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賃上げ率の平均は中小4.01%──給与で競わない会社の求人票の書き方
賃上げ率だけを並べると、大企業と中小の差は1.17ポイントです。思ったより小さい、と感じる方もいるかもしれません。ただ、月額に直すと6,801円ひらいています。
厚生労働省が2026年7月31日に公表した集計で、大企業428社の平均賃上げ率は5.18%。日本商工会議所が同年4〜5月に中小2,260社へ聞いた調査では4.01%でした。求人票を開いた人が比べているのは、率ではなく金額のほうです。だとすると、給与で競わない会社にも書けることは、まだ残っている気がしています。
5.18%
4.01%
6,801円
71.3%
いずれも2026年の数字。上2行と3行目の大企業側=厚生労働省「令和8年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」(2026年7月31日公表・資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上で労働組合のある428社・賃上げ率5.18%/平均妥結額18,167円)。中小側=日本商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」(2026年6月8日公表・調査期間2026年4月7日〜5月18日・有効回答2,260社・賃上げ率4.01%/平均賃上げ額11,366円)。調査主体・対象が異なるため、単純な優劣の比較ではありません。
賃上げ率の平均は、大企業と中小でどう違うか
2026年春の賃上げ率の平均は、大企業で5.18%、中小企業で4.01%でした。ここでいう大企業は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上で労働組合がある428社です。
前者は厚生労働省が2026年7月31日に公表した春季の妥結集計、後者は日本商工会議所が同年4月7日〜5月18日に2,260社へ聞いた調査です。
調査主体も対象企業も違うので、そのまま優劣を比べる数字ではありません。それでも、いま世の中で語られている「賃上げ」の水準に、二つの層があることは見えてきます。
出典:厚生労働省「令和8年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」/日本商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」
数字の並びだけを見て「差が開いている」と読むのは、少し早いかもしれません。大企業側は前年から0.34ポイント下がり、中小側は賃上げに踏み切る企業の割合が増えています。
なお中小側の4.01%は、2026年3月と4月の賃金を比べて出した数字です。前年と同じ物差しではないので、率の前年比としては読めません。
それでも、大企業の側が前年より減速していることは確かです。問題は、率の差が縮んでも採用の現場では効いてこない、という点のほうです。
率ではなく額で見ると、何が変わって見えるか
2026年の平均賃上げ額は、大企業18,167円に対して中小11,366円で、その差は6,801円です。従業員20人以下の小規模企業(9,170円)と比べると、差は8,997円まで広がります。
率の差は1.17ポイント。額の差は月6,801円。同じ事実を、別の単位で言い直しただけです。
ここに小さな逆説があると感じています。賃上げ率は、いまいる社員に向けた社内の指標です。去年の自分の給与と比べる数字だからです。
一方、求人票を開いた人は自分の去年とは比べません。いま開いている他社の求人票と、月いくらかを横に並べています。単位が違うのです。
出典:厚生労働省(2026年7月31日公表)/日本商工会議所(2026年6月8日公表・n=2,260)
賃上げに踏み切る中小企業は増えました。それでも、月に1万1千円上げたことは求人票のどこにも書かれません。書く欄がないからです。
求人票の給与欄にあるのは、たいてい入口の金額だけです。そこで止まっているかぎり、上げた分は候補者には見えません。
給与欄に足す一行(型と記入例)
給与額を変えずに書き足せるのは、「入ったあとどう上がるか」の実績です。金額そのものは動かせなくても、動いた記録は残っているはずです。
昨年度、何人中何人が昇給したのか。平均でいくら上がったのか。この二つは、たいていの会社がすでに持っている数字です。
金額の下に、実際に起きたことを一行だけ添える型です。
記入例は書き方を示すための架空の文面です。実際に書くときは、自社で確認できた事実だけを使ってください。
共通しているのは、どれも検証できる形になっている点です。「風通しが良い」とは違って、数字と人数が入っています。
逆に、事実として確認できないことは書かないほうが安全だと思っています。入社後に食い違えば、それは早期離職の入口になってしまうからです。
賃上げの話になると、社内では「何パーセント上げたか」が語られます。予算の議論も、労使の話し合いも、その単位で進むからです。ただ、その単位のまま求人票へ持っていくと、伝わるものがほとんど残りません。
御社の求人票を開いた人は、いま同じ画面で3社か4社を並べています。そこに見えているのは率ではなく、月いくらかという一つの数字だけです。4.01%の努力は、その画面のどこにも表示されていません。
わたしたちが現場でよく聞くのは、「入ったあと上がるのかが分からないので、いまの金額で判断するしかなかった」という声です。逆にいえば、上がった記録が一行あるだけで、比較の土俵が金額だけではなくなるのかもしれません。
わたしたちCoachersも、求人広告の原稿をお預かりして最初に見るのが給与欄です。金額を変えられる会社はそう多くありませんが、金額の下の一行を持っていない会社はもっと多い、というのが実感です。
HRブランディングというと大きな話に聞こえますが、始まりはこういう一行だと思っています。自社で本当に起きたことを、候補者が確かめられる形で置く。そこからしか積み上がらない気がしています。
- 厚生労働省「令和8年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します」(2026年7月31日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74889.html
- 日本商工会議所「『中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査』の集計結果について」(2026年6月8日公表・調査期間2026年4月7日〜5月18日・有効回答2,260社) https://www.jcci.or.jp/news/research/2026/0608113015.html
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