スカウト返信率、決め手は文面の外側──9割超が返信前に採用サイトを見る
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スカウト返信率、決め手は文面の外側──9割超が返信前に採用サイトを見る

Branding, 2026.07.22 By 中村 尚人

「スカウトを送っても、返信が来ないんです」——そう相談をいただいたとき、まず見直されるのはたいてい文面です。件名を変える。冒頭3行に「なぜあなたに送ったか」を書く。長すぎる本文を削る。わたしたちも、何度もその作業をご一緒してきました。

ただ、ある調査を読んで、順番が逆かもしれないと思ったのです。スカウト媒体を使って転職した2,000人のうち、9割超が、返信する前に企業のサイトを開いていました(株式会社ベイジ、2025年11月調査)。

つまり返信するかどうかは、文面を読み終えた時点ではまだ決まっていない。では候補者は、そのあと何を見て決めているのでしょうか。文面の”外側”に何を置けばいいのか、一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
スカウトへの返信を検討する際に、企業のサイトを何らかの形で閲覧した人 92.5%
採用サイトを見たことが返信の判断に影響した(かなり+やや影響する) 74.5%
返信に影響した採用サイトの特徴として「都合の悪い情報も正直に掲載」を挙げた人 32.9%

出典:株式会社ベイジ「転職におけるスカウト媒体の利用実態調査2025年度版」(2025年11月27〜28日実施・n=2,000/スカウト媒体を利用して転職した経験のある人)

スカウトの返信率は、文面の書き方だけで決まるのでしょうか

結論から言えば、文面は「最初の関門」であって「最後の関門」ではないようです。同じ調査で、返信を検討するときに確認した情報を聞くと、最も多いのはスカウトメッセージの内容(54.9%)。文面が大事なことは、数字のうえでもはっきりしています。ただ、その下に媒体内の求人票(45.3%)、企業の採用サイト(36.25%)、コーポレートサイト(30.8%)と続く。候補者は文面を読んだあと、会社そのものを見に行っているわけです。

なお、この設問で採用サイトを挙げた人は36.25%ですが、別の設問で「返信前に採用サイトを見たか」を直接聞くと9割超になります。意識して比較材料にした人が3〜4割、軽く開いた人まで含めると9割超——そんな二層で読むのが実態に近そうです。

MYTH vs FACT
MYTH
返信が来ないのは、スカウト文面の書き方が悪いからだ。だから例文を探して、書き方を磨けばいい。
FACT
文面は今も最も見られる情報(54.9%)。ただし返信を決める前に、9割超が会社のサイトまで見に行っている。文面で興味を持ってもらえても、その先が薄いと止まってしまうことがあります。

出典:株式会社ベイジ「転職におけるスカウト媒体の利用実態調査2025年度版」(2025年11月・n=2,000)

ちなみに文面そのものについては、71.3%が「短くて簡潔な文章」を選んでいます(「長くて丁寧な文章」は28.7%)。丁寧に書き込むほど伝わる、とは限らないのかもしれません。短い文面で興味を持ってもらい、詳しいことは会社のページで読んでもらう——そういう役割分担のほうが、候補者の読み方に合っている気がしています。

候補者は返信の前に、どこを見ているのでしょうか

見に行った先で、何が起きているか。同調査では、採用サイトを閲覧した人の74.5%が「その閲覧が返信の判断に影響した」と答えています。逆に「あまり/まったく影響しない」は合わせて5%未満でした。届いたスカウトへの返信は、文面と会社のページの合わせ技で決まっている、と読めそうです。

KEY METRIC / 採用サイトの閲覧が返信判断に与えた影響
74.5%
スカウト返信前に採用サイトを見た人のうち、その閲覧が返信の判断に「かなり影響する(30.3%)」「やや影響する(44.2%)」と答えた割合。スカウトの成否は、送ったあとに開かれるページでも動いているということかもしれません。

出典:株式会社ベイジ「転職におけるスカウト媒体の利用実態調査2025年度版」(2025年11月・n=2,000)

あわせて見ておきたい数字もあります。同じ調査で返信を判断するときに重視した点を聞くと、最多は年収・待遇条件(35.9%)、次いで仕事内容の適合性(30.4%)、勤務地・働き方(25.5%)。条件面の比重は依然として大きく、サイトを整えれば返信が倍になる、という単純な話ではなさそうです。それでも「条件が近い数社のうち、どこに返すか」を分ける材料としては、確かに働いている——ベイジの調査からは、そのくらいの温度感で受け止めるのがよさそうだと感じました。

採用サイトのどこから直せばいいのでしょうか

全面リニューアルの話ではありません。同調査で「返信に影響した」と挙がった採用サイトの特徴は、具体的な情報が多い(38.25%)募集要項がすぐに見つかる(34.0%)都合の悪い情報も正直に掲載している(32.85%)の3つ。どれもデザインや構造の刷新ではなく、載せる中身と導線の話です。今週できることに落とすと、こんな順番になりそうです。

