BrandingRECRUITING JOURNAL

中小企業の採用ブランディングは会社紹介1枚から──求人票だけで決める人は33%

「うちは知名度がないので」——採用ブランディングの話になると、この一言で止まってしまうことがあります。わたしたちCoachersも、ご相談の場でよく聞きます。

ただ、20〜40代の500人に聞いた調査を見ると、止まる場所はそこではなさそうでした。求人票の情報だけで応募を判断していた人は約33%。残りの3分の2は、求人票の外のどこかを見てから決めています。今日は、その「外」に置く1枚を一緒に作ってみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
応募前に企業を下調べする転職者
57%
求人票の情報だけで応募を判断した転職者
約33%
選考中に面接以外の情報を受け取った転職者
53.4%
受け取った人のうち志望度が上がった割合
約9割

出典:株式会社OTOGI「中途採用における『求職者の情報収集行動』に関するレポート(2026年版)」/調査2025年12月・20〜40代で直近1年に転職活動をした人ほか・n=500

FREE TOOL
この記事で扱う「求人票の外に何を置くか」は、5領域25問の自己診断でも確認できます。
診断をはじめる

求人票だけで決める人は、3人に1人

転職活動をした人のうち、求人票の情報だけで応募を判断していたのは約33%でした。株式会社OTOGIが2025年12月に20〜40代500人へ行った調査の数字です。

言い換えると、3人に2人は求人票の外を見てから決めているということになります。応募前に企業を下調べする人は57%いました。

この調査は2025年12月の実施なので、今はもう少し様子が違うかもしれません。生成AIで会社を調べる人が増えた分、下調べの手数はむしろ増えている可能性があります。

ただ「求人票の外を一度見てから決める」という行動そのものは、しばらく変わらない部分だと感じています。

同じ調査には、選考が始まったあとの数字もあります。面接以外で会社を知る情報を受け取った人は、半分ほどでした。

KEY METRIC / 選考中に、面接以外で会社を知る情報を受け取った人
53.4%
受け取った人のうち、約9割が「志望度が上がった」と答えています。逆に言えば、半分近くの人は面接以外で会社を知る機会がないまま、選考の途中にいます。

出典:株式会社OTOGI「中途採用における『求職者の情報収集行動』に関するレポート(2026年版)」・調査2025年12月・n=500

もっとも、全員が下調べをするわけではありません。同じ調査では、約33%が求人票だけで判断していました。

用意しても届かない相手はいる、というのが正直なところだと思います。それでも3人に2人には届く、と考えると割は悪くない気がしています。

採用ブランディングとは何か

採用ブランディングとは、自社で働くことの中身を、求人票の外にも一貫した形で置いておく取り組みです。知名度を上げる活動とは、少し違います。

人事の世界では、この「働くことの中身」をEVP(Employee Value Proposition/従業員に提供する価値)と呼びます。名前がつくと、扱いやすくなる気がしています。

ここで一つ、逆さまにしてみたいことがあります。応募が来ないのは、魅力がないからではないかもしれません。魅力を置いてある場所がない、というだけのことも多いのです。

中小企業の場合、社長や現場の人の顔がそのまま魅力になります。ただ、それは会社の中にあるだけで、外からは見えません。

COMPARISON
求人票だけ
条件で比べられる
給与・休日・勤務地といった、並べれば優劣がつく項目で判断されます。規模の大きい会社と同じ土俵に立つことになります。
求人票+会社紹介1枚
中身で選ばれる
誰と、何を、どんな状況でやるのかが分かります。条件が並びでも「こっちのほうが分かる」で選ばれる余地が生まれます。

会社紹介1枚を作る3ステップ

採用ブランディングを一度に始めようとすると、たいてい止まります。まずはA4で1枚、会社紹介を作るところからで十分だと思っています。

1
渡す相手を1人に決める
「30代で、同業の中堅企業から来る人」くらいまで絞ります。全員向けに書くと、誰にも届かない文章になりがちです。直近で採用した方や、惜しくも辞退された方を思い浮かべると早いです。
2
求人票に書けなかったことを3つ書き出す
チームの人数、いま困っていること、入って最初の3か月にやってもらうこと。求人票の欄には収まらないけれど、面接では必ず話している内容が候補になります。
3
置き場所と渡す順番を決める
採用サイトに1ページ置き、そのURLを求人票と選考連絡の両方に載せます。応募前の下調べにも、選考中の一読にも同じ1枚が効きます。
  EXAMPLE / 会社紹介1枚の型と記入例

