採用のAI活用、企業の87.7%は”使っていない”──人が読む会社の見せ方
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採用のAI活用、企業の87.7%は”使っていない”──人が読む会社の見せ方

Branding, 2026.08.03 By 中村 尚人

 

「AIが書類を選び、AIが面接をする」——そんな見出しを、この一年で何度も見かけた気がします。それだけに、この数字は少し意外かもしれません。採用プロセスでAIを「活用していない」企業は、全体の87.7%。『日本の人事部 人事白書2026』(2026年3月調査・のべ5,103社)の結果です。

AIによる選考が目に見えて進んでいたのは、従業員5,001人以上の大企業でした。書類選考へのAI活用22.9%を含め、選考のどこかにAIを使っている企業は34.3%。いまのところAI選考は、「時代の話」というより「規模の話」に近いようです。

では、AIを入れていない87.7%の側は、出遅れているのでしょうか。わたしたちはむしろ、ここに中途採用で選ばれるための余白があるように感じています。今日は「人が読んでいる会社」であることを、どう伝えるかを一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
採用プロセスでAIを「活用していない」企業(回答企業全体)
87.7%
従業員5,001人以上の大企業で、書類選考・面接・面談のいずれかにAIを使っている割合
34.3%
同じく大企業で「書類選考にAIを活用している」割合
22.9%

出典:『日本の人事部 人事白書2026』(2026年3月3日〜31日実施・『日本の人事部』正会員対象・のべ5,103社/5,274人)

採用でAIを使っている会社は、いま実際どのくらいあるのでしょうか

結論から言うと、全体ではおよそ9割が、まだ使っていません。『日本の人事部』が正会員企業に聞いた「人事白書2026」では、採用プロセスでAIを「活用していない」と答えた企業が87.7%でした。ここでいう採用プロセスのAI活用とは、書類選考や面接・面談といった選考の工程そのものを、AIに任せることを指します。原稿作成の下書きや日程調整といった事務作業のAI利用とは、少し別の話です。

KEY METRIC / 採用プロセスでAIを「活用していない」企業
87.7%
ニュースの印象とは裏腹に、選考をAIに任せている会社はまだ少数派です。もし「うちはAIを使えていない」と気にされていたなら、それは例外ではなく、いまのところ多数派の側だと言えそうです。

出典:『日本の人事部 人事白書2026』(2026年3月実施・のべ5,103社)

もっとも、この調査は3月時点のものなので、現在は日を追うごとに活用割合が増えている可能性は高いと感じています。

なぜ、AIの導入は大企業から進んでいるのでしょうか

同じ調査を従業員5,001人以上の大企業に絞ると、景色が変わります。「書類選考にAIを活用している」が22.9%、「AIによる面接選考を実施している」と「選考を伴わない面談をAIで実施している」がそれぞれ5.7%。合わせると34.3%、およそ3社に1社が選考のどこかにAIを入れていました。未活用が87.7%を占める全体と並べると、規模による差はかなり大きく開いています。

理由は調査からは分かりませんが、応募が集まる会社ほど、初期の工程を機械に預ける必然性が生まれやすいのだろうと感じています。何千通と届く書類を、限られた人数で一枚ずつ読むのは現実的ではありません。つまりAI選考は、いまのところ「応募が多すぎる」という課題に対する解という側面が強いのかもしれません。採用力そのものの通信簿ではなく、抱えている課題の違いを映している——そう捉えると、少し力が抜ける気がします。

PERSONA
A
Aさん(人事2名・中途採用は年3〜4名)
よくお会いする採用担当者の姿として
AI面接の記事を読むたび、「うちは何も手を打てていない」と焦る。けれど実際に届く応募は月に10通ほどで、AIに読ませるほどの量ではない。焦りの正体は、規模も課題も違う会社と、同じ物差しで自社を測ってしまっていることなのかもしれません。

「人が読んでいる」ことは、伝えないと伝わらない

ここからが本題です。全体の87.7%が選考にAIを使っていないということは、候補者の応募書類は、いまも多くの会社で人が読んでいるということでもあります。ところがその事実は、求人票にも選考案内にも、ほとんど書かれていません。当たり前すぎて、わざわざ言うことではないと感じるからだと思います。

