIスキルを「求められた」と感じた人が62.94%にのぼります。けれど今回おもしろいのは、その矢印が候補者→企業にも向き始めていること。”評価される側”だと思っていた候補者が、静かにこちらを評価している、という構図です。

候補者はもう、AIで”準備”を整えて面接に来る

なぜ候補者が企業のAI環境を気にするのか。その背景には、転職活動そのものにAIが溶け込んでいる現実があります。転職者の61.15%がAIを活用し、その使いどころは応募準備の中心にまで及んでいます。面接の受け答え練習、企業リサーチ、書類作成——かつては属人的だった”準備の質”が、AIで底上げされているのです。

IMPACT MAP
面接の受け答え練習58.88%
企業リサーチ50.47%
履歴書・職務経歴書の作成48.6%
※AI活用者107人ベース。株式会社ゼロアクセル調査(2026年6月公表)。

ここで大事なのは、”だから候補者を疑おう”ではないと感じています。書類や面接回答がAIで磨かれている前提に立つと、選考で見るべきは「AIで整えられない部分」——その人の経験の具体、判断のクセ、再現性——に自然と絞られていきます。同時に、企業リサーチの半数がAI経由なら、自社の情報がAIに正しく拾われる状態かも無視できません。候補者が生成AIで「この会社、AI使ってるのかな」と調べたとき、答えが見つからなければ、それ自体が”見えない減点”になりかねないからです。

採用担当者からよくある3つの疑問

FAQ
Q
転職者は実際どのくらいAIを使っているの?
A
直近1年以内に転職した人の61.15%が転職活動でAIを活用していました(ゼロアクセル調査)。用途は面接練習58.88%・企業リサーチ50.47%・書類作成48.6%が中心です。応募準備は”AI前提”で進むと考えておくとよさそうです。
Q
「企業のAI環境」は本当に転職先選びに影響する?
A
同調査で51.37%が転職先選びで企業のAI活用状況を気にしたと回答しています。約半数は気にしていないため過信は禁物ですが、”AIを使える職場か”が判断材料の一つになりつつあるのは確かなようです。
Q
採用担当は何から始めればいい?
A
まずは求人票や採用サイトで、自社が日常でAIをどう使っているかを一文でも具体的に見せることかもしれません。誇張は不要で、いま使えているもの・これからのものを等身大で書くだけでも、企業研究する候補者には届きます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回の数字で一番おもしろいと感じたのは、”評価する・される”の矢印が双方向になったことです。企業が候補者のAIスキルを見るのと同じくらい、候補者も企業のAI環境を見ている。片方向のジャッジではなく、お互いに見せ合う関係に近づいているのかもしれません。

ここで効いてくるのがHRブランディングの発想です。AIを大々的に導入していなくても、「日々の業務でこう使っている」「これから整えていく」という等身大の姿を、求人原稿や採用サイトの情報設計として言語化しておく。派手さより、候補者がAIで調べたときに”ちゃんと出てくる・腹落ちする”ことのほうが、いまは信頼につながる気がしています。

ただし、n=175の一調査です。断定はできませんし、業種や職種で温度差もあるはずです。わたしたちCoachersも、数字に振り回されず「自社は何を正直に見せられるか」から一緒に考えていきたいと思っています。

ACTIONS
求人・採用サイトに「AIの使い方」を一文添える
どんなツールを日常業務で使っているか、具体名や場面を書くだけで、企業研究する候補者の判断材料になります。
候補者のAI利用を前提に選考を見直す
書類や面接回答がAIで磨かれている前提で、”その人らしさ”や経験の再現性が見える問いを用意してみませんか。
自社のAI環境を等身大で棚卸しする
誇張せず、いま使えているもの・これから整えるものを正直に。等身大の姿こそ、AIで裏取りする候補者に届きます。

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REFERENCES
  • HRプロ「中途採用も”AI前提”の時代へ。転職者の6割超がAI活用、企業のAI環境も選択基準に」 https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3790(株式会社ゼロアクセル調査/2026年5月27日〜6月9日/n=175/2026年6月12日公表)


 

中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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