4つの文でできています。埋めてみると、たいてい1枚に収まります。

わたしたちは〈事業を一言で〉の会社です。/いま〈部署名〉〈人数〉人で、〈直近の状況〉という状態です。/入っていただく方には、最初の3か月で〈やってもらうこと〉をお願いします。/正直に言うと〈まだできていないこと〉があります。ここを一緒に直せる方を探しています。
記入例1/施工管理
わたしたちは、関東の中小ビルの改修工事を手がける会社です。いま工事部は12人で、平均年齢は48歳。40代前半までが2人しかいません。入っていただく方には、最初の3か月で先輩2人の現場に同行し、当社の見積りの考え方を覚えていただきます。正直に言うと、書類の作り方が人によってバラバラです。ここを一緒に整えられる方を探しています。
記入例2/経理
わたしたちは、業務用食品を関西の飲食店に卸している会社です。いま管理部は5人で、経理は課長と2人体制です。入っていただく方には、最初の3か月で月次決算を課長と並走していただきます。正直に言うと、いまだにExcelと紙の突き合わせが残っています。ここを一緒に減らせる方を探しています。

記入例は書き方を示すための架空の文面です。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

採用ブランディングという言葉は、どうしても大きな話に聞こえます。ロゴを作り直すとか、コンセプトを決めるとか、そういう順番で考えると、たいてい着手できないまま季節が過ぎていきます。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の求人票を開いた候補者は、そこで判断を終えていません。同じ調査で、応募前に下調べをする人は57%。多くの人は社名で検索し直し、出てきたものを数分だけ眺めて、応募するかどうかを決めています。

そのときに「事業内容」と「沿革」しか出てこない会社と、誰と何をやるのかが1枚で分かる会社とでは、見え方がだいぶ違います。現場でよく聞くのは「調べても、働いている姿が浮かばなかった」という声です。魅力がなかったのではなく、想像する材料がなかった、ということかもしれません。

わたしたちCoachersがHRブランディングという言い方をしているのも、同じ理由からです。採用サイトの情報設計という視点で見ると、必要なのは新しい魅力ではなく、すでにある中身を置く場所のほうだと感じています。

1枚だけなら、今週のうちに書けます。書いてみると、面接で毎回話していたことがそのまま原稿になっていた、ということもよくあります。

ACTIONS / 今日からできる3つ
自社の社名で検索して、上から3件を見る
応募前に下調べをする人が57%いる以上、その3件が候補者の見る「会社の説明」です。求人票より先に読まれている可能性があります。
面接で毎回話していることを3つ書き出す
毎回話すということは、それが求人票から抜け落ちている情報だという合図です。書き出した3つが、そのまま会社紹介1枚の中身になります。
選考の連絡メールに、その1枚のURLを1行足す
選考中に面接以外で会社を知る情報を受け取った人は53.4%。半分近くは受け取っていません。1行足すだけで、渡す側に回れます。
FAQ / よくある質問
Q. 採用ブランディングとは何ですか?
自社で働くことの中身を、求人票の外にも一貫した形で置いておく取り組みです。知名度を上げる広告活動とは別のもので、規模が小さくても始められます。
Q. 中小企業でも採用ブランディングはできますか?
できます。必要なのは予算より、誰と何をやるのかを書いた1枚です。社長や現場の顔が近いぶん、中小企業のほうが具体的に書けることが多いと感じています。
Q. 何から手をつければよいですか?
A4で1枚の会社紹介からをおすすめしています。渡す相手を1人に絞り、求人票に書けなかったことを3つ書き、採用サイトに置いて選考連絡にURLを載せる、という順番です。
FREE DOWNLOAD
主要50媒体比較ガイド
求人媒体50社の特徴・得意な職種・費用感を1枚で見比べられる資料です。会社紹介1枚を作ったあと、それをどの入口に置くかを考えるときの材料としてお使いください。
CONTACT
御社の「1枚」に何を書くか、一緒に考えてみませんか
Coachersは求人広告の制作から採用サイト・採用動画まで、候補者に渡る言葉と絵をつくる会社です。新しい魅力を足す前に、すでにある中身を書き出すところからご一緒できます。
お問い合わせフォームへ ›
REFERENCES
中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

THANK YOU FOR READING.記事一覧に戻る ↗
ABOUT HR PLAYBOOK

「いい採用」を、
もっと世の中に。

採用に、ひとつの正解はない。
だからこそ、考えるヒントと実践の工夫を。
企業の採用と組織づくりに向き合うCoachersが、
人と組織の「次の一手」をお届けします。

私たちについて
LET’S THINK
TOGETHER.

自社の採用について、
一緒に考えてみませんか。

Coachersに相談する