けれど、当たり前が当たり前でなくなりつつあるときは、明文化した側が得をします。候補者から見れば、応募先によって「機械が読む会社」と「人が読む会社」が混ざり始めている状態です。どちらが良い悪いではなく、どちらなのかが分からないことが、書類を出すときの小さな緊張になっているのではないでしょうか。「担当者が一枚ずつ読みます」と一行あるだけで、その緊張は少しほどけるかもしれません。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

AIを入れるかどうかは、突き詰めれば「応募をどう捌くか」の話です。一方で中途採用でいま効いてくるのは、その手前の「どう選ばれるか」だと感じています。87.7%という数字は、多くの会社がまだ人の手で選考している事実を示していますが、それが候補者に伝わっているかは別問題です。わたしたちCoachersも、支援先の求人原稿を見ながら「これは書かなくても分かる、と思って省いていないか」を何度も確認しています。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の求人票を開いた候補者は、いま生成AIで職務経歴書を整えてから応募することも珍しくありません。そうやって書類を出すとき、頭の片隅にあるのは「これは人が読むのだろうか、それとも機械が弾くのだろうか」という問いです。分からないから、当たり障りのない書き方になる——そんな作用が働いているかもしれません。

わたしたちが現場でよく聞くのは、「返信が早く、経歴の中身に触れてもらえた会社は、それだけで印象が変わった」という声です。選考にAIを使っていない会社ほど、この一手はすでに手元にあるはずです。使っていないことを黙っているのは、少しもったいない気がしています。

こうした「言わなくても分かるはず」を一つずつ言葉にしていく作業は、HRブランディングそのものだと思っています。求人広告の原稿でいえば、選考の進め方を数行足すだけでも、候補者の受け取り方は変わります。派手な打ち手ではありませんが、費用もほとんどかかりません。

AIを入れるかどうかは、いずれ規模や応募数に応じて考えればいい話です。それより先に、いま自社がしていることを、そのまま伝えるところから始めてみませんか。

ACTIONS / 今日からできる3つ
求人票に「書類は担当者が読みます」と一行足す
全体の87.7%が選考にAIを使っていない以上、これは”事実の明文化”であって誇張ではありません。当たり前が分かれ始めた領域では、先に言葉にした側が候補者の不安を引き受けられます。
合否連絡に、経歴のどこを見たかを一文添える
「◯◯のご経験を拝見しました」の一文があるだけで、機械処理との差がはっきり出ます。人数の少ない人事でも、通知文のテンプレートに一箇所だけ空欄を作れば回ります。
AI導入の検討は「応募数」を見てから決める
選考のAI活用が進んでいたのは従業員5,001人以上で34.3%。応募を捌ききれない規模の課題への解という側面が強く、月に数十通なら急ぐ理由は薄いかもしれません。
 
FAQ / よくある質問
Q. 採用にAIを導入している企業は、実際どのくらいありますか?
『日本の人事部 人事白書2026』(2026年3月実施・のべ5,103社)では、採用プロセスで「AIを活用していない」が全体の87.7%でした。導入が目立つのは従業員5,001人以上の大企業で、書類選考へのAI活用22.9%などを合わせて34.3%です。
Q. AIを使っていないと、候補者から遅れた会社に見えませんか?
同調査では未活用が87.7%で、いまのところ多数派です。候補者が気にするのは導入の有無そのものより、連絡が早いか、自分の経歴を読んでもらえたかではないでしょうか。AI選考は「応募が多すぎる」課題への解という側面が強く、規模が違えば必要な道具も変わります。
Q. 人事が少人数でも、今日からできることはありますか?
求人票に選考の進め方を数行足す、合否連絡に経歴へ触れる一文を入れる、この2つはコストがほぼかかりません。いま自社がしていることを、そのまま書く——それだけでも、候補者から見える解像度は変わります。
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当たり前すぎて省いてしまった一行が、候補者にはいちばん知りたい情報だったりします。Coachersは求人広告制作・採用サイト・採用動画を通じて、いま御社がしていることを、そのまま伝わる形にするお手伝いをしています。

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REFERENCES
  • 『日本の人事部 人事白書2026』(株式会社HRビジョン/2026年3月3日〜31日実施・のべ5,103社・5,274人) https://jinjibu.jp/research/
  • 株式会社HRビジョン「『日本の人事部 人事白書2026』発売! 人・組織の課題解決の糸口に」 https://www.atpress.ne.jp/news/611424

中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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