経営トップが生成AIの方針を出している日本企業は46.4%。ところが、方針・責任者・推進組織の3つがそろう企業は9.7%でした。
インディードリクルートパートナーズが2026年9月3日に公表した調査の数字です。米国は27.7%で、日本の約3倍でした。
この記事では、採用でAIを使える工程と、ツール選びより先に採用チームで決めておく3つ、その使い方メモ1枚の型を置きます。
採用のAI活用とは?使える工程は応募前から内定後まで
採用のAI活用とは、求人票の作成や応募者への連絡など採用の作業の一部を生成AIなどに任せ、人が判断と対話に使える時間を増やすことです。
使える場面は、工程ごとに並べると整理しやすくなります。代表的なのは次のような作業です。
- 応募前:求人票やスカウト文の下書き、媒体ごとの言い換え
- 応募後:応募者への連絡文、面接日程の調整
- 面接:質問案の作成、面接メモの要約
- 内定後:オファー面談で伝える内容の整理、入社前の案内文
並べると、どれも「下書き・整理・連絡」の作業です。一方で、合否の判断や候補者に何を約束するかは、人が決める部分として残しておきたいところです。
生成AIの体制がそろう会社はどのくらいあるか
生成AIの方針・責任者・推進組織の3つがそろう日本の会社は9.7%です。2026年3月に採用業務に関わる日本の就業者3,090人へ、勤め先の取り組みを聞いた調査の結果です。
3つを1つずつ見ると、方針はあっても、その先の体制で数字が大きく下がります。
経営トップが方針を発信している企業は46.4%。活用の責任者がいる企業は25.7%、推進組織がある企業は20.1%でした。
責任者は部長級・役員級の任命、推進組織は専任の組織を指します。方針の発信は直近1年の状況です。回答者の勤め先についての回答で、日米で業種・従業員数などの構成をそろえる補正をした値です。
方針を出す会社は半数近くあります。しかし、誰が決めるのか、どこで使い方を持ち寄るのかまで整えている会社は、ぐっと少なくなります。
調査はこの3つをすべて実施している企業を「AI活用先進企業」と呼んでいます。その割合は日本で9.7%、米国で27.7%でした。
同じ調査では、2023年以降に採用ターゲットを変えた企業が、日本の先進企業で90.0%、それ以外の企業で46.2%でした。採用ターゲットとは、採用する人材の層・職種・要件のことです。
ただし、日本で変えた理由の最多は「人材不足(採用難)への対応」44.8%です。「生成AIによる必要スキルの変化」を挙げたのは、先進企業でも23.4%(それ以外は10.6%)でした。
3つの取り組みは会社全体の話です。ただ、採用チームという小さな単位にも置き換えられると考えています。
ツールより先に採用チームで決める3つ
採用チームでAIを使い始めるなら、ツールより先に決めるのは「使う範囲」「決める人」「見直す場」の3つです。調査の3つの取り組みを、採用の現場の大きさに置き換えました。
- 使う範囲:AIに任せる作業と、任せない判断を書き出す
会社の「方針」にあたる部分です。範囲が決まっていないと、担当者ごとに使い方がばらばらになります。合否の判断や条件の提示は人が決める、と先に書いておくと迷いが減ります。 - 決める人:迷ったときに判断する1人を決める
「責任者」にあたる部分です。新しいツールを試してよいか、応募者の情報を入れてよいか。聞く相手がいないと、使う人は手を止めるか、黙って使うかになりがちです。 - 見直す場:月に1回、使い方を持ち寄る時間をとる
「推進組織」にあたる部分です。うまくいった指示文や、返事が来なかった文面を共有します。専任の部署でなくても、採用の定例に15分足せば始められます。
①AIに任せる作業〈 〉 ②AIに任せない判断〈 〉 ③AIに入力しない情報〈 〉 ④迷ったときに聞く人〈 〉 ⑤使い方を見直す日〈 〉
記入例(架空の文面):①求人票とスカウト文の下書き、面接メモの要約 ②書類選考と面接の合否、内定条件の提示 ③応募者の氏名・連絡先・現在の勤め先 ④採用責任者の佐藤 ⑤毎月第1月曜の採用定例の最後の15分
採用のAI活用は、どのツールを入れるかの比較から始まりがちです。ただ今回の調査で日本と米国の差が大きかったのは、ツールではなく、方針・責任者・推進組織という体制のほうでした。
スカウトを受け取った一人の候補者からは、会社がAIをどう使っているかは見えません。見えないぶん、誰にでも送れる文面だった、といった小さな手ざわりから推し量るのかもしれません。
そのとき候補者が知りたいのは、自分の経歴を人がきちんと読んだのかではないでしょうか。使う範囲を決めておくことは、「ここは人が読んでいます」と言える根拠にもなります。
AIに任せる範囲が決まると、人が時間を使う場所も決まります。面接や内定後の対話に時間を戻せるかどうかが、採用のAI活用で本当に見たい成果だと考えています。
今日からできる3つ
- 採用でAIに頼んでいる作業を、担当者全員に書き出してもらう
実際の使い方は、聞いてみないと分かりません。個人の判断で使っている作業も含めて並べると、「使う範囲」の下書きがそのまま手に入ります。 - 「AIに任せない判断」を3つだけ先に決める
任せる作業から決めようとすると一覧が長くなり、決めきれません。任せない側を短く決めるほうが、線は早く引けます。 - 月1回15分の見直しを、いまある採用定例に足す
新しい会議を立てると続きにくくなります。すでにある定例の最後に置けば、調査でいう「推進組織」に近い役目を、小さく始められます。
よくある質問
Q. 採用でAIを活用できるのはどの工程?
求人票やスカウト文の下書き、応募者への連絡文、面接日程の調整、面接メモの要約など、「下書き・整理・連絡」にあたる作業で使いやすい工程です。合否の判断や条件の提示は、人が決める部分として残しておくのが安心です。
Q. 採用でAIを使うとき、最初に決めることは?
使う範囲、迷ったときに決める人、使い方を見直す場の3つです。インディードリクルートパートナーズの調査では、生成AIの方針・責任者・推進組織の3つがそろう日本企業は9.7%でした。
Q. 小さな会社でも責任者や推進組織は必要?
専任の部署までは要りません。採用責任者が決める人を兼ね、いまある定例に15分の見直しを足せば、近い役目を小さく始められます。
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出典
株式会社インディードリクルートパートナーズ「AIと採用に関する日米実態調査(企業編)」2026年9月3日公表・調査2026年3月・日本と米国在住の20〜59歳の就業者で採用業務に関与している者 日本n=3,090/米国n=3,090 indeedrecruit-partners.co.jp



