入社後ギャップは新入社員の約8割が実感──26%は1ヵ月以内に離職、防ぐ3ステップ
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入社後ギャップは新入社員の約8割が実感──26%は1ヵ月以内に離職、防ぐ3ステップ

Branding, 2026.05.09 By 中村 尚人

「思っていたのと違った」――そう感じて、入社後すぐに辞めてしまう人の数が、思った以上に多いという調査結果を見かけました。

ある調査では、入社前後でギャップを感じた経験がある人は約8割。ギャップが原因で退職した人のうち26%が「1ヵ月以内」に離れていく――この数字は、採用に時間とコストをかけてきた採用担当者にとって、ちょっと胸が痛む内容だと感じています。

採れたかどうかではなく、「採れたあと、続いてくれているかどうか」。そこを起点に採用情報を設計し直すと、何が変わるのか。今日はその視点で、一緒に考えてみたいと思います。

「8割」という数字が示しているもの

KEY METRIC
約8
入社後ギャップ実感
入社前後でギャップを感じた経験
転職経験者へのアンケートで、「入社前後でギャップを感じたことがある」と回答した人の割合。多くの人にとって、入社後の「思ってたのと違う」は珍しいことではなく、ほぼ標準装備の感覚に近いと言えるかもしれません。

注目したいのは、ギャップを感じた領域の上位が「仕事の内容」「職場の雰囲気」「仕事の量」だという点です。給与や勤務地のような契約条件ではなく、求人原稿や面接ではなかなか伝わりにくい「日々の働き方」「人と人の距離感」のところで、入社後にズレが顕在化しているようです。

そして、ギャップが原因で退職した人のうち最も多いのが「1ヵ月以内」(26%)、入社から3ヵ月以内に離職する人は半数を超えるという結果も出ています。せっかく採用にかけた時間とコストが、立ち上がる前に消えてしまう。これは中小企業ほど、1人分のインパクトが大きい問題ですよね。

入社前と入社後のギャップは、どんな場面で起きているのか

「ギャップ」とひとことで言っても、実際に何がどうずれたのかは人によって違います。採用側として手を打つには、まずずれが起きる場所を分けて見ておきたいところです。わたしたちが採用支援の現場で聞くかぎり、入社前後のギャップは大きく5つの場面に集まります。

GAP MAP / 入社前後でずれやすい5つの場面
1. 仕事の中身
求人票では企画・提案が中心に読めたのに、実際は既存業務の運用が大半だった。「何割がどの仕事か」を書いていないと、いちばん起きやすいずれです。
2. 裁量の範囲
「裁量が大きい」と聞いていたが、決裁は思ったより上に集まっていた。裁量は程度の言葉なので、面接で具体例に置き換えて話しておきたい部分です。
3. 業務量と働き方
繁忙期の実態、残業の出方、在宅の運用。制度としては存在していても「実際にどのくらい使われているか」まで伝わっていないと、入社後にずれます。
4. 社風と人間関係
面接で会った人と、配属先の空気が違った。選考で会う人の顔ぶれが偏ると起きやすく、条件面よりも早期離職につながりやすい場面です。
5. 評価と昇給の決まり方
何がどう評価されて給与が動くのか。ここが不透明なままだと、半年から1年たったあたりで「この会社にいる意味」が揺らぎはじめます。

※この5分類は公表統計ではなく、Coachersが採用支援の現場で伺ってきた内容を整理したものです。

見ていただくとわかるとおり、5つのうち4つは求人票の条件欄には書かれない項目です。給与や休日といった条件面は選考の早い段階で確認されるぶん、ずれが起きにくい。逆にいえば、条件以外をどこまで言葉にできているかが、入社後ギャップの分かれ目になります。

CANDIDATE VIEW | 候補者の椅子から

面接で「入社前と入社後でギャップはありましたか」と聞かれて、言葉を選んだ経験のある方は多いと思います。正直に答えれば前職の悪口に聞こえかねず、無いと答えれば考えていないように見える。候補者にとって、この質問はかなり答えにくいものです。

だからこそ、面接する側から先に開示してしまうのが早いのではないでしょうか。「うちは入社した人からここがギャップだったとよく言われます」と自社のずれやすい場所を先に言う。それだけで、候補者は安心して自分の懸念を口にできるようになります。ギャップを聞き出す場ではなく、突き合わせる場にできると、入社後の景色はずいぶん変わってきます。

※採用支援の現場での実感にもとづく描写です。

採用情報の「あるある誤解」を整理してみる

ギャップを生む側の構造として、企業の採用情報のつくり方そのものに、いくつか「あるある」があると感じています。よくある考え方と、応募者・入社者の実感のズレを並べてみました。

MYTH vs FACT
MYTH
いいところを並べたほうが、応募が増えて採用が成功する。
FACT
応募は増えても、入社後にギャップで辞める確率が上がる。RJP(リアルな仕事情報の提供)を意識する企業ほど、定着率が改善したという報告もあります。
MYTH
仕事内容は求人票に書いてあるから、応募者にも伝わっているはず。
FACT
ギャップ上位の1つが「仕事の内容」。職種名や箇条書きの業務内容では、1日の流れや繁忙期の負荷感までは伝わっていないことがほとんどです。
MYTH
職場の雰囲気は、面接で会えばなんとなく伝わるもの。
FACT
退職理由のトップは「職場の雰囲気」。面接室の数十分で映るのは、応対する人事・面接官の雰囲気だけ。実際に一緒に働く現場の空気は、別の経路で見せる工夫が必要そうです。