1
着地する1枚を決める——スカウトの行き先を「トップ」から変える
スカウト文面に載せているURLを実際に開いてみます。会社トップに着地しているなら、その職種の仕事内容と募集要項が最短で読めるページに差し替える。候補者が最初に見る1枚を、こちらで選んでおく作業です。
2
その1枚に「具体」を足す——抽象語を1つ、場面に置き換える
返信への影響で最多だったのは「具体的な情報が多い」(38.25%)でした。「風通しの良い社風」を、実際の会議の進み方や1日の流れ、扱う顧客の規模といった描写に書き換えてみる。全部でなくて構わないので、まず1箇所から。
3
都合の悪いことを、1行だけ正直に書く
立ち上がりの大変さ、まだ整っていない制度、繁忙期の残業。32.85%がこれを返信の決め手に挙げています。隠して入社後に知られるより、先に自分の言葉で伝えるほうが、結果的に信頼されるように思います。1行から始められます。
C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査は2025年11月の実施なので、数字そのものは今と少しずれているかもしれません。スカウトの通数はその後も増えている印象があり、「返信前に会社を調べる」動きはむしろ強まっている可能性もあります。一方で、声をかけられた側が相手を調べてから返事をする——という順番自体は、時代が変わっても動かない普遍的なものではないかとも感じています。

CANDIDATE VIEW | 候補者の椅子から

御社のスカウトを受け取った人は、たいてい同じ日に他社のスカウトも受け取っています。通勤電車で件名だけを流し読みして、少し気になった会社の名前を検索窓に入れる。返信するかどうかは、その検索のあとに決まっている——調査の数字は、そう読めます。

そこで開いたページに「風通しの良い社風」「成長できる環境」しか書かれていなければ、候補者の目にはおそらく”何も書いていない”のと同じに映ります。逆に、繁忙期の実情や、これから整えたい制度が正直に一行あるだけで、その会社は急に輪郭を持ちはじめる。わたしたちが現場で見てきた候補者も、そういう一行をよく覚えていました。

※前半は候補者側調査(株式会社ベイジ・2025年11月/n=2,000)にもとづく解釈、後半は採用支援の現場での実感にもとづく描写です。

スカウトの返信率を、媒体の運用テクニックの話だと捉えると、打ち手は文面の中だけに閉じてしまいます。けれど実際には、文面・求人票・採用サイト・コーポレートサイトが、候補者の頭のなかで一続きの印象になっている。この「どこから触れても同じ会社に見える」状態をつくることが、HRブランディングだとわたしたちは考えています。

採用サイトの情報設計という視点で見ると、直すべき場所は意外と少ないことも多いです。スカウトから着地する1枚を決めて、そこに具体と正直さを足す。それだけでも、送っている文面の意味は変わってくるかもしれません。わたしたちCoachersも、自社の採用ページを同じ目で見直しているところです。

ACTIONS / 今日からできる3つ
送っているスカウトのリンク先を、自分で開いてみる
スマートフォンで開くのがおすすめです。候補者が最初に見る画面が、いま何になっているかを確かめるところから。
募集要項までのクリック数を数える
「募集要項がすぐに見つかる」は返信への影響の2位(34.0%)でした。3回以上かかるなら、導線を1本足すだけでも違うかもしれません。
「正直に書ける1行」を社内で1つ探す
いま伏せている情報を洗い出し、書ける形に言い換えてみる。現場のメンバーに聞くと、案外あっさり出てくることがあります。
FAQ / よくある質問
Q. スカウトの返信率は、どのくらいが目安でしょうか?
媒体・職種・年収帯によって幅が大きく、一律の目安を置くのは難しいのが実情です。他社の平均値を追うより、自社の「送信数→開封→返信→面談」の推移を月ごとに記録し、打った施策と並べて見るほうが、改善の手がかりになりやすいと感じています。
Q. 文面を改善しても意味がない、ということでしょうか?
いいえ。文面は今も返信判断で最も見られている情報(54.9%)です。ここでは「文面のあとに見られる場所」も同時に整えたい、という話をしています。短く簡潔な文面を好む人が71.3%という結果もあるので、文面は削り、詳しい情報はページ側に置く、という分担が現実的かもしれません。
Q. 採用サイトの全面リニューアルが必要ですか?
必ずしもそうではないと思います。返信に影響した特徴として挙がったのは「具体的な情報が多い」「募集要項がすぐに見つかる」「都合の悪い情報も正直に掲載している」の3つで、いずれもデザイン刷新ではなく、載せる中身と導線の話です。今あるページに書き足すところから始められます。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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