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AI活用スキル、同じ「週4日以上」でも成果は3.3〜3.6倍差──中途採用で見る5つの力
「生成AIを週4日以上使っている人」を採れば、社内のAI活用は進む。……そう考えたくなるのですが、どうやらそこが最初のつまずきポイントらしい、というデータが出ました。
パーソル総合研究所が2026年7月22日に公表した調査によると、正規雇用者の生成AI業務利用率は54.3%(2026年5月時点)。半年で12.4pt増えました。ただ、目を引いたのはその先です。同じ「週4日以上使うヘビーユーザー」の中でも、成果に3.3〜3.6倍の差がついていました。
分けていたのは、使用頻度ではありませんでした。だとすると、求人票の「生成AI活用経験」という一行は、何を絞れていて、何を絞れていないのか。今日はそこを一緒に整理してみたいと思います。
出典:パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」(2026年4月22日〜5月7日実施/本調査:正規雇用者 n=3,300)
生成AIを仕事で使う人は、どれくらい増えたのか
結論から言うと、半年で「使う人」は一気に増えました。パーソル総合研究所の調査では、正規雇用者の生成AI業務利用率は2025年10月の41.9%から、2026年5月には54.3%へ。半年で12.4pt増え、過半数を超えました。
出典:パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」(2026年4〜5月実施・n=3,300)
中途採用の側から見ると、これは「生成AIを使ったことがある人」が、もう希少ではなくなったということでもあります。週4日以上使う層だけで5人に1人。要件欄に「生成AI活用経験のある方」と書いても、半年前ほどには母集団を絞り込めていない可能性があります。
では、何が絞り込めていないのか。同じ調査のもう一つの結果が、そこを突いていました。
同じヘビーユーザーなのに、なぜ成果に3.6倍の差がつくのか
結論を先に言うと、差をつくっていたのは「AIの外側」の力でした。同調査は、同じAIヘビーユーザーの中でも「メタ・スキル」が高い層は、低い層の3.3〜3.6倍の成果を創出していたと報告しています。比べているのは、仕事のやり方の見直し・成果水準の向上・業務スピード向上といった項目です。
メタ・スキルとは、AIを使って成果につなげるために必要な、AIの操作そのものではない力の総称です。同研究所は「集める(構造的整理)」「決める(優先順位づけ)」「確かめる(実地検証)」「壊す(レジリエンス)」「蓄える(組織知の更新)」の5つを挙げています。
左右の記述はメタ・スキル5要素の定義にもとづく整理。数値の出典:パーソル総合研究所(2026年4〜5月実施)
ここは、個人の努力不足の話として読まないほうがいいところかもしれません。わたしたちが「AI活用が進まない」と言うとき、たいてい見ているのは使用頻度です。ライセンスを配り、研修をやり、利用率を追う。ところがこの調査が示しているのは、頻度を上げても、集める・決める・確かめる・壊す・蓄えるが回っていなければ成果は付いてこない、という構造のほうでした。採用要件も同じで、「使えるか」だけを聞いていると、この差をまるごと素通りしてしまいます。
もうひとつ、同じ調査には慎重に読みたい数字もありました。AIヘビーユーザーの31.6%が「人よりAIに話すほうが気楽」と答えており、ライトユーザーの20.1%を上回っています。AIとの相性がいい人ほど、人との対話の総量が減っていく面もある——選考でも入社後でも、頭に置いておきたい但し書きだと感じます。
求人票と面接では、結局どこを見ればいいのか
おすすめは、「AI活用スキル」という一語を、5つの問いにほどいてしまうことです。ツール名や使用頻度ではなく、AIを使って何をどう進めたかというプロセスを聞くかたちに変えると、求人票の要件も面接の質問も一気に具体的になります。下は、メタ・スキルの5要素を中途採用の場面に置き換えたものです。
※5要素の名称と定義はパーソル総合研究所の調査によるもの。面接の問いへの置き換えは、Coachersによる実務向けの解釈です。
どの問いも、AIが答えを整えてくれる部分ではなく、その人が現場でどう考えたかを聞いています。求人票側も同じで、「生成AI活用経験のある方」より「AIで下書きを作ったあと、事実確認と判断をご自身でされていた方」のほうが、来てほしい人には届きやすいはずです。候補者からどう見えるかは、このあとの考察で触れてみます。
この調査を読んで、わたしたちCoachersがいちばん考えさせられたのは、「メタ・スキル」という名前がついたこと自体でした。名前がつくと、これまで「なんとなく仕事が速い人」で片づけていたものを、要件として書けるようになります。逆に言えば、名前がなかったあいだ、求人票はそれを書きようがなかったのだと思います。
御社の求人票を開いた候補者の側に、いったん座ってみます。「生成AI活用経験のある方」とだけ書かれていると、読んだ人はたぶん、自分が当てはまるかどうかを判定しにいきます。使ったことはある、でも毎日ではない——そこで手が止まる。応募するかどうかの前に、この会社がAIをどう使っているのかが1行も見えないことのほうが、実は気になっているかもしれません。
わたしたちが採用支援の現場で聞くのは、「入ってからAI禁止だったらどうしよう」という不安と、「自分の工夫を面白がってくれる会社なのか知りたい」という期待の両方です。要件を5つの問いにほどくと、求人票の文面そのものが、その会社の仕事の進め方の説明になります。
ここはHRブランディングの出番でもあると感じています。AI活用の方針は、たいてい社内の会議では語られているのに、社外向けの言葉になっていないことが多いものです。求人広告の原稿を1段落見直して、「うちはこう使っている・ここは人がやる」と書くだけでも、同じ要件の求人の中では十分に目立ちます。
正直なところ、わたしたちCoachers自身も、AIをどこまで任せてどこから自分で確かめるかを毎日いじりながら決めています。答えが固まっていなくても、「いま試している最中です」と書けること自体が、これからは魅力づけになるのかもしれません。
- パーソル総合研究所「『AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査』を発表 正規雇用者の生成AI利用率は54.3%、半年で12.4pt増加」(2026年7月22日) https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20260722-1000-1/
- パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」(調査ページ・調査概要) https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/ai-management/
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