ブログ
採用オウンドメディア、運用企業の4割が「何を発信するか」で迷う──選ばれる始め方
「採用サイトはあるのに、なぜか他社と同じに見えてしまう」——そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。実は、採用オウンドメディアを始めた企業がまずつまずくのは、デザインでもネタ切れでもなく、もっと手前の「何を発信すればいいのか」という一点でした。
採用に関わる人事・経営者640人に聞いた調査(TalentXが2024年に実施)では、運用企業の40.7%が「何を発信していいかわからない」と答えています。少し前の調査ですが、この“発信の迷子”は、いまも多くの現場で耳にする悩みです。
では、何から書けばいいのでしょうか。今日は「選ばれる発信」の入口を、わたしたちCoachersも同じ採用の当事者として、一緒に整理してみたいと思います。
つまずくのは「ネタ」ではなく「誰に何を」だった
採用オウンドメディアとは、自社で運営し、社員インタビューや仕事の実態など“求人票に載らない情報”を継続的に発信する採用メディアのことです。募集要項が中心の採用サイトに対して、働く姿や価値観を伝え、「この会社で働くイメージ」を持ってもらう役割が中心にあります。
TalentXが採用に関わる人事・経営者640人に聞いた調査(2024年実施)では、すでに57.9%が運用中で、検討中の25.1%を合わせると8割を超えます。少し前の数字なので、生成AIで発信のハードルが下がったいまは、この割合はさらに上がっていそうです。“やっている会社”はもう珍しくありません。ではみんな順調かというと、そうでもないようです。運用企業が挙げた課題の上位は、次の3つでした。
並べてみると、上位はどれも「操作」や「制作」の話ではなく、“誰に、何を伝えるか”という設計の悩みだと分かります。この設計のつまずきは、ツールがどれだけ進化しても残る、時期を問わず普遍的な部分かもしれません。同じ調査で運用の目的を聞くと、「自社の認知度向上(59.5%)」「競合との差別化(51.4%)」「エントリー数の増加(48.3%)」が上位でした。目的ははっきりしているのに、その入口の「何を書くか」でつまずいている——ここに、選ばれる発信のヒントがありそうです。
「何を発信するか」を決める4ステップ
「何を書けばいいかわからない」の正体は、たいてい“対象が広すぎる”ことにあります。全員に向けて書こうとすると、当たり障りのない一般論になってしまう。だからこそ、順番は「誰に」から始めるのがおすすめです。無理のない4ステップにしてみました。
4つ並べると大がかりに見えるかもしれませんが、要は「誰に→何を→正直に→少しずつ」の順番です。特別な制作チームがなくても、STAGE 1と2を紙1枚で書き出すだけで、「何を発信するか」の霧はだいぶ晴れてきます。
採用オウンドメディア、よくある3つの疑問
同じ調査では、運用企業の約94%が「もっと早く始めればよかった」と答えています。採用オウンドメディアの支援を手がけるTalentXの調査なので、その分は少し割り引いて読む必要はありますが、現場で聞く実感とも大きくはズレていない気がしています。ただ、この数字が示すのは「早く始めた者勝ち」というより、発信を続けた会社が候補者の記憶に残っていく、という順序なのかもしれません。
HRブランディングの観点で見ると、発信の目的は“うまく見せる”ことではなく、“正しく伝わる”ことです。候補者が生成AIや口コミで裏取りする時代には、盛った情報はむしろ信頼を削ってしまう。求人原稿の一行を、「誰に向けた言葉か」まで具体にするだけでも、伝わり方は変わってくると感じています。
発信は、特別なネタがある会社だけのものではありません。日々の仕事や、一緒に働く人の話こそ、他社が真似できない一次情報です。わたしたちCoachersも、自分たちの言葉で語ることの難しさと大切さを、日々感じながら手を動かしています。
- 株式会社TalentX「採用オウンドメディアに関する実態調査」(2024年1月実施・従業員30人以上/有効回答640名) https://mytalent.jp/lab/resource_339/
- HRプロ「<採用オウンドメディア実態調査>94%の企業が『採用オウンドメディアは早くからやっておくべきだった』」 https://www.hrpro.co.jp/press_detail.php?ccd=00813&press_no=32