「いいところだけを伝える採用」ではなく、「等身大を見せる採用」へ。ここを少し意識するだけで、入社後の手応えが変わってきそうな気がしています。

中小企業が今日から始められる3ステップ

大がかりな制度改定をしなくても、採用情報の組み立て方を少し変えるだけでできることはたくさんあります。社内の人数が限られている中小企業向けに、現実的な3ステップを整理してみました。

STAGE FLOW
STAGE 1「1日の流れ」を仕事内容として書き出す
STAGE 2現場社員1人の声を、動画やインタビューで「素」のまま見せる
STAGE 3面接で「期待していないこと」も正直に伝える

STAGE 1は、求人票の「仕事内容」を職種名と箇条書きで終わらせず、「朝出社してから帰るまで、どんな順番で何をしているのか」を1人の社員ベースで書き起こしてみる、というものです。応募者は職種名ではなく「自分の1日」を想像しているので、ここの解像度を上げるだけでも、応募の質が変わってきます。

STAGE 2は、採用サイトや動画で「経営者の言葉」だけでなく、現場で日々動いている社員1〜2名の声をそのまま載せる工夫です。きれいに整え過ぎず、「忙しい時期もあるが、こういうところは助け合っている」というリアルが入っているほど、入社者は安心します。

STAGE 3は、面接でいいことばかり話さず、「うちはまだここは整っていない」「この時期はどうしても残業が出る」といった一次情報を共有することです。面接官にとっては勇気のいる一手ですが、応募者からは信頼感に直結する瞬間でもあります。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

採用情報の役割は、応募を増やすことだけではありません。「入社した人が、3ヵ月後・1年後に納得して働けているかどうか」を左右する、最初のインターフェースでもあります。8割がギャップを感じる現実は、ある意味で「採用情報がまだ等身大ではない」というサインかもしれません。

わたしたちが大切にしているHRブランディングは、見栄えのよいキャッチコピーを足していく作業ではなく、「自社の本当の姿のうち、求職者が知って嬉しいことは何か」を選び、ちゃんと見せていく作業だと感じています。短所を隠す方向ではなく、「合う人にちゃんと届ける」方向に磨くと、結果的にギャップは小さくなり、定着につながります。

Coachersも小さなチームなので、「全部きれいに整っているわけではない」という前提で日々動いています。だからこそ、同じく等身大の中小企業のみなさまと、求人広告・採用サイト・採用動画を一緒につくっていけるのではないかと考えています。

今日からできるアクション

ACTIONS
求人原稿の「仕事内容」を1日の流れに書き直す
職種名と箇条書きをやめ、「朝・昼・夕」のタイムライン形式で、その仕事に就いたときの1日を社員視点で描写してみる。応募者の解像度がぐっと上がります。
直近半年で入社した1人にインタビューする
「入る前のイメージ」と「入ってからの実感」のズレを30分聞き出す。それが採用サイト・動画・SNSのコンテンツになり、次の応募者のギャップを減らす最強の素材になります。
面接で「いま整っていないこと」を1つ伝える
完璧な会社を演出するより、課題と一緒に向き合ってくれる仲間を探す姿勢を見せる。応募者からの信頼度が変わり、結果的に入社後ギャップの予防につながります。
FAQ / よくある質問
Q. 入社後ギャップとは何を指しますか?
入社前に思い描いていた仕事内容・裁量・業務量・社風・評価の決まり方と、入社後の実際とのずれを指します。入社前後でギャップを感じた経験がある人は約8割にのぼるという調査結果があり、条件面よりも仕事内容や社風といった、求人票の条件欄に書かれない部分で起きやすいのが特徴です。
Q. 入社前と入社後のギャップには、どんな例がありますか?
よくあるのは、企画中心だと思っていた仕事が既存業務の運用中心だった、裁量が大きいと聞いていたが決裁が上に集まっていた、制度としてある在宅勤務がほとんど使われていなかった、面接で会った人と配属先の空気が違った、評価と昇給の決まり方が不透明だった、といった場面です。
Q. 入社後ギャップは、どのくらいの早さで離職につながりますか?
ギャップが原因で退職した人のうち26%が1ヵ月以内に離職しており、半数超が3ヵ月以内に離職しています。入社直後にずれが表面化しやすいため、選考段階での情報の出し方と、入社後最初の数週間のフォローが分かれ目になります。
Q. 採用側は、ギャップをどう減らせばよいですか?
魅力だけでなく、自社で実際にギャップとして挙がりやすい点を選考の場で先に開示することです。仕事の割合を数字で示す、裁量を具体例に置き換える、繁忙期の実態を伝える、配属先の人と会う機会をつくる。この4つだけでも、入社後のずれはかなり小さくできます。
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Coachersは、求人広告・採用サイト・採用動画・紹介資料の制作を軸に、中小企業のHRブランディングを伴走するチームです。応募数を盛るのではなく、入社後にちゃんと続く採用を一緒に設計します。まずはお気軽にご相談ください。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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