ブログ
中途採用の未経験者は3人に1人へ──実施率84.4%時代の “経歴で絞らない” 母集団づくり
中途採用といえば「即戦力」、つまり経験者を採るもの——。長らく当たり前だったこの前提が、静かに揺らいでいます。
リクルートワークス研究所の最新調査では、中途採用を実施した企業の割合は84.4%と過去最高を更新。そして、いま中途で入社する人のうち31.9%、およそ3人に1人が「未経験者」でした。この比率は前年度より広がっています。
経験者の取り合いが激しくなるなかで、企業は経歴のドアを少しずつ開き始めているのかもしれません。「経験3年以上」で母集団を狭めていないか。中核人材を採りたい会社ほど、いちど問い直す価値がありそうです。一緒に考えてみます。
出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」(2026年6月公表)
中途で入社する3人に1人が「未経験者」という現在地
リクルートワークス研究所が2026年6月に公表した中途採用実態調査によると、2025年度に中途採用を実施した企業は84.4%。調査開始以来の最高値です。人手不足を背景に、規模や業種を問わず中途採用が”標準装備”になったことがうかがえます。そして、そのなかで静かに進んでいるのが、未経験者比率の上昇でした。
出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績)」(2026年6月公表)
未経験者比率が上がる背景は、単純な「妥協」ではないと思います。欲しい経験者は各社が奪い合っていて、待っていても採れない。それなら、ポテンシャルのある人を採って自社で育てたほうが早い——そう判断する企業が増えている、という読み方のほうが実態に近いはずです。もちろん未経験者採用には育成コストという但し書きが付きますし、すべての職種で成り立つわけでもありません。ただ、「経歴で母集団を絞りすぎると、そもそも会える人がいなくなる」局面に入っているのは確かなようです。
「経験者を取り合う」から「ポテンシャルに門戸を開く」へ
切り替えのカギは、求人票にあると考えています。多くの募集要項は、いまも「求める経験・スキル」を長く並べる作りです。しかしその一覧は、経験者にとっては当然でも、ポテンシャル層にとっては「自分は対象外だ」という撤退のサインになりがちです。本当に必須の要件はどれで、入社後に身につけてもらえるものはどれか。ここを切り分けて書き直すだけで、会える人の幅は変わってきます。
そして未経験者に届けるべきは、「未経験歓迎」という言葉そのものより、入社後にどう活躍していくのかの具体的な絵です。どんな研修があり、先輩がどんな道をたどり、半年後・1年後に何ができるようになるのか。その像が描けている求人こそ、ポテンシャル層の背中を押します。候補者の側からこの求人票がどう見えているかは、次の考察でのぞいてみます。
31.9%という数字を見て思うのは、「未経験者を採る/採らない」という二択の議論は、もう少し解像度を上げられるということです。問いは「未経験者でもいいか」ではなく、「自社のこのポジションで、入社後に伸びる素地とは具体的に何か」。それを言葉にできている会社ほど、経験の有無に振り回されずに人を見極められている印象があります。
いまの仕事から少し領域を広げたい、と考えている一人の候補者を想像してみてください。御社の求人に惹かれてページを開く。けれど「必須スキル」の欄に自分がまだ持っていない項目が並んでいると、そこで手が止まります。「たぶん経験者向けだよね」と、応募する前に自分で自分を落としてしまうのです。
わたしたちが採用支援の現場で感じるのは、意欲のある人ほど遠慮がちだということ。「入社後に学べます」「まずはここから任せます」の一文があるだけで、その人は自分の応募を許可できます。要件の書き方ひとつが、会える人を静かに増やしたり減らしたりしているのだと思います。
求人広告の原稿という視点で見ると、未経験者採用は「ハードルを下げる」ことではなく、「活躍の道筋を丁寧に見せる」ことだと捉えています。これはHRブランディングそのもので、どんな人に来てほしいかを解像度高く描けている会社ほど、ポテンシャル層からも選ばれています。
わたしたちCoachersも、要件の棚卸しは採用の第一歩だと考えています。経歴で絞る前に、「この仕事で本当に必要な素地は何か」を言葉にする。その一手間が、母集団の広さを決めていくのだと思います。
- リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」(2026年6月公表) https://www.works-i.com/surveys/report/260612_midcareer.html
CONTACT
採用に関するご相談・お問い合わせはこちら
採用ブランディング、クリエイティブ制作、求人運用、RPOなど、
採用に関するあらゆるご相談を承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。